SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成24年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
判断の前提となる条件を確かめる
この分野を学ぶ際は、判断の前提となる条件に着目しましょう。扱う内容の印象だけで結論を急がず、明示された条件と、自分で補っている前提を区別し、その判断がどこまで成り立つかを考えることが大切です。
この問題で問われていること
検討の焦点は、考えようとしている判断が、どの条件を前提としているかです。与えられた情報から確認できる条件を押さえ、確認できない条件を無意識に補っていないか、自分の考え方を点検してみましょう。
視点
前提とは、ある判断を考える際に土台として置く条件です。情報として示されている条件と、経験や印象から自分で補った条件を分けて整理すると、考え方を点検しやすくなります。
確認ポイント
- 判断の前提にしている条件は何か
- その条件は与えられた情報で確認できるか
- 明示されていない条件を自分で補っていないか
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解説
EV専用カーシェアリングの要望を、既存機器の機能と情報の流れに対応させて具体化する問題です。返却支援、充電計画、本人確認、画像の上書き記録、手続を無視したケーブル切離しの検知を、本文の条件に沿って説明します。
問題の全体像
F社は、予約から貸出し・返却・充電までを省力化するEV専用カーシェアリング運営システムを開発します。EVには走行可能距離や充電時間の制約があり、返却遅延、事故、盗難への対策も求められています。出題趣旨では、運営者及び利用者の要望に加え、EVの特性や実現コストなどの制約を考慮した機能仕様の策定を重視しています。本文と図表から、充電スタンド、車載端末、サーバの役割を読み取り、既存の機能を各要望に結び付けることが中心です。
設問1(a)
〔運営システムの運用〕に、利用者は貸出しを受けた駐車ステーションにEVを返却するとあります。ここでは返却のための目的地を問うので、公式解答例では「貸出しを受けた駐車ステーション」です。充電のために立ち寄る最寄りの駐車ステーションとは区別します。
設問1(b)
カーナビは、現在位置から返却先までの最短経路に加え、道路の渋滞情報も参照します。これは返却先までにかかる時間を求める処理なので、公式解答例では「所要」です。空欄の後ろに「時間」があるため、答案は「所要」とします。
設問1(c)
車載端末の機能には、返却予定時刻の超過が予測される場合にサーバへ通知するとあります。カーナビから得た所要時間を使って、返却が期限に間に合うか判断するため、公式解答例では「返却予定時刻」です。
設問1(d)
〔運営システムの運用〕には、走行中にバッテリ残量が不足すると予測されたEVは、最寄りの駐車ステーションで充電できるとあります。車載端末も、必要に応じてその位置情報・充電可否情報をサーバから得ます。したがって、公式解答例では「最寄りの駐車ステーション」です。
設問1(e)
EVの仕様概要には、カーナビはUSB I/F経由でデータを受け取り、画像表示ができるとあります。取得した駐車ステーションの位置を利用者に表示する機器なので、公式解答例では「カーナビ」です。サーバから位置情報を得る車載端末と、表示するカーナビの役割を区別します。
設問2(1)(構成品)
表1の構成品から、返却されたキーを識別できる機器を選びます。RFタグリーダはRFタグを読み取る機器であり、キーに付けたタグの情報を取得できます。公式解答例では、各キーボックスに増設する構成品を「RFタグリーダ」としています。
設問2(1)(方法)
キーが返却されたことだけでなく、EVに対応するキーであることを確認する必要があります。公式解答例では、キーにRFタグを付け、追加したRFタグリーダで読み取ります。読み取ったタグの識別情報によって対応を確認する考え方です。30字以内の答案では「キーにRFタグを付け、追加したRFタグリーダで読み取る。」と、タグの取付けと読取りを押さえます。
設問2(2)
サーバの機能には、EVのバッテリ残量によって決まる充電所要時間を求め、充電スケジュールを決めるとあります。充電スタンドがEVから読み取り、サーバへ送るべき情報は、その計算の入力となる残量です。公式解答例では「駐車中の各EVのバッテリ残量」で、20字以内に収まります。採点講評では「充電所要時間」という解答は不適切とされており、サーバが求める値と、そのために受信する情報を区別することが要点です。
設問3(1)(①)
車載端末の機能に、車両通信I/F経由でバッテリ残量と走行速度を監視するとあります。また、サーバは車載端末から受信したバッテリ残量を監視します。この対応から、公式解答例ではI/Fを「車両通信I/F」、監視情報を「バッテリ残量」としています。①と②は順不同です。
設問3(1)(②)
車載端末の機能に、USB I/F経由でカーナビと通信し、現在位置などの情報を得るとあります。サーバもEVの現在位置を監視するため、この取得経路を対応させます。公式解答例ではI/Fを「USB I/F」、監視情報を「現在位置」としています。
設問3(2)(情報)
顔認証をサーバで行う条件なので、車載端末からは認証対象となる運転者の顔の画像を送信する必要があります。公式解答例では「顔画像データ」です。車載端末で認証した結果を送るのではなく、サーバが認証に使う情報を答えます。
設問3(2)(方法)
新たな専用機器を追加しない条件に着目します。本文には車内を撮影できる車内カメラがあり、図2と表2には、その画像を車載端末へ入力するカメラ入力I/Fが示されています。公式解答例では「車内カメラで運転者の顔を撮影する。」とし、既存カメラを使う方法を20字以内で示しています。
設問4(1)
異常発生の前後それぞれの一定時間を残すには、異常が起きる前から直近の画像を保持しておく必要があります。公式解答例では「一定時間を経過した画像データ部分から順次上書きする。」とし、古い画像を順次置き換えてメモリ使用量を抑えます。異常発生時には必要な前後の記録を残すことが前提です。採点講評では、異常発生をきっかけに記録を開始するだけの解答では発生前の画像を残せないと指摘しています。30字以内では、一定時間を経過した部分からの順次上書きを押さえます。
設問4(2)(機能)
充電スタンドの機能には、充電ケーブルを介してEVと定期的に通信し、バッテリ残量を読み取るとあります。ケーブルが切り離されると、この通信経路も失われます。そのため、公式解答例では、検知に使う機能を「EVとの定期的な通信」としています。
設問4(2)(方法)
公式解答例では「通信が途絶えたことを検知する。」とし、20字以内で検知方法を示しています。ただし、本設問の条件は、利用開始手続が行われていない状態で充電ケーブルが切り離されることです。その状態でケーブル経由の定期通信が途絶えたことを検知します。正規の貸出しでも、認証後にケーブルを外せばこの通信は途絶えるため、通信の途絶だけを無条件に盗難と判断する説明にはしません。
学習のポイント
機器ごとの役割と情報の取得経路を整理し、設問の条件に合う機能・情報・方法を区別して記述する力を身に付けます。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成24年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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