SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
令和6年度春期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
条件が適用される範囲を確かめる
業務要件と処理条件を整理するときは、それぞれの条件がどこまで適用されるかに注目しましょう。条件の内容だけで判断せず、与えられた情報の中で、その適用範囲を確かめることが検討の出発点になります。
この問題で問われていること
検討の中心は、ある条件を、本来示されている範囲を超えて当てはめていないかという点です。適用範囲の根拠を与えられた情報に戻って確かめ、明示されたことと自分で補った前提を区別して考えましょう。
視点
条件は、内容を把握するだけでなく、適用範囲と合わせて捉えると整理しやすくなります。範囲がはっきりしない部分は、勝手に広げず、確認が必要な点として意識しておきましょう。
確認ポイント
- 条件が適用される範囲を意識できているか
- その範囲を与えられた情報で裏付けられるか
- 自分の推測で適用範囲を広げていないか
正解と解説を見る
解説
現行業務の処理時点や制約を読み取り、改善要望を具体的なシステム機能へ落とし込む問題です。金融機関ごとの結果受領日、ボーナス月の回数制限、通知や審査の条件、解約予約から解約への遷移を正確に整理します。
問題の全体像
E社は、カードローン会員の利便性向上と事務部門の業務効率化を目的に、フロントシステムと基幹システムを改善します。事務部門が行っている確認や審査依頼のシステム化に加え、収入証明書の提出、メッセージ表示、解約予約などを設計する事例です。公式の出題趣旨では、現行業務を正しく理解し、改善要望から必要な機能を設計する能力を問うとされています。各設問では、現行の業務規則が改善後の機能や処理条件にどう引き継がれるかを読み取ります。
設問1
〔現在の会員サービスと関連システムの概要〕にある「口座振替の結果を受領した日に借入残高を更新」に着目します。実約定日は引落日であり、残高更新日は金融機関から結果が届く日です。その間の口振結果営業日数は金融機関ごとに異なり、金融機関マスターで管理されています。公式解答例では「次回の実約定日に振替先口座がある金融機関の口振結果営業日数を足す」としています。40字以内の答案では、起点となる次回の実約定日、対象金融機関、加算する口振結果営業日数を押さえます。日数は営業日として扱います。採点講評では、現行システムの残高更新のタイミングを十分に理解していない解答が指摘されています。
設問2
解約受付後は、会員情報・契約情報の変更と新規貸付けを禁止し、キャンペーンも実施しないという改善要望に着目します。また、解約の取消も受け付けません。この制約と各サービスの内容を照合すると、解約予約中でも必要なメッセージの確認、残高や返済予定などの照会、問合せは利用できます。公式解答例では「お知らせサービス、各種情報照会サービス、問合せサービス」の三つを挙げています。「全て」と問われているので、この三つをサービス名で漏れなく列挙します。
設問3(1)
〔E社のカードローンの概要〕にある「ボーナス月の変更の際にはボーナス月が1年に3回以上とならないように調整」に着目します。変更後のボーナス月を二つに設定しても、反映のタイミングによっては変更前と変更後のボーナス月が同じ年に重なり、年間の回数が増える可能性があります。そのため、反映日にも回数制限を適用します。公式解答例では、変更によってボーナス月が1年に3回以上とならないようにすることを示しています。40字以内では「ボーナス月の変更によって年間のボーナス月が3回以上にならないこと」という制約を中心にまとめます。
設問3(2)
〔現在の会員サービスと関連システムの概要〕の限度額の変更サービスでは、審査完了後の書類を確実に届けるため、事務部門が住所の変更有無を電話で確認しています。この確認作業をシステム化するため、申込画面に確認項目を追加します。公式解答例は「住所変更の有無」です。10字以内の答案では、この確認対象だけを簡潔に示します。収入証明書の同時アップロードは別の改善機能なので、追加項目の目的と混同しないことが大切です。
設問3(3)条件①
電話連絡を効率化するため、対応が必要な会員を各種変更画面へ誘導するという改善要望に着目します。会員情報の電話番号ステータスは、電話連絡の際に番号が無効だった場合に「無効」へ変更されます。この属性を使えば、電話番号の確認・変更が必要な会員を抽出できます。公式解答例は「電話番号ステータスが“無効”であること」です。25字以内では、属性名と判定する値を明示します。「電話がつながらない」といった状況説明だけでは、設問が指定する会員情報の属性を用いた条件になりません。
設問3(3)条件②
〔E社のカードローンの概要〕では、収入証明書の有効期限が到来する3か月前に再提出を依頼しています。改善要望では、この再提出が必要な会員にメッセージを表示し、提出画面へ誘導するとされています。したがって、会員情報の収入証明書有効期限を使って対象者を判定します。公式解答例は「収入証明書有効期限が3か月以内に到来すること」です。25字以内では、属性名と「3か月以内」という期間条件を押さえます。有効期限が切れてから通知する条件では、本文の再提出依頼の時期を満たせません。
設問4(1)
〔E社のカードローンの概要〕に、転職・転籍・退職による勤務先変更では限度額を見直すと記載されています。現行業務では、事務部門が勤務先変更理由を確認して審査を依頼するため、その判断を基幹システムの連携条件に置き換えます。公式解答例は「勤務先変更理由が、転職、転籍又は退職の場合」です。25字以内では、判断に使う勤務先変更理由と三つの理由を明示します。転勤、会社の住所変更、社名変更も本文の選択肢にありますが、公式解答例の条件には含まれません。採点講評では、事務部門の現行業務に関連しない解答が指摘されており、既存の判断規則を根拠にすることが重要です。
設問4(2)
改善後は、すぐに解約できない会員も解約を申し込めるようにし、受付時に契約ステータスを「解約予約」へ変更します。一方、現行の解約サービスでは借入残高がある場合に解約できないため、実際の解約には完済が必要です。公式解答例は「契約ステータスが“解約予約”で借入残高が0円であること」です。30字以内では、解約予約済みと残高0円の二条件を「かつ」の関係で示します。残高0円だけでは解約を希望していない契約まで対象となり、解約予約だけでは未完済の契約も対象となるため、両方の条件が必要です。
学習のポイント
業務記述から判断に使う属性・値・時点を抽出し、画面機能や連携条件、状態遷移へ対応付ける練習を重視します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和6年度春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針