SMITサービスマネージャ試験 午前Ⅰ

令和4年度春期 ITサービスマネージャ 午前Ⅰ 問12

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

メッセージの送受信における署名鍵の使用に関する記述のうち、適切なものはどれか。

選択肢

  1. ア
    送信者が送信者の署名鍵を使ってメッセージに対する署名を作成し、メッセージに付加することによって、受信者が送信者による署名であることを確認できるようになる。
  2. イ
    送信者が送信者の署名鍵を使ってメッセージを暗号化することによって、受信者が受信者の署名鍵を使って、暗号文を元のメッセージに戻すことができるようになる。
  3. ウ
    送信者が送信者の署名鍵を使ってメッセージを暗号化することによって、メッセージの内容が関係者以外に分からないようになる。
  4. エ
    送信者がメッセージに固定文字列を付加し、更に送信者の署名鍵を使って暗号化することによって、受信者がメッセージの改ざん部位を特定できるようになる。
解き方のヒントを見る

鍵の持ち主と各操作の担い手を整理する

デジタル署名の問題では、登場する利用者ごとに誰がどの鍵を保有しているかと、署名の作成や検証などの各操作を誰が行うかを対応づけて整理することが重要です。鍵の持ち主という一つの観点で点検します。

この問題で問われていること

この問題で注目すべきは、各利用者が自分だけで保持する鍵と、他者にも公開して共有される鍵をそれぞれ誰が持つかです。操作ごとに、その操作を行う人物が手元に持てる鍵はどれかを考える視点で確認してください。

視点

公開鍵暗号方式を用いる仕組みでは、鍵は対になって生成され、その対は特定の利用者に結び付きます。『誰の鍵か』と『秘密か公開か』という二つの属性を分けて把握すると、立場の異なる利用者の役割を混同しにくくなります。

確認ポイント

  • 登場する各利用者について、どの鍵の対が誰に属するかを整理したか
  • 各操作を行う人物が、その鍵を実際に入手・保持できる立場にあるかを確かめたか
  • 『誰の鍵か』と『秘密か公開か』の二つの属性を混同せずに読み取ったか
正解と解説を見る

正解

ア

解説

署名鍵は送信者だけが持つ秘密の鍵で、メッセージに対する署名の作成に使います。受信者は送信者の検証鍵(公開鍵)で署名を検証し、送信者本人の署名であることを確認できます。したがって正解はアです。

理由

送信者は自分だけが持つ署名鍵で、メッセージ(通常はそのハッシュ値)から署名を作成し、メッセージに付けて送ります。受信者は送信者の検証鍵で署名を検証します。その署名鍵を持つのは送信者だけなので、検証に成功すれば送信者本人による署名であると確認できます。これを述べたアが適切です。

比較

イは、受信者が自分の署名鍵で元に戻すとしている点が誤りです。検証に使うのは送信者の検証鍵です。ウは、送信者の署名鍵で処理しても公開鍵で誰でも検証できるため、秘匿にはなりません。エは、署名で分かるのは改ざんの有無までで、改ざんされた部位の特定はできません。

選択肢ア(正解)

これは正解だよ。署名鍵は送信者だけが持つ秘密の鍵で、送信者はこれを使ってメッセージ(通常はそのハッシュ値)に対する署名を作成し、メッセージに付けて送る。受信者は送信者の検証鍵(公開鍵)で署名を検証する。検証に成功すれば、送信者本人による署名であることと、メッセージが改ざんされていないことを確認できる。

選択肢イ

これは不正解だよ。署名鍵は署名者本人だけが持つ秘密鍵であり、送信者の署名鍵で処理したものを、受信者が自分の署名鍵で元に戻すことはできない。署名の検証に使うのは送信者の検証鍵(公開鍵)である。受信者の署名鍵は受信者自身が署名を作るための鍵なので、この鍵の組合せは成り立たない。

選択肢ウ

これは不正解だよ。送信者の署名鍵で処理したデータは、誰でも入手できる送信者の検証鍵(公開鍵)で検証できるため、内容を関係者以外から隠す機密性は得られない。機密性を確保するには、受信者の公開鍵で暗号化する方式や共通鍵暗号など、署名とは別の仕組みが必要になる。

選択肢エ

これは不正解だよ。固定文字列を付けて署名鍵で処理すると、検証したときに固定文字列が一致するかどうかで、改ざんの有無を確かめる手がかりにはなり得る。しかし、メッセージのどの部分が改ざんされたかという改ざん部位までは特定できない。デジタル署名で分かるのは改ざんの有無までである。

学習のポイント

デジタル署名で得られるのは、送信者の真正性(なりすましでないこと)と完全性(改ざんされていないこと)の確認です。内容を秘匿する機密性は得られず、改ざんされた箇所の特定もできません。署名鍵は送信者の秘密鍵、検証鍵は送信者の公開鍵、秘匿に使うのは受信者の公開鍵、という対応関係を区別して覚えましょう。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅰ 問12(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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