SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成29年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
判断の前提と対象範囲をそろえる
業務や運用に関する判断では、前提の置き方が違うと、同じ内容でも受け止め方が変わります。まず、何を対象として、どの条件の下で考えるのかをそろえ、根拠と判断のつながりを確かめましょう。
この問題で問われていること
この問題では、得られる情報をすぐに結論へ結び付ける前に、その判断がどの前提に基づくかに注目しましょう。対象となる範囲や条件を勝手に補わず、示された情報に沿って考えられているかを確認します。
視点
前提とは、判断を成り立たせるために置かれた条件です。自分の経験から補った条件と、示された情報から分かる条件を区別すると、考えている対象を途中で変えずに検討できます。
確認ポイント
- 判断の前提を、示された情報から確認できるか
- 自分の経験による条件を、無意識に付け加えていないか
- 検討の途中で、対象の範囲や条件が変わっていないか
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解説
本問は、人事給与パッケージの標準機能と現行業務を照合し、制度改正への対応費用の削減、事務負担の軽減、アクセス集中への対応、規則の見直しを検討する問題です。機能の有無だけでなく、作業の主体や利用環境、業務変更によって不要になる処理まで読み取ることが要点です。
問題の全体像
K市は、独自開発した人事給与関連システムの維持費用を削減するため、L社パッケージによる再構築を進めています。現行業務とのフィット&ギャップ分析を行い、標準機能に合わせた業務の見直しを検討する事例です。公式の出題趣旨では、パッケージ利用のメリットを理解し、業務要件を整理して現行業務の見直しを提言する能力が問われています。表1の作業と表2・表3の標準機能を比較し、利用環境や費用面の制約も踏まえて判断することが中心になります。
設問1(1)
〔新システム構築の背景〕の外部評価(2)に着目します。K市では制度改正のたびに改修費用が発生していますが、標準機能で運用する他市は、製品バージョンアップなどの標準保守で共通の制度改正に対応しています。カスタマイズを抑え、標準機能に業務を合わせるのは、この保守上のメリットを得るためです。公式解答例では、制度改正に標準保守で対応できるようにしたいことを理由としています。40字以内では「制度改正に人事給与パッケージの標準保守で対応するため。」のように、制度改正と標準保守の関係を押さえます。
設問1(2)
公式解答例では「7,11」です。項番7の勤怠実績データのファイル出力・手動登録は、表3の「勤怠実績の自動連携」で代替できます。項番11の職員課による明細書の印刷・仕分け・配送は、電子交付と、各部署で印刷できる標準機能によって代替できます。一方、項番6は未完了部署を確認できても督促が残り、項番8は外部データを取り込む操作が残ります。項番9の給与計算の実行・確認や項番10の金融機関への提出も残ります。採点講評では、新システムによって不要になる事務と、引き続き残る事務を適切に見極めることが求められています。
設問2(1)
下線①の「毎月発生している作業」と、表1の項番5を対応付けます。現行では各課の庶務担当者が、前月の紙の出勤簿の記録を庶務事務システムに入力し、確定しています。表2の打刻機能は、記録した出退勤時刻を出勤簿に自動反映するため、この月次作業の負担を軽減できます。公式解答例では、前月の出勤簿の記録を入力・確定する作業を挙げています。35字以内では「前月の出勤簿の記録を庶務事務システムに入力、確定する作業」と、対象データと作業内容を具体的に示します。
設問2(2)
表1の項番1では、ほとんどの職員が8時30分から8時45分の間に出勤します。表2の打刻機能を使うと、その短い時間帯に各職員がポータル画面で出勤ボタンを押すため、アクセスが集中します。現行の庶務事務システムは、実績申請が8時45分から12時に分散している点と比較します。公式解答例では、毎朝の出勤時間帯にアクセスが集中することを理由としています。採点講評でも、同じ時間帯に出勤する業務面と、打刻によるアクセス集中というシステム面の両方が求められています。25字以内では「毎朝の出勤時間帯に打刻のアクセスが集中するから」とまとめられます。
設問3(1)
〔勤怠管理に係る標準機能の利用検討〕に、一部の部署では庶務担当者以外の職員にPCが貸与されていないとあります。また、電子給与支給明細書の交付は「一部の部署を除き」導入する方針です。PCを貸与されていない職員には紙の明細書を渡す必要があり、表3の部署ごとの印刷機能も利用します。公式解答例では、PCが貸与されていない職員への印刷・配布を理由としています。40字以内では「PCが貸与されていない職員に給与支給明細書を印刷して配布するから」と、対象職員と配布方法を示します。
設問3(2)
現行規則の「支給対象期間の初月に一括支給」と、標準機能の「支給対象期間の例月給与に含めて毎月支給」を比較します。標準機能に合わせるには、規則を一括支給から毎月支給へ変更します。公式解答例は「一括支給を毎月支給に変更する。」です。採点講評では、「追給及び返納を廃止する」という解答が見受けられたとされ、支給方法の変更によって結果として追給・返納が不要になる関係の理解を求めています。20字以内の答案では、変更前と変更後の支給方法を明記します。
設問3(3)(状況)
現行の寒冷地手当支給規則の第3項に着目します。支給対象期間中に世帯の区分が変わったり、支給対象地域をまたぐ異動が生じたりすると、初月に一括支給した額と、その後の条件に基づく額に差が生じます。この差を調整するため、現行業務では追給・返納が必要になります。公式解答例では、この世帯区分の変更や地域をまたぐ異動が生じた場合を挙げています。40字以内では「支給対象期間中に世帯区分の変更や支給対象地域をまたぐ異動が生じた場合」と、期間と条件変更の内容を押さえます。
設問3(3)(機能)
公式解答例では「追給及び返納の機能」です。現行の一括支給では、支給対象期間中の条件変更に応じて、不足額の追加支給や支給済額の控除が必要です。毎月支給に変更すれば、その月の条件に応じた額を毎月支給するため、一括支給済みの額を調整する機能の追加開発が不要になります。現行規則も月途中の変更を考慮しないので、日割り計算機能が答えになるわけではありません。15字以内の答案では、不要となる機能名として「追給及び返納の機能」を示します。
学習のポイント
現行作業と標準機能を対応付け、人の判断や操作が残る部分を見極めることと、業務規則の変更から必要な機能の変化を説明することを学びます。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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