STITストラテジスト試験 午後Ⅱ

平成21年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅱ 問3

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問3 開発工程の遅延に対処するための組込み製品の企画の変更について 新しい機能をもつ組込み製品の企画に際しては,ターゲット市場の動向,競合他社の動向,社会的制約,自社の営業力,実現可能性といった様々な情報を分析し,市場で最も有利な時期に販売を開始できるようにすることが重要である。ところが,開発工程の遅延によって,意図した時期に販売を開始できなくなることがある。 例えば,新機能の一部の実装に手間取り,開発要員を追加投入しても予定していた販売開始時期までにすべての機能を実装できなくなることがある。このようなとき,“販売開始時期を遅らせる”,“一部,機能制限のある製品を先に販売開始し,すべての機能を実装した製品の販売を少し延期する”など,組込み製品の企画を変更しなければならないことがある。 開発工程の遅延に対処するために,組込み製品の企画を変更する場合,次のような点について分析や検討を行って,変更案をまとめる必要がある。 ・追加の開発投資が発生したときの採算性 ・販売開始が遅れたときの,競合他社に対する優位性への影響 ・企画変更後のスケジュールと実現可能性 ・先に販売開始するとしたときの,一部,機能制限のある製品と,販売時期をずらしてすべての機能を実装した製品とにおける,機能差と価格差との間のバランス あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが携わった組込み製品の企画のうち,開発工程の遅延に対処するために,企画の変更によって販売を実現させた製品について,その製品の概要を,機能や特徴,製品戦略なども含めて,800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた組込み製品の企画の変更において,要因となった開発工程の遅延の内容と遅延が発生した理由は何か。また,その対処のためにあなたはどのような点について分析し,検討したか。800字以上1、600字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べた分析・検討の結果,あなたはどのような変更案を作成したか。また,その後の販売開始に至るまでの状況の変化や,採用されなかった変更案との比較なども含めて,採用した変更案をどのように評価しているか。600字以上1、200字以内で述べよ。
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判断の前提をそろえて考える

検討を進めるときは、判断の土台となる前提に注目しましょう。読み取れる内容と自分で補った想定を区別し、途中で前提を変えていないか確かめると、考えを整理しやすくなります。

この問題で問われていること

判断の内容そのものを急いで決める前に、その判断がどの前提に依存しているかを確認してください。根拠として与えられている範囲を意識し、明示されていない条件を当然のものとして加えていないかを点検しましょう。

視点

判断を支える前提を短く言葉にしてみましょう。その前提が与えられた情報に基づくものか、自分の想定なのかを区別すると、検討中の考えを見直しやすくなります。

確認ポイント

  • 前提の根拠を与えられた情報から確認できるか
  • 明示されていない条件を補っていないか
  • 検討の途中で前提を変えていないか
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解説

本問は、組込み製品の開発遅延に対し、製品の基本的なコンセプトを維持しながら企画を変更し、販売を実現した経験を論述する問題です。製品概要、遅延の分析・検討、変更案の作成と評価を一貫させ、採算性や競争優位、変更後の実現可能性などを具体的に説明します。

問題の全体像

開発工程の遅延によって、予定した時期に全機能を備えた組込み製品を販売できなくなり、企画変更が必要になった状況を扱います。問題文は、販売開始の延期や、機能制限のある製品を先に販売する方法を例示し、追加投資の採算性、競争優位への影響、変更後のスケジュールと実現可能性、段階的に販売する場合の機能差と価格差のバランスを検討対象として挙げています。提示された出題趣旨では、製品の機能・特徴、製品戦略、ライフサイクルなどの基本的なコンセプトに影響しない変更案を立案する重要性が示されています。固定の解答例を再現する問題ではなく、自分の経験に基づき、何を分析し、どの案を最適と判断し、採用案をどう評価したかを具体的に論述することで、問題分析力や企画力を示します。

設問ア

「企画の変更によって販売を実現させた製品」と「その製品の概要を、機能や特徴、製品戦略なども含めて」に着目します。800字以内で、自分が携わった製品について、用途や対象市場、主な機能・特徴、競合との差別化や販売時期の狙いなど、後の分析を理解するための前提をまとめます。自分の担当や関与も簡潔に示すと、経験に基づく論述であることが伝わります。出題趣旨が基本的なコンセプトの維持を重視しているため、企画変更でも維持すべき製品の価値や戦略が分かる説明が有効です。組込み製品としての構成や価格は、概要の説明に必要な場合に補足する事項であり、設問アで必須とされている記載事項ではありません。遅延原因や変更案の詳細は設問イ・ウで扱い、ここでは製品概要を中心にまとめます。

設問イ

「遅延の内容と遅延が発生した理由」と「あなたはどのような点について分析し、検討したか」を分け、800字以上1、600字以内で具体的に説明します。まず、どの工程や機能の実装が、当初計画に対してどの程度遅れ、販売開始にどう影響したかを示します。次に、実装に手間取った理由などを、自分の事例に即して説明します。その上で、問題文に挙げられた観点を変更案に応じて適用します。追加投資を伴う案では費用増加と採算への影響、販売延期案では競合他社に対する優位性への影響、各案では変更後のスケジュールと実現可能性を検討します。機能制限版を先に販売する案なら、後に販売する全機能版との機能差と価格差のバランスも説明します。観点の列挙だけで終わらず、比較に用いた情報、分析結果、そこから得た判断をつなぐことが重要です。出題趣旨に沿って、製品の基本的なコンセプトやライフサイクルを維持できるかも検討に含めます。

設問ウ

「分析・検討の結果」「どのような変更案を作成したか」「販売開始に至るまでの状況の変化」「採用されなかった変更案との比較」「採用した変更案をどのように評価しているか」に着目します。600字以上1、200字以内で、作成した案の内容と、設問イの分析結果からその案を採用した理由を示します。例えば、販売時期や搭載機能をどう変更したかを具体化し、不採用案と採算性、競争優位、スケジュール、実現可能性などで比較します。段階的な販売を採用した場合は、機能差と価格差のバランスについての判断も示します。さらに、販売開始までに生じた開発状況や市場・競合動向などの変化を、自分の事例に即して説明し、それが採用案の妥当性にどう影響したかを評価します。出題趣旨では採用案の評価まで求めているため、販売できたという結果だけで終わらず、当初の判断とその後の結果を照合し、製品の基本的なコンセプトやライフサイクルを維持できたかも根拠とともに述べます。

学習のポイント

遅延の原因、分析・検討、変更案の選定、採用案の評価を因果関係でつなぎ、製品戦略とライフサイクルとの整合を説明する練習が重点です。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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