SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
令和3年度春期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
要件が成り立つ前提を確かめる
要件を検討するときは、その記述がどのような前提の下で成り立つのかに注目しましょう。身近な利用場面を勝手に当てはめず、与えられた条件の範囲で考えられているかを確かめることが大切です。
この問題で問われていること
考えようとしている要件と、その判断の前提となる条件との関係を意識してください。条件として明示された内容と、自分が補った想定を区別すると、どこまでの範囲について考えているかを整理しやすくなります。
視点
要件を考える際には、判断の土台となる前提を整理します。与えられた条件を確認し、書かれていない条件を無意識に加えていないかを意識しましょう。
確認ポイント
- 判断の前提として、与えられた条件を確認しているか
- 明示された条件と、自分が補った想定を区別しているか
- 考えている範囲が、確認した前提から広がりすぎていないか
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解説
本問では、上空からの監視とNSC装置による指令の集約が、消火活動をどのように改善するかを読み取ります。施設情報と現場データの活用、監視方法の組合せ、データの対応付け、複数ロボット間の走行への支障が主要な論点です。
問題の全体像
F社は、高熱や爆発の危険がある産業施設で活動できる消火ロボットを実用化しています。しかし、現行システムには、複数台への指示が迅速に行えないことや、地上からの観測では適切な注水目標を設定しにくいことなどの問題があります。NFRシステムでは、飛行型監視ロボットによる上空からの情報取得と、NSC装置によるデータ処理・指令を組み合わせて改善します。出題趣旨では、現行システムの問題を解決するシステムアーキテクチャの決定と機能仕様の策定に必要な能力を問うとされています。各装置の機能だけでなく、情報の流れと複数ロボットの運用条件を捉える問題です。
設問1(1)(a)
公式解答例では「飛行型監視ロボット」です。着目するのは、NFRシステムの手順⑤と⑥です。⑤では、飛行型監視ロボットの撮影映像や上空の風向・風速などを基に、NSC装置が放水ノズルを調整します。⑥は、この制御を放水中に繰り返す手順なので、放水ロボットへの指令に加えて、判断材料を取得する飛行型監視ロボットへの指令が必要になります。データを取得する装置と、そのデータに基づいて制御される装置の関係から空欄を判断します。
設問1(1)(b)
公式解答例では「放水位置」又は「注水目標」です。空欄の直前にある「消火対象施設の構造図を用いて」という記述と、開発目標(4)に着目します。施設情報と飛行型監視ロボットのデータを処理することで、どこから放水するか、どこへ水を到達させるかを決められます。構造図は、施設の配置や地上から見えない部分を把握する材料になるため、これらの設定に結び付きます。「放水位置」はロボットが放水する場所、「注水目標」は水を到達させたい場所という違いも確認しましょう。
設問1(2)
公式解答例では「1台の搬送指令車で複数のロボットを操作できるようになること」です。現行システムでは、各搬送指令車の消防士がロボットを操作し、全体を指揮する消防士から指示を受けています。一方、開発目標(2)では、稼働中の全ロボットを搬送指令車1台だけで監視・指令できるようにすると明記されています。35字以内では「1台の搬送指令車」と「複数ロボットの操作」を押さえます。採点講評では、放水制御の自動化を述べた解答が見受けられたとされており、複数ロボットの運用改善という設問の対象を捉えることが重要です。
設問1(3)
公式解答例では「消火方法を決定するため」です。冒頭には、貯蔵する物質によって泡を用いるなど、消火方法が異なる場合があると書かれています。また、表1では、放水ユニットが危険物の種類に応じて水又は泡を放射するとされています。構造図や危険物の種類・量は、消火対象の性質や配置を把握し、適した消火方法を決めるための情報です。15字以内なので、個別の情報や処理手順を列挙せず、情報を活用する目的を端的に示します。
設問2(1)
公式解答例では「消火対象施設周辺の飛行可能な場所の情報」です。設問では、施設情報による障害物の回避は既に行っているとされています。したがって、追加で必要なのは、施設周辺を含めて安全に飛行できる空間を把握する情報です。本文のデータ活用方針にも、施設及びその周辺の情報を平時から収集するとあります。25字以内では、情報の対象を「消火対象施設周辺」、内容を「飛行可能な場所」と具体化します。単に「障害物の情報」とすると、設問で既に示されている条件を繰り返すだけになります。
設問2(2)
公式解答例では「適切な放水位置,注水目標による効果的な消火活動」です。根拠は開発目標(4)で、施設情報と飛行型監視ロボットの取得データをAI技術で処理し、火災状況を分析して適切な放水位置・注水目標を指令するとされています。施設の構造などの情報に、現場で取得した火災の状況を合わせることで、実際の状況に適した放水が可能になります。30字以内では、AI処理の説明よりも、その成果である「適切な放水位置・注水目標」と「効果的な消火活動」を示します。
設問2(3)
公式解答例では「継続監視飛行だけでなく,周回飛行も併せて行う。」です。表2では、継続監視飛行は特定箇所を監視し続ける機能、周回飛行は火災現場全体の状況を把握する機能とされています。特定箇所だけを見続けると、別の場所で起きる火災状況の変化を見落とす可能性があるため、両方を組み合わせます。採点講評では、「周回飛行へ切り替える」とだけ述べた解答が指摘され、継続監視飛行も続ける必要があると説明されています。30字以内でも、二つの飛行方法を併用することを明示します。
設問3(1)
公式解答例では、二つの情報は「時刻情報」と「位置情報」です。NFRシステムの手順⑥には、指令データと処理に用いたデータをリンクさせて蓄積するとあります。火災の状況もロボットの位置も変化するため、蓄積されたデータを対応させるには、いつ、どこで得られた情報なのかを把握する必要があります。時刻情報は同じ時間の状況と指令を、位置情報は同じ場所に関する状況と指令を結び付ける手掛かりになります。解答では、この二つをそれぞれ明確に挙げます。
設問3(2)
公式解答例では「ホースの敷設ルートの長さ,及び各ロボットの走行に支障がないこと」です。表1では消防ホースの延長が最大300メートルであり、NFRシステムでも放水ロボットの仕様は維持されます。このため、水源と放水位置の間は直線距離だけでなく、実際の敷設ルートの長さを考慮する必要があります。さらに、複数台を運用するので、敷設したホースなどが各ロボットの走行を妨げないようにします。採点講評でも、ホースの長さだけを述べた解答が指摘されています。40字以内では「敷設ルートの長さ」と「各ロボットの走行への支障がないこと」の両方を押さえます。
学習のポイント
設問が求める改善対象を見極め、本文の機能・運用・制約を結び付けて、必要な要素を字数内で具体的に表現する練習が重要です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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