SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅱ

平成27年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅱ 問3

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

組込みシステム製品を構築する際のモジュール間インタフェースの仕様決定について 組込みシステム製品は、各機能に対応したモジュール、ユニットなど(以下、モジュールという)を組み合わせて構築する場合がある。モジュール間インタフェースの仕様決定に際しては、組込みシステム製品に求められる要件に配慮しながら、将来発生し得る事態も想定し、適切に対応できるように設計することが望まれる。 例えば、開発着手後の仕様の変更・追加が想定される組込みシステム製品の場合は、他のモジュールに影響しないようにインタフェースの仕様を決定し、柔軟性をもたせる。そのためには、モジュール間を疎結合とし、機能を極力独立させるようなインタフェースにする。一方で、機能仕様が固定されていて、少ないハードウェア資源で大きなパフォーマンスが要求される組込みシステム製品の場合は、全体を密結合としたインタフェースにする。 また、長期間使用されることが求められる組込みシステム製品の場合は、将来、保守、リプレースなどでモジュールの交換が発生することがある。その際、陳腐化、生産中止などの理由から新たなモジュールに置き換えなければならなくなるリスクが想定される。 したがって、組込みシステム製品に求められる要件を満たすためには、開発に着手する前に、最適なモジュール分割、モジュールの結合度、製品寿命などを考慮した上で、インタフェースの仕様を十分に検討することが重要である。 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア〜ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが携わった組込みシステム製品の概要、特徴、及び要件について、モジュール間インタフェース仕様で配慮した内容を含めて、800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた組込みシステム製品に求められる要件に適切に対応するために考慮したモジュール間インタフェースについて、将来発生し得ると想定した事態の内容、及びその事態に対してどのように配慮したかを、800字以上1、600字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べたモジュール間インタフェースの仕様決定が、組込みシステム製品の開発にどのように影響し、組込みシステム製品の納入後に、どのように評価されたかを、600字以上1、200字以内で具体的に述べよ。
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検討の前提が変わる範囲に着目

まず、検討に用いる前提がどこまで成り立つかに着目しましょう。与えられた条件と自分で補った想定を分け、条件が変わる場合にも同じ前提で考えてよいのかを、根拠に戻って確かめることが大切です。

この問題で問われていること

この問題では、判断の前提として置いた条件の有効範囲を意識してください。現在の条件から読み取れることを、そのまま将来にも当てはめていないか、明示された情報と仮定の境界を確かめながら考えましょう。

視点

前提とは、考えを進めるために置く条件です。情報から直接確かめられる条件と、考える際に補った仮定を分けて整理すると、判断がどの条件に依存しているかを振り返りやすくなります。

確認ポイント

  • 前提にした条件の根拠を確認したか
  • 明示された条件と補った仮定を区別したか
  • その前提を当てはめられる範囲を確認したか
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解説

本問は、組込みシステム製品の要件と将来の事態を踏まえたモジュール間インタフェースの仕様決定を問う。製品固有の条件、結合度、製品寿命を関連付け、開発への影響と納入後の評価まで具体的に論述することが要点です。

問題の全体像

本問は、各機能を担うモジュールを組み合わせる組込みシステム製品について、将来の変化も見据えてインタフェース仕様を決定した経験を論述する問題です。問題文は、仕様変更・追加に備える疎結合、資源制約下で性能を求める場合の密結合、長期使用に伴うモジュール交換を例示し、開発着手前にモジュール分割、結合度、製品寿命を検討する重要性を示している。添付資料の問3には具体的な答案例ではなく出題趣旨が示されており、ライフサイクルを見据えた仕様の検討と、その結果の分析が求められている。採点講評では、一般的な仕様決定方針にとどまり製品固有の条件への考慮が欠ける論述や、個別の課題解決の羅列となってシステム全体を見渡せない論述が問題視されている。設問アで示す要件を起点に、設問イの仕様決定、設問ウの影響と評価をつなげることが重要です。

設問ア

着目するのは、「概要、特徴、及び要件」と「モジュール間インタフェース仕様で配慮した内容を含めて」という指定です。800字以内で、携わった製品の用途や主要機能、インタフェース仕様に関係する特徴・要件、配慮した内容をまとめる。問題文の例に照らせば、仕様変更の見込み、ハードウェア資源と性能の要求、使用期間や将来の交換などのうち、実際の製品に該当する条件を明確にすると、設問イで仕様決定の理由を説明しやすい。関係するモジュールと役割は、その要件や配慮を理解するために必要な範囲で示す。出題趣旨では結合度やライフサイクルを踏まえた検討が求められ、採点講評では製品固有の条件への考慮が重視されているため、製品紹介だけで終わらず、その製品の条件がどのような配慮につながったかを簡潔に示す。

設問イ

着目するのは、設問アの要件への対応として、「将来発生し得ると想定した事態の内容」と「その事態に対してどのように配慮したか」を具体的に述べる指定です。800字以上1、600字以内で、対象となるモジュール間の関係、将来の事態を想定した理由、その事態が製品の要件に及ぼす影響、採用したインタフェース仕様とその理由を関連付けて書く。問題文の仕様変更・追加、保守・リプレース、陳腐化・生産中止は検討の例であり、すべてを取り上げる必要はない。実際の製品の条件に合う事態を扱う。疎結合を採用した場合は機能の独立性や他モジュールへの影響との関係を、密結合を採用した場合は仕様の固定、資源制約、要求性能との関係を説明するなど、要件に応じた選択理由を示します。採点講評では一般論や個別課題の羅列が問題視されているため、対策を並べるだけでなく、モジュール分割・結合度・製品寿命の検討がシステム全体の要件充足にどうつながるかを述べる。

設問ウ

着目するのは、「開発にどのように影響し」と「納入後に、どのように評価されたか」の二つの指定です。600字以上1、200字以内で、設問イの仕様決定を受けて開発で生じた具体的な影響と、納入後の評価をそれぞれ述べる。開発への影響は、設問イで説明した仕様のどの部分が、実際にどのような結果につながったかを示します。納入後の評価も、製品の要件や想定した将来の事態への対応と結び付け、何が確認され、どのように評価されたかを書く。出題趣旨では検討結果をどのように分析したかが求められているため、「開発が順調だった」「高く評価された」といった結論だけでは説明が不足する。実際の結果を根拠に、仕様決定が要件への対応に有効だったかを分析する。採点講評の指摘を踏まえ、個々の成果を列挙するだけで終わらず、製品のライフサイクルとシステム全体に照らして評価をまとめる。

学習のポイント

疎結合・密結合の一般論で終わらず、対象製品の要件、ライフサイクル、仕様決定とその結果の因果関係を、システム全体の視点で説明する練習を行う。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成27年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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