SAシステムアーキテクト試験 午前Ⅱ

平成26年度秋期 システムアーキテクト 午前Ⅱ 問1

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

ソフトウェアの要求分析や設計に利用されるモデルに関する記述のうち,ペトリネットの説明として,適切なものはどれか。

選択肢

  1. ア
    外界の事象をデータ構造として表現する,データモデリングのアプローチをとる。その表現は,エンティティ,関連及び属性で構成される。
  2. イ
    システムの機能を入力データから出力データへの変換とみなすとともに,機能を段階的詳細化に基づき階層的に分割していく。
  3. ウ
    対象となる問題領域に対して,プロセスではなくオブジェクトを用いて解決を図るというアプローチをとる。
  4. エ
    並行して進行する事象間の同期を表す。その構造は 2 種類の節点をもつ有向 2 部グラフで表される。
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表記法が表す対象の観点を見極める

モデル表記法はそれぞれ、システムのどの側面を記述するために考案されたかが異なります。記号の形や名称の印象ではなく、その表記法が何を表すための道具なのかという目的に立ち返って、記述と対応が取れているかを確かめましょう。

この問題で問われていること

この分野では、ある表記法を用いると何が見えるようになり、逆に何は表現の対象外なのかを意識することが区別の鍵になります。表記法の目的と表現範囲という一つの観点に絞って考えましょう。

視点

要求分析や設計で使われるモデルは、複雑なシステムを特定の切り口から単純化して示すための道具です。どの表記法も、すべてを一度に表そうとはせず、関心のある側面だけを取り出して描きます。そのため、表記法どうしを区別するときは、名称や見た目の記号よりも『この表記法で描いた図から、読み手は何を読み取れるのか』という目的と表現範囲に注目すると整理しやすくなります。自分が学んだ表記法それぞれについて、何を描くために使うのかを一言で説明できるかを振り返ってみてください。

確認ポイント

  • 取り上げられている表記法が、システムのどの側面を描くことを目的としているかを自分の言葉で説明できるか確認する
  • その表記法で表現できる内容と、表現の対象外となる内容の境界を意識できているか確認する
  • 名称や記号の印象だけで判断せず、表記法の目的と記述内容が対応しているかを照らし合わせる
正解と解説を見る

正解

エ

解説

ペトリネットは、並行して進行する事象間の同期や状態変化を表現するモデルであり、プレースとトランジションという2種類の節点をもつ有向2部グラフで表される。

理由

ペトリネットは、事象の並行実行や同期を表現するためのモデルです。プレースとトランジションの2種類の節点を、向きをもつ辺で結び、状態と事象の関係を表します。したがって、並行して進行する事象間の同期と、有向2部グラフによる構造を述べた説明が適切です。

比較

アはエンティティ、関連、属性で表すデータモデル、イは入力から出力への変換と階層的詳細化を扱う機能モデル、ウはオブジェクトを中心に問題を捉えるオブジェクト指向モデルの説明です。いずれもペトリネットの特徴とは異なる。

選択肢ア

これは不正解だよ。外界の事象をデータ構造として捉え、エンティティ、関連、属性で表現するのはデータモデリングの説明である。ペトリネットはデータの静的な構造を中心に表すのではなく、事象の発生、状態変化、並行動作や同期を表現するモデルなので、この説明には該当しない。

選択肢イ

これは不正解だよ。システムの機能を入力データから出力データへの変換とみなし、機能を階層的に分割する考え方は、機能モデルや構造化分析の説明である。ペトリネットの中心的な特徴は、機能の段階的詳細化ではなく、状態と事象の関係や並行実行の同期を表すことにある。

選択肢ウ

これは不正解だよ。問題領域をプロセスではなくオブジェクトによって捉え、オブジェクトの構造や相互作用を用いて解決するのは、オブジェクト指向のアプローチである。ペトリネットはオブジェクトを中心に表現するモデルではなく、事象の発生と状態の変化を節点と辺で表す。

選択肢エ(正解)

これは正解だよ。ペトリネットは、並行して進行する事象間の同期を表現するモデルである。また、プレースとトランジションという2種類の節点をもち、辺が同じ種類の節点同士を直接結ばない有向2部グラフとして表される。この説明はペトリネットの特徴と一致する。

学習のポイント

データモデル、機能モデル、オブジェクト指向モデルとの違いを、表現対象と構造から整理する。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成26年度秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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