SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅱ
令和5年度春期 システムアーキテクト 午後Ⅱ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
判断の前提を確かめる視点
変更の影響を考えるときは、その判断がどの前提に基づいているかに注目しましょう。与えられた条件と、自分が補っている想定を区別し、条件が変わった場合にも同じ判断が成り立つかを考えることが手掛かりになります。
この問題で問われていること
考える際は、判断の土台となる条件を確かめることに焦点を絞りましょう。示されている情報のどこまでを根拠にできるのかを意識し、普段の経験から加えた想定を、与えられた条件と混同していないか振り返ってください。
視点
判断の前提には、与えられた条件と、自分が補った想定があります。両者を区別して考えると、根拠がある部分と、まだ確かめる必要がある部分を整理できます。
確認ポイント
- 判断の根拠となる条件を確認したか
- 自分が補った想定を区別できているか
- 条件が変わっても同じ前提を置いてよいか
正解と解説を見る
解説
本問は、組込みシステムの将来の改変に備え、再利用を容易にするアーキテクチャをどう構築したかを問う論述問題です。システムの特性・制約を踏まえ、目標、変更対象・変更範囲、改変管理、テスト範囲、達成度を一貫した事例として説明することが要点です。
問題の全体像
本問は、解答者が携わった組込みシステムを題材に、改変時と将来の再利用を容易にするためのアーキテクチャ上の判断を論述する問題です。問題文では、ハードウェア・ソフトウェアの追加・削除・変更を想定し、一部分の変更で済む設計を行うこと、想定外の変更や構造の複雑化に応じてアーキテクチャを見直すことを挙げています。さらに、元のシステムと派生したバリエーション、再利用部品の管理、変更箇所とアーキテクチャに基づくテスト範囲の判断も求めています。
添付の公式資料には具体的な答案例ではなく出題趣旨が示されています。出題趣旨では、変更対象・範囲、改変の管理方法、テスト範囲への考慮を通じて、システム理解力とアーキテクチャ構築力を評価するとしています。採点講評では、対象の特徴・制約を踏まえた具体的な論述がある一方、一般論や特定部分の実装にとどまる論述も指摘されています。したがって、設問アで事例と目標を定め、設問イで判断と対応を説明し、設問ウでその効果と課題を検証する流れを作ることが重要です。
設問ア
800字以内で、組込みシステムの構成と概要、改変の内容、再利用の容易化に係る目標を示します。まず、何を制御・処理するシステムなのか、主要なハードウェアとソフトウェアがどのように連携するのかを説明します。その際、後の設計判断に関係する特徴・制約を、自分の事例に即して絞り込みます。例えば、応答時間や使用可能な資源などを挙げる場合は、それが変更範囲やテストの判断にどう関わるかが伝わる程度に記述します。
次に、何を追加・削除・変更する改変だったのか、既存の構成をそのまま利用するうえでどのような問題があったのかを示します。問題文の「一部分の変更で済む方法」や「構造が複雑化した場合」に着目すると、再利用を容易にする必要性を説明しやすくなります。目標は「再利用性を高める」だけで終えず、変更の波及を抑える、派生システムへの展開工数を減らすなど、自分の事例で達成度を確認できる内容にします。数値を示す場合は経験に基づく値を使います。
採点講評では、対象システムの特徴・制約を把握することが重視されています。製品の紹介を長く書くよりも、構成、改変の必要性、目標を結び付け、設問イの判断を理解するための前提を過不足なく置くことがポイントです。
設問イ
800字以上1、600字以内で、設問アの目標に向けた考慮を、変更対象・変更範囲、改変管理、テスト範囲の三つを含めて具体的に説明します。各項目について、対象システムの事情、検討した内容、採用した対応、その理由をつなげて書くと、実施事項の列挙を避けられます。
変更対象・変更範囲では、どのハードウェアやソフトウェアを変更し、どの部分を再利用したのかを明らかにします。問題文の「一部分の変更で済む方法」に着目し、構成部品間の依存関係や接続関係から、変更の波及をどう抑えたかを説明します。アーキテクチャそのものを見直した事例なら、想定外の変更や改変の繰返しによる複雑化が、なぜ部分的な対応では解消できなかったかも示します。
改変管理では、問題文の「元の組込みシステムと改変で増えたバリエーションの管理」「再利用できる部品の管理」を根拠に、各システムがどの部品・版を利用しているかを把握する方法を説明します。共通部品の不具合が見つかった場合に、影響する派生システムや関連箇所をどう抽出できるようにしたかまで書くと、管理方法の目的が明確になります。
テスト範囲では、変更箇所だけでなく、アーキテクチャ上の依存関係から影響を受ける範囲をどう判断したかを説明します。変更部分、関連部分、再利用部分について、必要と判断したテストとその理由を示し、システム固有の制約を確認する必要があれば、その扱いも述べます。
出題趣旨では、この三つの観点への考慮を具体的に論述することが求められています。採点講評では、一般論や特定部分の実装にとどまる答案が指摘されているため、個別の実装方法に加え、システム全体と将来の改変を見据えた判断を説明することがポイントです。
設問ウ
600字以上1、200字以内で、設問イの考慮によって設問アの目標をどこまで達成したかと、今後の課題を説明します。まず、目標ごとに結果を対応させます。例えば、変更範囲の抑制を目標にしたなら実際に変更が波及した範囲、工数削減を目標にしたなら改変前後や比較対象との差を、自分の経験に基づいて示します。測定値がない場合も、変更を局所化できた箇所や、不具合の影響先を特定できた実績など、達成度を判断した具体的な根拠を書きます。
そのうえで、設問イのどの設計・管理・テスト上の考慮が結果に寄与したかを説明します。「目標を達成した」「品質が向上した」という結論だけでは、採用した対応の妥当性が伝わりません。目標の一部が未達成なら、残った制約や想定との違いを示し、達成した点と区別して評価します。
今後の課題は、今回の結果や将来の変更見通しから導きます。問題文は「将来にわたっての再利用の容易化」を求めているため、今回対応できた改変を超えて、どのような変更に備える必要があるか、そのために何を改善するかを具体化します。課題を広く列挙するより、主要な課題と対応方針、その理由を説明する方が字数内で内容を深められます。
採点講評の全問共通の指摘では、実施した理由や検討の経緯が読み取れない論述が挙げられています。設問アの目標、設問イの対応、設問ウの結果と課題を結び付け、システムアーキテクトとしての評価と次の判断を示すことがポイントです。
学習のポイント
再利用の設計手法を覚えるだけでなく、変更の影響を判断した理由、派生システムの管理方法、テスト範囲の根拠を、自分の経験に基づいて説明する練習を重視します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針