SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅱ
令和3年度春期 システムアーキテクト 午後Ⅱ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
役割分担と安全性の見極め
複数の機器やソフトウェアが連携する仕組みでは、各機能をどこに置くかだけでなく、異常時の影響範囲や責任の境界を合わせて考えると、選択肢の違いを整理しやすくなります。
この問題で問われていること
機能の分担を確認するときは、通常時の役割だけで判断せず、通信や構成要素に問題が起きた場合でも安全側に扱えるかという観点を中心に比較してください。
視点
機能分担と安全性を別々に捉えず、連携する要素の境界、異常の波及範囲、全体としての保護の考え方を関連付けて整理します。
確認ポイント
- 各機能の担当範囲と責任の境界を確認する
- 一部の異常が他の要素へ及ぼす影響を考える
- 通常時だけでなく異常時の安全性にも注目する
正解と解説を見る
解説
IoTによって組込みシステムをネットワーク接続する際、システム全体の特徴を踏まえた機能分担、障害対策、セキュリティ、安全性を具体的に論述する問題です。
問題の全体像
本問は、従来スタンドアロンで動作していた組込みシステムを、他の端末機器やサーバ、ネットワークと接続して高度な機能を実現する事例を題材にしている。答案では、まず自分が開発に携わった組込みシステムと接続先の構成、ネットワーク化の目的を示します。その上で、処理を端末機器とサーバのどちらに置くか、通信をどのように使うかを、システム全体の特徴から説明する必要がある。さらに、接続先やネットワークの障害、セキュリティ上の脅威、安全性への影響を想定し、回避策と評価、今後の課題まで一貫して述べることが求められる。公式解答例の出題趣旨では、システムの理解力、適切な機能分担の設計力、非機能要件を踏まえたシステム構成能力が評価対象とされている。採点講評でも、システム全体を説明した上で、その特徴に基づく課題・制約・解決策を具体的に書くことが期待され、抽象的な一般論や実装の細部だけに終始する答案は不十分とされている。
設問ア
800字以内なので、対象システムの説明を広げ過ぎず、後の設問イ・ウで使う前提を明確にする。まず、自分が開発に携わった組込みシステムについて、利用目的、主要な入力・処理・出力、利用環境、要求される応答性や可用性などを簡潔に示す。次に、接続先の端末機器、サーバ、ネットワークの構成と、それぞれがどのように協調するかを書く。最後に、ネットワーク化によって何を実現したかったのかを、ネットワーク化前の制約と対比して述べる。例えば、遠隔監視、複数機器の協調、集中分析、保守性向上など、目的と効果を対応付けることが重要です。採点講評の観点からは、単なる機器紹介ではなく、システム全体の概要を把握していることが伝わる構成にする。設問アで示した端末、サーバ、ネットワーク、目的が、設問イの機能分担や設問ウの達成評価につながるように一貫させる。
設問イ
800字以上1、600字以内で、設問アのシステムをどのように分割して設計したかを中心に具体化する。まず、端末機器にはリアルタイム性、現場での自律動作、通信断時の継続動作、センサデータの一次処理などを、サーバには高負荷な分析、複数端末のデータ統合、履歴管理、遠隔設定などを割り当てる、といった形で、機能分担を示します。ただし、何をどこに置いたかだけでなく、応答時間、通信量、端末のCPU・記憶容量、電源制約、拡張性、保守性など、システム全体の特徴に基づく決定理由を書く必要がある。次に、通信断、サーバ停止、端末故障、遅延やデータ欠損、不正アクセス、改ざん、誤った遠隔操作など、実際の構成に関係する障害を想定する。そして、端末側の一時保存やローカル継続、再送制御、タイムアウト、冗長化、監視、フェールセーフ、認証・暗号化・アクセス制御、更新管理などの回避策を、どの障害に効くか対応付けて記述する。安全に関わるシステムなら、異常時に危険側へ遷移しない設計や、人が確認してから復旧する仕組みも必要になる。採点講評が求めるのは、抽象的な説明ではなく、システム全体の特徴から課題・制約を導き、解決策を具体的に説明することです。
設問ウ
600字以上1、200字以内で、設問イの設計を実施した結果として評価する。最初に、ネットワーク化の目的について、導入前と比較して何が改善したかを、処理時間、検出精度、保守工数、停止時間、通信量、利用者への通知時間などの指標で示す。数値を使えない場合でも、達成できた機能と残った制約を具体的に書く。次に、設問イで考慮した機能分担、障害対策、セキュリティ、安全性が実際にどの程度有用だったかを評価する。例えば、通信断時も端末が安全に動作を継続できた、サーバ側分析で端末負荷を抑えられた、認証によって不正操作を防げた、といった効果を述べる。一方で、未達成の事項や新たに明らかになった課題も必要です。通信量の増加、データ量の増大、未知の攻撃、端末の老朽化、誤検知、復旧時間、運用監視の負担などを挙げ、今後の改善策と優先順位につなげる。設問アからウまで同じシステム、目的、機能分担、評価が連続していることが重要であり、一般的な将来論だけで終わらせない。
学習のポイント
システム全体を捉え、設計理由と非機能要件を具体例で説明する力を鍛える。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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