SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
令和5年度春期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


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判断の前提となる範囲をそろえる
移行に関する内容を検討するときは、判断の対象となる範囲をそろえることから始めましょう。何を含めて考えているかを意識し、異なる範囲の話を同じものとして扱っていないか確かめる視点が役立ちます。
この問題で問われていること
この問題では、取り上げられている事柄について、どこまでを判断の対象に含めるのかに注目しましょう。自分が想定した範囲を無意識に広げたり狭めたりせず、示された条件に沿って考えているかを確認します。
視点
対象範囲とは、ある判断でどこまでを扱うかという区切りです。考えを整理する際は、扱う範囲を短い言葉で表しておくと、途中で別の範囲の話へ移っていないか振り返りやすくなります。
確認ポイント
- 判断の対象となる範囲を意識できているか
- 示された範囲に自分の想定を加えていないか
- 考える途中で対象範囲が変わっていないか
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解説
本問は、ERPのバージョンアップに伴い、コード統一と業務継続を両立する移行計画を考える問題です。受注の前倒し、業務負担の解消、分析用データの再集計、更新されない過去データの事前移行を、本文の条件から導きます。
問題の全体像
Aグループは、サポート期限が迫るERPと分析ツールをバージョンアップし、4社を一斉に移行します。業務プロセスや既存アドオン、帳票定義を継続しながら、関連会社のコードをA社に統一し、受注・出荷への影響を抑える必要があります。公式の出題趣旨では、システムの仕様を理解し、上層部の指示・方針、社外を含む業務要件、各種の制約条件に基づいて適切な移行計画を立案する能力を問うとしています。各設問では、具体的な移行施策がどの条件から導かれるかを説明します。
設問1
土曜日の受注を停止し、月曜日に新基幹システムを本稼働させる方針に着目します。通常なら土曜日の受注で月曜日の納品を指定できますが、移行期間中はその受注ができません。受注データは夜間に出荷指示へ変換されるため、月曜日に納品する品物も金曜日までに受注しておく必要があります。納品日は翌営業日から7日先までの営業日を指定できるので、金曜日の発注で月曜日を指定できます。公式解答例では「金曜日までに,月曜日が納品日の品物を発注すること」としています。30字以内では、発注期限と対象の納品日を押さえます。
設問2
X社の説明にある、ERPの現行バージョンと新バージョンではデータ構造が異なるという条件に着目します。表1のパターン3では、抽出したデータを新バージョンで扱える構造に変更する処理が必要です。コード変換は次の(イ)で別に行うため、空欄aにはデータ構造の変更を入れます。公式解答例では「現行バージョンのデータ構造から新バージョンのデータ構造に変更」としています。35字以内では、変更前と変更後の構造を明示します。空欄の後に「する」があるため、解答は「変更」で終わる形です。
設問3(1)
部長の方針にある、コード統一が必要な理由に着目します。関連会社の経理担当者は、予算管理や連結決算の際に表計算ソフトでA社のコードに合わせた集計を別々に行い、大きな事務処理負担を抱えています。パターン2のERP移行ツールはデータの値を加工できず、コードを統一できないため、この負担が残ります。公式解答例では「経理担当者の事務処理の負担が大きいこと」としています。採点講評では、コードが統一されていないというシステム上の問題を答えた例が多かったと指摘しています。25字以内では、担当者に生じている業務上の負担を答えます。
設問3(2)
関連会社のコードをA社のコードに統一する方針と、現行情報系システムが基幹システムのデータを集計して保存している点を結び付けます。関連会社の現行情報系データは統一前のコードに基づく集計結果ですが、新基幹システムのデータにはコード変換が行われます。そのため、変換後のデータに基づいて再集計し、新情報系システムへ登録します。公式解答例では「関連会社の新基幹システムのデータはコード変換が行われるから」としています。35字以内では、関連会社のデータにコード変換が行われる点を押さえます。採点講評では、基幹システムの移行方法を選ぶ理由との混同が指摘されており、ここでは情報系データを再集計する理由を答えます。
設問3(3)
表2の下線③は、現行システムの全ての過去データを移行対象とする施策です。対応するのは、担当役員の「過去の経営状況を新たな切り口でも分析できるようにする」という指示です。現行情報系システムに保存された集計結果だけでは、新たな切り口に必要な集計ができるとは限りません。過去の基となるデータも移行対象にすることで、必要に応じた新たな集計につなげられます。公式解答例では「過去の経営状況を新たな切り口でも分析できるようにすること」としています。35字以内では、過去の経営状況と新たな切り口での分析という目的を答えます。
設問3(4)(範囲)
部長の方針にある「現行基幹システムの実績データは前月分と当月分だけ更新できる」という条件に着目します。事前移行後も更新される可能性がある前月分と当月分を除くと、先に移行できるのは前々月以前の実績データです。公式解答例では、範囲を「前々月以前」としています。10字以内では、この期間を簡潔に示します。「過去データ」だけでは、前月分を含むかどうかが不明確になるため、月の境界を明示します。
設問3(4)(理由)
前々月以前の実績データは、現行基幹システムで更新できる期間の対象外です。そのため、稼働中に先に移行しても、その後の更新によって移行先との内容に差が生じません。これにより、システム停止後に移行するデータ量を減らし、停止期間を短縮できます。公式解答例では「前々月以前の実績データは更新されないから」としています。25字以内では、対象データが更新されないことを直接答えます。設問ではデータ量に問題がないことが確認済みなので、理由の中心は処理量ではなく更新の有無です。
学習のポイント
業務上の問題とシステム上の制約を区別し、基幹システムと情報系システムそれぞれの移行理由を説明する力を身に付けましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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