SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成27年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
検討する対象と範囲をそろえる
金融機関とのデータ連携を考える際は、判断の対象と範囲をそろえる視点に絞りましょう。与えられた情報の中で、何について述べているかを確かめ、異なる範囲の内容を同じ前提で扱っていないか意識します。
この問題で問われていること
検討の焦点は、考えている内容がどこまでを対象としているかです。与えられた条件からその範囲を捉え、途中で別の対象へ話を移したり、範囲を広げたりしていないかを確認して、判断の前提を保ちましょう。
視点
同じ話題でも、検討する対象や範囲が変わると、条件の受け止め方も変わります。まず今考えている範囲を言葉にし、その範囲のままで条件を捉えているかを確かめると、前提のずれを整理しやすくなります。
確認ポイント
- 今考えている対象と範囲を言葉にできているか
- その範囲は与えられた条件に沿っているか
- 検討の途中で対象や範囲を変えていないか
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解説
本問は、口座振替のデータ連携を全社で集約する際の機能設計を扱います。請求コードの重複への対応、担当範囲に応じた照会、当月の引落済みデータの集計、停止データを含む処理結果の返却が要点です。
問題の全体像
A社は、事業部ごとに行っていた金融機関との口座振替データ連携を、新システムに集約します。各業務システムの請求データを一括管理しながら、金融機関への依頼、結果の返却、担当者による照会、月次集計を実現する事例です。公式の出題趣旨では、現行システムの機能を正しく理解し、新システムの機能定義・機能設計を行う能力を評価するとしています。既存の仕様、利用部門の要望、各機能の抽出条件を結び付けて読むことが重要です。
設問1
〔金融機関とのデータ連携の概要〕では、請求コードは「自システム内」の請求データを一意に特定するとされています。一方、新システムには全業務システムのデータが格納されるため、異なる業務システムで同じ請求コードが使われる可能性があります。そのまま個別コードに設定すると、集約後の請求レコードを一意に特定できません。公式解答例では「請求コードは複数の業務システムで同じ値になる可能性があるから」としています。35字以内では、請求コードがシステム間で重複し得る点を押さえます。採点講評では、システムコードに関する解答が散見されたと指摘しており、問われている請求コードの問題点を述べる必要があります。
設問2(属性名)
〔新システムへの要望〕にある「利用者が担当する業務システムのデータだけが表示される」という条件に着目します。認証機能では利用者の担当システムコードを管理し、集約請求データにもシステムコードが付加されています。この属性を担当範囲に応じた検索条件として設定すれば、照会対象を限定できます。公式解答例の属性名は「システムコード」です。
設問2(目的)
暗黙の検索条件を設定する目的は、利用者の担当範囲に表示対象を限定することです。全業務システムのデータが格納されているので、画面から指定する検索条件に加え、新システム側で担当システムの条件を設定する必要があります。公式解答例では「利用者が担当する業務システムのデータだけを表示するため」としています。30字以内では、「担当する業務システム」と「そのデータだけを表示する」の二点を押さえます。
設問3①(属性)
振替金額帳票出力機能の「当月振り替えられた」という要件から、まず対象月を判定する属性を選びます。表1の集約請求データでは、引落しの日付を表す属性が「引落日」です。公式解答例でも、一つ目の属性は「引落日」としています。二つの属性と条件の組は順不同です。
設問3①(条件)
引落日に設定する条件は、帳票の出力対象月に含まれる日であることです。公式解答例では「出力対象月内の日であること」としており、15字以内に収まります。本文では10日又は20日が休業日なら翌営業日を引落日とするため、固定の日付だけを対象にするのではなく、登録された引落日が対象月内かどうかで判定します。
設問3②(属性)
「当月振り替えられた」という要件には、対象月だけでなく、実際に振替が成功したことも含まれます。〔金融機関とのデータ連携の概要〕では、振替の成否は引落結果コードに設定されます。公式解答例の二つ目の属性は「引落結果コード」です。ステータスは処理の進行状況を示す属性なので、振替の成否を判定する属性とは区別します。
設問3②(条件)
本文では、引落口座から収納口座に全額振り替えられた場合、引落結果コードに「引落済み」が設定されます。したがって、金額合計の対象はこの値を持つデータです。公式解答例では「“引落済み”であること」としています。15字以内では、この値と一致する条件を示します。引落日が対象月内でも、「資金不足」のデータは合計に含めません。
設問4(1)
追加要望は、金融機関への振替依頼データの「送信を停止する」ことです。振替依頼データ送信機能は、ステータスが「振替依頼待ち」のデータを抽出して送信し、送信後に「振替依頼中」へ変更します。したがって、停止可能なのは送信前のデータです。公式解答例では「ステータスが“振替依頼待ち”の集約請求データ」としています。表1の属性名である「ステータス」と、その値を対応させて答えます。
設問4(2)(機能)
〔新システムへの要望〕では、業務システムから送信した全ての振替依頼データの処理結果を返すことが求められています。しかし、停止データは金融機関に送信されず、「振替結果受領」にはなりません。既存のデータ返却機能は、このステータスだけを抽出するため、停止データが返却対象から漏れます。公式解答例では、変更が必要な機能を「データ返却機能」としています。
設問4(2)(変更内容)
全ての振替依頼データの処理結果を返すには、従来の「振替結果受領」に加えて、「振替依頼停止」のデータも返却対象に含めます。公式解答例では、この二つのステータスの集約請求データを抽出するとしています。40字以内の答案では「ステータスが『振替結果受領』又は『振替依頼停止』のデータを抽出する。」とまとめられます。二つの値のいずれかに該当するデータを抽出するという意味です。採点講評では、機能名は正しくても変更内容の記述がない解答が散見されたと指摘しており、抽出対象をどう変更するかまで述べることが重要です。
学習のポイント
識別子の一意性の範囲、業務要件と抽出条件の対応、ステータス追加による既存機能への影響を学習しましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成27年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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