SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅱ
平成25年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅱ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
信頼性設計を考える一つの視点
信頼性設計と品質評価を整理するときは、個別の用語や名称を暗記するより、対象の目的と評価の観点が同じ軸で結び付いているかを丁寧に確認し、順序立てて考えることが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、各説明が何を改善・確認するための考え方なのかに注目し、設計段階の検討と、結果を評価する段階の役割を混同していないかを丁寧に見極めます。
視点
信頼性に関する学習では、まず対象となる課題を明確にし、いつ、どの条件で、何を評価したいのかを整理します。そのうえで、設計時の予防的な検討と、実施後の確認・評価を区別し、用語の役割を目的との対応で読み取りましょう。
確認ポイント
- 対象としている目的や課題が、説明全体と一貫しているか。
- 検討する時点と、評価結果を確認する時点を混同していないか。
- 用語の名前ではなく、何を確認・改善するための考え方かに注目できているか。
正解と解説を見る
解説
高い信頼性や安全性が求められる組込みシステムを題材に、品質要件の設定、信頼性設計の実施、効果の定量評価までを一貫して論述する問題です。
問題の全体像
問題文は、24時間365日の稼働や、誤動作時に人命・財産へ危害を及ぼさないことなど、高い信頼性・安全性が必要な組込みシステムを想定している。故障を前提に機能維持や安全確保を図るフォールトトレランスとして、フェールセーフ、フェールソフトを示し、使用者の誤操作による危険を避けるフールプルーフにも触れている。出題趣旨では、信頼性要件を満たすための基本理解と、実際に信頼性設計を実施する能力を評価するとしている。したがって、単なる用語説明ではなく、自分が関わったシステムの要件、採用した設計、開発上の制約、結果を一貫した事例として述べる必要がある。
設問ア
まず、開発に携わった組込みシステムの用途、性能、主要機能、利用環境を簡潔に示し、そのシステムで特に問題となった品質要件を明確にする。例えば、連続稼働、応答時間、可用性、故障時の安全性、誤操作への耐性などです。800字以内なので、製品紹介を広げ過ぎず、後続の設問イ・ウで扱う信頼性設計につながる要件を選ぶことが重要です。公式の出題趣旨が求めるのは、信頼性要件を満たすための実施能力であるため、要件は「高信頼」と抽象化せず、停止許容時間や安全状態など、評価可能な形で記述するとよい。
設問イ
設問アの同じシステムについて、故障を想定してどの部分にどの設計手法を適用したかを具体化する。ハードウェアでは、冗長化、監視回路、異常検出、故障部品の切離し、熱対策や安全側への停止などを、ソフトウェアでは、異常監視、タイムアウト、再起動、縮退運転、処理の切替え、誤操作防止などを、採用理由とともに述べる。フェールセーフ、フェールソフト、フールプルーフのどれに当たるかも、機能や状態遷移との関係で説明する。また、信頼性設計を後付けにせず、要件定義、設計、試験、量産などの開発スケジュールに組み込んだこと、冗長部品や試験工数によるコスト増と、安全性・停止損失低減の効果を比較したことを書く。採点講評では、複数の項目について論述を求めている点が強調されているため、ハードウェアだけ、又は一般論だけに偏らないことが必要です。
設問ウ
設問イの設計によって、設問アで掲げた品質要件をどの程度達成したかを、導入前後の数値や目標値との比較で示す。例えば、故障検出時間、復旧時間、稼働率、停止時間、障害件数、試験での異常検出率、安全側へ移行できた割合など、事例に適した指標を用いる。その数値が目標を満たしたか、残る制約や未解決リスクは何かを考察し、単に「向上した」と結論付けない。さらに、設計を通じて得られた保守性向上、障害解析の容易化、試験手順の標準化、運用者の安心感、将来機種への再利用などの副次的利点を述べる。採点講評では、具体的・定量的な考察や複数の観点からの論述が高く評価されたとされるため、効果と利点を分けて具体的に示すとよい。
学習のポイント
信頼性設計を、技術・開発計画・コスト・評価の関係で具体化する力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成25年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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