SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
令和4年度春期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
情報を扱う前提をそろえて考える
システムに関する内容を検討するときは、情報を扱う前提がそろっているかに着目しましょう。名称や印象だけで判断せず、示された条件を手掛かりに、同じ前提で考えられているかを丁寧に確かめることが大切です。
この問題で問われていること
この話題では、情報について述べられている内容を、示された条件に沿って捉えることに集中しましょう。自分の経験から前提を補いすぎず、どこまでが与えられた条件で、どこからが自分の想定かを区別して考えてみてください。
視点
前提とは、検討を進める際の出発点となる条件です。情報の扱いを考えるときも、明示された条件と自分で補った想定を混ぜないようにすると、考える範囲を整理できます。
確認ポイント
- 情報の扱いについて、明示された条件を押さえたか
- 書かれていない前提を、自分で付け加えていないか
- 判断の根拠を、示された条件までたどれるか
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解説
本問は、橋梁点検の課題を自律飛行、センサノードの設置・回収、通信方式の変更、AI分析、業界横断のデータ共有で解決する設計を扱う。機能の追加がどの課題を解消するかを読み取り、運用上の効果やデータ利用の条件を具体的に説明することが要点です。
問題の全体像
F社は、センサとカメラロボットを使って老朽化した橋梁を点検・診断している。現行システムには、熟練操縦者の不足、固定センサの保守負担、ゲートウェイの電源制約、画像の目視診断に要する時間などの問題がある。新システムでは、自律飛行、センサの設置・回収、モバイル通信、AI分析、標準化されたデータの共有を導入する。出題趣旨では、現行の課題を分析して要件を定義し、新たなシステムアーキテクチャと機能仕様を検討する能力を問うとしている。各設問では、追加される技術と、それによって得られる具体的な効果を結び付けて読む。
設問1(1)
表2の空欄は「AIを活用して【a】を構築し、予兆診断・保全を支援する」という位置にある。根拠は開発項目(3)で、環境データ、診断データ、設計データをAIで分析・学習し、劣化の予測モデルを構築すると明記されている。現在の画像から損傷を見つける機能と、将来の劣化を予測する機能を区別して読む。公式解答例では「劣化の予測モデル」としている。
設問1(2)
表1では、センサノードのデータをゲートウェイに集約し、ゲートウェイからモバイル通信で診断サーバへ送信している。また、現行の問題点には、ゲートウェイが商用電源を必要とし、設置できる橋梁が限られるとある。図2の注記では、変更後はセンサノードと診断サーバがモバイル通信で接続される。この変更によってゲートウェイを設置する必要がなくなる。公式解答例では「ゲートウェイの設置を不要にするため」としている。20字以内では、不要になる機器とその設置を示せばよい。
設問1(3)
開発項目(2)の「必要な期間だけ」データを収集し、その後センサロボットで「回収される」という記述に着目する。現行では橋梁に固定して使うセンサノードを、新システムでは回収して別の橋梁に設置できるため、同じノードを複数の橋梁の点検に使える。公式解答例では「異なる橋梁でセンサノードが再利用できる」としている。25字以内では、異なる橋梁と再利用の二点を押さえる。採点講評では、コスト削減を答えた例が見られたとし、より少ないセンサノード数で運用できることへの理解を求めている。
設問2(1)
表2では、カメラロボットは設定された飛行計画に従って自律飛行する。一方、近接センサは周囲の障害物を検出するための装置なので、障害物を検出したときには、衝突を避けながら飛行する必要がある。公式解答例では「検出した障害物を回避しながら飛行する。」としている。25字以内では、検出した障害物を回避する動作を明確に書く。本文にある全機への中断・着陸指示は、点検制御装置が点検の継続を困難と判断した場合の処置であり、この設問の障害物検出時の動作とは条件が異なる。
設問2(2)(問題点)
表1では、センサデータを診断サーバへ送る周期は1時間ごとであり、表2でも現行と同様の周期で取得・送信するとある。サーバに蓄積された風向・風力データは、飛行中の現在の風を示すとは限らない。そのため、変化する風に応じてカメラロボットを制御する用途には適さない。公式解答例では、データがリアルタイムでないことと、飛行制御に適さないことを結び付けている。40字以内の答案では「データがリアルタイムでなく、飛行制御に適さない。」と要点をまとめられる。採点講評でも、標準化の有無ではなく、データのリアルタイム性が重要だと指摘している。
設問2(2)(解決策)
表2には、診断サーバからの要求によってセンサノードがオンデマンドで計測できるとある。また、点検制御装置はモバイル通信で診断サーバと通信する。したがって、点検制御装置が必要とする風向・風力データを、診断サーバを経由して要求し、その時点で計測したデータを取得する。公式解答例では「必要なデータを診断サーバを経由してオンデマンドで取得する。」としている。35字以内では、診断サーバを経由する経路と、必要時に取得する方法を押さえる。
設問3(1)
開発項目(3)では、環境データ、診断データ、設計データをAIで分析・学習して劣化の予測モデルを構築する。ここで問われているのは、データ共有を行う理由です。F社が点検した橋梁のデータだけでは、予測モデルに必要な学習データを早期に充実させることが難しく、予測精度を早期に確保できない。他社のデータも活用することで、この不足を補う。公式解答例では「F社のデータだけでは劣化の予測モデルの精度が早期に確保できないから」としている。40字以内では、F社のデータだけという制約と、精度を早期に確保できないという結果を結び付ける。
設問3(2)
開発項目(4)では、既存データが独自のフォーマットで保存されており、それらをそのまま活用しながら、他社への提供と他社データの活用を行うとある。一方、アライアンスではデータモデルとAPIを標準化している。変換層には、F社のデータを標準化された形式に変換して提供する方向と、他社から得た標準化データを現行システムで扱える形式に変換する方向の両方が必要になる。公式解答例では「標準化されたデータモデルと現行システムのデータの相互変換を行う。」としている。40字以内では、変換する二つの形式と、相互変換であることを示します。
学習のポイント
現行と新システムの仕様を比較し、通信経路、機器の再利用、データのリアルタイム性、予測モデルの精度、双方向の形式変換を根拠に答案を組み立てる。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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