SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅱ

平成28年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅱ 問2

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

情報システムの移行方法について 情報システムの機能強化のために、新たに開発した情報システム(以下、新システムという)を稼働させる場合、現在稼働している情報システム(以下、現システムという)から新システムへの移行作業が必要になる。 システムアーキテクトは、移行方法の検討において、対象業務の特性による制約条件を踏まえ、例えば、次のような情報システムの移行方法を選択する。 ・多数の利用部門があり、教育に時間が掛かるので、利用部門ごとに新システムに切り替える。 ・移行当日までに発生したデータを当日中に全て処理しなければ、データの整合性を維持できないので、全部門で現システムから新システムに一斉に切り替える。 ・障害が発生すると社会的な影響が大きいので、現システムと新システムを並行稼働させる期間を設けた上で、障害のリスクを最小限にして移行する。 また、移行作業後の業務に支障が出ないようにするために、例えば、次のような工夫をすることも重要である。 ・移行作業が正確に完了したことを確認するために、現システムのデータと新システムのデータを比較する仕組みを準備しておく。 ・移行作業中に遅延や障害が発生した場合に移行作業を継続するかどうかを判断できるように、切戻しのリハーサルを実施し、所要時間を計測しておく。 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア〜ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが移行に携わった情報システムについて、対象業務の概要、現システムの概要、及び現システムから新システムへの変更の概要について、800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた情報システムにおいて、対象業務の特性によるどのような制約条件を踏まえ、どのような移行方法を選択したか。選択した理由とともに、800字以上1、600字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べた情報システムの移行において、移行作業後の業務に支障が出ないようにするために、どのような工夫をしたか。想定した支障の内容とともに、600字以上1、200字以内で具体的に述べよ。
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業務への影響を条件から整理する

移行方法を考える前に、業務上の条件が「どの業務に、どの範囲で影響するか」という一つの視点で整理してみましょう。用語の印象で判断せず、条件と業務への影響とのつながりを確かめることが大切です。

この問題で問われていること

与えられた条件について、業務への影響をどこまで捉える必要があるかに注目してください。その条件と結び付けた判断について、影響の範囲を必要以上に広げたり、狭めたりしていないかを振り返りましょう。

視点

条件そのものと、その条件から想定した業務への影響を分けて整理すると、判断の根拠を見直しやすくなります。影響が及ぶ範囲について、明示された情報と自分の推測を区別して考えましょう。

確認ポイント

  • 想定した影響の範囲は、どの条件に基づいているか。
  • 影響の範囲を、根拠なく広げたり狭めたりしていないか。
  • 影響の範囲について、明示された情報と推測を区別できているか。
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解説

本問は、機能強化に伴うシステム移行について、対象業務の特性による制約条件と移行方法の選択理由、移行後の業務への支障を防ぐ工夫を、自身の経験に基づいて具体的に論述する問題です。

問題の全体像

情報システムの機能強化に伴い、現システムから新システムへ移行する場面が対象です。添付の公式資料に示されているのは出題趣旨と採点講評であり、特定の事例による解答例ではありません。出題趣旨では、業務特性による制約条件を踏まえた移行方法の選択と、移行後の業務に支障を出さない工夫を通じて、移行に関わる設計能力と経験を評価するとしている。設問アで事例の前提を示し、設問イで方法と理由、設問ウで支障と対策をつなげる。採点講評では、問題文の例と一般論を組み合わせるだけでなく、自身が実際に検討し取り組んだ内容を具体的に論述することを求めている。

設問ア

着目するのは「対象業務の概要」「現システムの概要」「現システムから新システムへの変更の概要」の三点です。800字以内で、誰がどのような業務にシステムを使い、現システムが何を担い、新システムで何を変更したかを示します。後続の設問につながるよう、移行方法の判断に関係する業務の特徴や変更点を優先して書く。採点講評では、情報システムが業務でどのように使われているかを正しく理解することを求めているため、機器や構成の説明だけでなく、業務との関係が分かる前提を整えることが重要です。

設問イ

着目するのは「対象業務の特性による制約条件」「選択した移行方法」「選択した理由」です。800字以上1、600字以内で、設問アの事例について、業務特性からどの制約が生じ、その制約に対応するためになぜその方法を選んだかを具体的につなげる。問題文では、多数の利用部門への教育に時間が掛かる場合の部門ごとの切替、データの整合性を維持するための全部門での一斉切替、障害の社会的影響が大きい場合の並行稼働が例示されている。一斉切替の例の条件は「移行当日までに発生したデータを当日中に全て処理」であり、処理対象を当日発生分だけに限定してはならない。この条件の下でデータの整合性を維持する必要があるため、全部門で一斉に切り替えるという関係を読み取る。ただし、これらは問題文の例であり、自身の事例に合う制約と方法を論述する。採点講評では、業務特性を示さずシステム上の制約だけを述べた論述や、開発プロジェクトの制約を業務特性として扱った論述が指摘されている。業務で必要な処理や運用から制約を説明し、自身の判断の根拠を明確にする。

設問ウ

着目するのは「移行作業後の業務に支障が出ないようにするため」の工夫と「想定した支障の内容」です。600字以上1、200字以内で、設問イの移行方法を前提に、どの業務にどのような支障が生じ得るか、その支障を防ぐために何を準備・実施したかを対応させて書く。問題文では、移行の正確な完了を確認するための現・新システムのデータ比較と、遅延や障害時に移行継続を判断するための切戻しリハーサル及び所要時間の計測が例示されている。自身の事例でこれらを用いた場合は、比較対象や確認方法、切戻し時間を踏まえた判断条件など、実際の工夫を具体化する。例をそのまま列挙するだけでは、想定した支障との関係が伝わらない。採点講評では、業務への支障を防ぐ工夫を具体的に論述することを期待しているため、対策が業務の継続にどう役立つかまで説明する。

学習のポイント

業務特性、制約条件、移行方法、選択理由のつながりを整理し、想定する支障と対策を対応させて書く練習をする。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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