SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
令和5年度春期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



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業務の目的と設計のつながり
業務要件と機能設計を考える際は、業務で実現したい目的と、設計上の判断とのつながりに注目しましょう。用語の印象だけで判断せず、目的との関係を自分の言葉で説明できるかを確かめることが、検討の足場になります。
この問題で問われていること
この話題では、業務の目的が設計を検討する際の根拠としてどう位置付けられているか、という一点を意識してください。示されている内容を捉えるときも、その目的とのつながりを説明するために何を確認したいかを考えましょう。
視点
業務の目的と設計の関係を整理するときは、両者のつながりを説明する根拠に目を向けます。自分の経験から想像した目的と、示された内容から読み取れる目的を混同していないか意識しましょう。
確認ポイント
- 業務の目的を、自分の思い込みで補っていないか
- 目的と設計のつながりを考える根拠は何か
- そのつながりについて、確認が必要な点はどこか
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解説
融資保証の現行業務を基に、要望を実現する機能と必要な管理情報を導く問題です。接続制約、FAX番号の用途、保証開始の条件、契約状態に応じた集計対象、商品別のルールと利率を対応付けることが要点です。
問題の全体像
L社は、金融機関を通じて法人顧客に融資保証を提供しており、老朽化したシステムを再構築します。現行のFAX受付や手作業を、ポータルサイト、OCR、書類チェック、保証料計算などで効率化する事例です。公式の出題趣旨では、現行業務を正しく把握し、利用部門の要望をシステム要件として設計する能力を問うとしています。本文の業務手順と表1の機能を結び付け、制約、状態の更新条件、集計対象、商品別に必要な情報を読み取ります。
設問1(要望)
〔現在の業務と現行システムの概要〕にある、外部信用機関との接続制約に着目します。外部信用機関との接続は外信端末に限定され、社内のネットワークやシステムとの接続は許可されていません。要望(e)は、新システムが外部信用機関から情報を取得する機能を求めており、この制約に抵触します。したがって、公式解答例では、見送る要望を「(e)」としています。
設問1(理由)
見送る理由は、情報セキュリティ規則による接続先の制限です。この規則は全てのシステムで遵守が求められるため、新システムにも適用されます。40字以内の答案では、規則と外信端末への接続限定を押さえます。公式解答例では「情報セキュリティ規則で外部信用機関との接続は外信端末に限定しているから」としています。開発の難しさや費用ではなく、本文に明記された制約を理由にします。
設問2(a)
表1のFAX受信管理は、ヘッダー情報から担当者の割当てに必要な情報を導出します。現行業務では、金融機関と申込種別の単位で担当者を割り当てています。まず、どの金融機関から届いたFAXかを特定するため、送信側の番号に着目します。公式解答例では、aを「送信元FAX番号」としています。送信日時や受信日時は、送信元の金融機関を導出する情報には当たりません。
設問2(b)
bは、aの情報から導出する対象です。送信元FAX番号を金融機関の情報と対応付ければ、申込書類を送った金融機関を特定できます。表1の金融機関管理にも、管理する情報としてFAX番号が挙げられています。したがって、公式解答例ではbを「金融機関」としています。この情報を申込種別と組み合わせて、担当者を割り当てます。
設問2(c)
現行業務では、新規申込と契約変更申込という申込種別ごとに、異なるFAX番号を設定しています。そのため、L社のどの番号でFAXを受けたかが、申込種別を判別する手掛かりになります。公式解答例では、cを「受信FAX番号」としています。送信元FAX番号が送った金融機関を示すのに対し、受信FAX番号はL社側の受付先を示します。
設問2(d)
dは、受信FAX番号から導出する対象です。申込種別ごとに受付用のFAX番号を分けているので、受信FAX番号から新規申込か契約変更申込かを判別できます。公式解答例ではdを「申込種別」としています。公式解答例の備考では、a・bの組とc・dの組は順不同とされています。「送信元FAX番号→金融機関」と「受信FAX番号→申込種別」の対応を保つことが要点です。
設問3
現行の保証料入金及び保証契約書類受領業務では、保証料の全額入金と保証契約書類の受領を確認して、契約状態を「実行中」にします。表1では、保証料管理が全額入金を確認して入金状態を「入金済」にし、書類管理が契約書類の受領時に書類受領状態を「受領済」にします。したがって、公式解答例は「保証料管理,書類管理」です。審査管理は契約状態を「実行待ち」にする機能であり、その後にそろえる二つの条件を設定する機能を答えます。
設問4(1)
〔現在の業務と現行システムの概要〕の融資残高管理業務には、完済された融資の契約状態を「終了」にし、外部信用機関に保証完了を報告するとあります。融資残高がゼロになった案件の一覧は、この報告対象を把握するために使います。25字以内の答案では、報告先と報告内容を示します。公式解答例は「外部信用機関に保証完了の報告をするため」です。設問は業務的な利用目的を求めているので、一覧表示や状態更新というシステム処理だけでは目的を説明できません。
設問4(2)
融資保証の概要では、代位弁済時にL社が借入金残高の全額を立替払いするとあります。レポートで求めるのは、保証が継続している案件が全て代位弁済になった場合の支払額です。そのため、契約状態が「実行中」の案件を対象に、融資残高を合計します。「実行待ち」は保証開始前、「終了」は保証完了後であり、「代弁」の案件はその後の業務を債権管理システムで扱います。35字以内の公式解答例は「保証案件の契約状態が“実行中”である融資残高を合計する。」です。採点講評では、現行業務と契約状態の示す状況を正しく理解することが求められています。
設問5
「商品ごと」「新たに」「全て」という指定に着目し、複数の要望を確認します。要望(d)の書類チェックを実現するには、商品ごとに異なる必要書類を判断するチェックのルールが必要です。また、要望(f)の保証料算出を実現するには、現行業務で計算に使っている商品ごとの利率を管理する必要があります。30字以内の公式解答例は「申込書類のチェックのルールと保証料の算出に用いる利率」です。採点講評では、一つの要望に対応する項目だけを答えた解答が多かったとされており、二つの管理内容を漏れなく挙げることが要点です。
学習のポイント
業務目的とシステム処理を区別し、状態の意味と更新条件を理解して、複数の要望に必要な管理情報を漏れなく導く練習をしましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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