SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
令和6年度春期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
検討の前提をそろえて考える
検討を進めるときは、判断の土台となる前提が途中で変わっていないかに注目しましょう。示された条件と自分が補った想定を区別し、同じ前提のもとで考えを進めることで、思い込みによるずれを点検できます。
この問題で問われていること
この問題では、判断に使っている前提を一つずつ意識し、考える途中で別の想定に置き換わっていないかを確認しましょう。明示された条件に立ち戻り、自分の理解がその条件の範囲に収まっているかを振り返るのが着眼点です。
視点
前提とは、考えを進める際に土台として扱う条件です。自分では自然に思える想定でも、示された条件と同じとは限りません。考えがまとまったら、出発点としていた条件が途中で変わっていないかを確かめましょう。
確認ポイント
- 判断の土台にした前提を言葉にできるか。
- 示された条件と、自分が補った想定を区別できているか。
- 考えの途中で、前提を別の想定に置き換えていないか。
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解説
本問は、企業合併に伴うシステム統合について、製造計画の逆算、所要時間の計算、在庫管理の設定、複数回製造に対応するファイル構造、発注手続の変更と業務改善を、本文の要件に結び付けて説明する問題です。
問題の全体像
加工食品メーカーのA社が乳飲料メーカーのB社を吸収合併し、A社のシステムに統合する事例です。A社は見込生産で一品目を日に一回製造し、B社は受注生産で同じ製品を日に複数回製造する場合があります。統合では、B社の製造方法を維持しながら、運用はできるだけA社に合わせます。出題趣旨では、既存システムの再利用、業務プロセスの変更、機能とファイル構造、社外との連携を含め、整合性のある設計を行う能力を問うとしています。各設問では、業務要件がどの設定や変更につながるかを説明します。
設問1(1)
着目するのは、製品を生産計画で定めた期日までに製造することと、各工程の開始予定日時を遅くともいつにする必要があるかを考えるという記述です。図1の製造順序とは逆に最終工程から所要時間をたどることで、期日に間に合う各工程の開始日時を決められます。公式解答例では、この期日からの逆算を理由としています。40字以内の答案では「製品を期日までに製造するため、逆算して各工程の開始日時を決めるから。」とまとめられます。採点講評では、本文を切り取るだけで、後工程から作成する理由が不明確な解答が多かったとしています。
設問1(2)(比例)
本文には、製造する数に比例する工程では、品目ごとに単位当たり所要時間が決まっているとあります。表1の工程マスターの「所要時間」がその単位当たりの時間に当たり、製造ファイルの「製造指示数」を掛けると、工程全体の想定所要時間になります。公式解答例では「所要時間×製造指示数」です。設問は表1中の属性で答えるよう指定しているので、本文の「単位当たり所要時間」を、表の属性名である「所要時間」に対応付けます。
設問1(2)(一定)
本文には、製造する数によらず一定の時間を要する工程では、品目ごとに固定の所要時間が決まっているとあります。そのため、工程マスターの「所要時間」をそのまま想定所要時間として用います。公式解答例も「所要時間」です。時間計算区分が「一定」のときは、製造指示数が増えても、この計算で用いる時間は変わりません。
設問2(1)
B社の在庫管理対象を品目分類ごとに確認します。製品は製造後直ちに出荷され、仕掛品は直ちに次の工程に投入されるため、どちらも在庫管理を行いません。一方、原材料は表計算ソフトで在庫管理を行っています。公式解答例では、製品と仕掛品を「無」、原材料を「有」に設定します。30字以内なら「製品・仕掛品は『無』、原材料は『有』に設定する。」と整理できます。採点講評では、一方の値だけを記載した解答が見られたとしています。対象と値の対応を両方示すことが必要です。
設問2(2)(ファイル①)
公式解答例の一つ目のファイルは「製造」です。表1の現在の主キーは、工場コード、製造開始予定年月日、工程コードです。工程コードから製造品目が一意に決まるので、同じ工場・同じ日・同じ工程で複数回製造すると、現在の主キーではそれぞれの製造データを識別できません。B社の製造方法を維持するには、各回を区別できる属性を主キーに追加する必要があります。
設問2(2)(ファイル②)
公式解答例の二つ目のファイルは「投入」です。表1の現在の主キーは、工場コード、製造開始予定年月日、工程コード、投入品目コードです。同じ工程で日に複数回製造し、各回で同じ原材料や仕掛品を投入する場合、この組合せが重なります。各回の投入指示と投入実績を識別するには、製造データと同様に、製造の各回を区別できる属性を主キーに追加する必要があります。
設問2(2)(要件)
対比するのは、A社の「一つの品目は、1日に1回まとめて製造する」と、B社の「一つの製品を、1日に複数回製造する場合がある」という記述です。統合方針ではB社の製品の製造を現行どおりとするため、A社の一日一回を前提とした主キーを変更する必要があります。公式解答例では、同じ製品を日に複数回製造する要件を挙げています。30字以内の答案では「一つの製品を1日に複数回製造する場合があること。」とまとめられます。
設問2(3)
変更前後の発注書の様式に着目します。B社は仕入先ごとの要望に合わせた複数の様式を使っていますが、A社のシステムはA社で定めた様式の発注書を電子メールに添付します。統合方針に従って既存システムを利用するため、仕入先に、その様式による発注を受け付けてもらう必要があります。公式解答例では、発注書をA社で定めた様式に変更することを示しています。25字以内なら「発注書の様式をA社で定めた様式に変更すること。」と書けます。
設問3(1)
B社では、現場で製造実績と投入実績を手書きし、月末に記録表を参照してまとめて生産管理システムへ入力していました。統合後はA社の運用に合わせ、各工程の終了時にタブレット端末で実績を登録します。これにより、月末に集中していた入力作業が削減され、負荷が平準化されます。公式解答例でも、この月末のまとめ入力を挙げています。40字以内の答案では「月末に記録表を参照し、実績をまとめて生産管理システムに入力する作業。」と、時点と作業内容を示せます。
設問3(2)
B社では、実績を翌月に集計するため、本社管理部門が管理指標値を確認できるのも翌月でした。A社のシステムでは、各工程の終了時に実績を登録し、夜間に管理指標値を集計して翌日に参照可能にします。このため、公式解答例では「前日までの実績を反映した管理指標値が参照可能になった」としています。30字以内の答案では「前日までの実績を反映した管理指標値を参照できる。」とまとめられます。採点講評では、リアルタイムで反映されると誤解した解答が見られたとしています。実績登録と指標集計の時点を区別することが重要です。
学習のポイント
業務の違いを機能・主キー・運用に対応付け、処理の時点まで正確に読み取ることが重点です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和6年度春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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