SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅱ

平成22年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅱ 問3

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

組込みシステム開発におけるハードウェアとソフトウェアとの機能分担について 組込みシステム開発において、システムアーキテクトは、製品開発などの企画書に基づいて、システムの要件を分析し、機能仕様を決定する。また、決定した機能仕様の具体的な実現手段を検討し、最適なアーキテクチャを決定する。その際、機能を実現するためにハードウェアとソフトウェアとの機能分担を適切に設定し、それぞれへの要求仕様を決定することが求められる。 例えば、暗号化処理、画像処理などのアルゴリズムにおいては、すべてをソフトウェアで実現する方法、又はハードウェアの支援を得て実現する方法がある。後者の場合では、ハードウェアとソフトウェアとの機能分担については、様々な実装方法が考えられる。 ハードウェアとソフトウェアとの機能分担を適切に設定するためには、次のような項目についてハードウェアとソフトウェアとのトレードオフを検討することが重要である。 ・開発スケジュール ・開発コスト、製造コスト、保守コスト ・性能、信頼性、保守性 ・自社保有技術、知的財産 ・再利用性、拡張性 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア〜ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが携わった組込みシステム開発で、機能の実現のためにハードウェアとソフトウェアとのトレードオフを検討し、機能分担させた製品について、その性能、特徴などの製品概要、及び分担させた機能を、800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた製品の開発において、ハードウェアとソフトウェアとの機能分担を適切に設定するために、ハードウェアとソフトウェアとのトレードオフについて検討した項目及びそれぞれの内容を、800字以上1、600字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べた検討結果を基に、それぞれへの要求仕様で示した、ハードウェアとソフトウェアとの機能分担の内容、及びその機能分担に対する現在の評価を、600字以上1、200字以内で具体的に述べよ。
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機能分担を考える一つの視点

ハードウェアとソフトウェアの役割を判断するときは、各処理に求められる時間的な制約に注目し、要求と担当の対応関係を順に整理して、説明に無理や矛盾がないか考えましょう。

この問題で問われていること

選択肢を読む際は、処理に必要な応答の速さや安定性がどの程度重視されているかに絞り、その要求と機能の置き場所が整合しているかを、文脈全体に沿って丁寧に確認します。

視点

機能分担は、名称や印象だけでなく、処理要求と実現手段の対応として捉えます。まず時間的な要求を読み取り、次に担当箇所との関係を整理し、最後に説明全体の一貫性を見ます。

確認ポイント

  • 処理ごとに求められる時間的な条件を読み取る
  • その条件と担当機能の対応を文中で照合する
  • 一つの説明だけでなく全体の整合性を確かめる
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解説

本問は、組込み製品の具体的な事例を設定し、ハードウェアとソフトウェアの機能分担を検討した過程、決定した要求仕様、現在の評価を一貫して論述する問題です。

問題の全体像

組込みシステムでは、同じ機能でもソフトウェアだけで実現する方法、ハードウェアで支援する方法、その中間的な分担など複数の実現手段がある。本問は、受験者自身が携わった製品を題材に、まず製品の性能・特徴と分担機能を示し、次に開発スケジュール、開発・製造・保守コスト、性能・信頼性・保守性、自社技術・知的財産、再利用性・拡張性などのトレードオフを具体化し、最後にその検討結果から導いたハードウェア及びソフトウェアの要求仕様と、現在の評価まで説明させる構成です。出題趣旨では、開発工程設計、コスト設計、性能設計、再利用性などを踏まえた分析・設計の実践能力が評価対象とされている。

設問ア

800字以内で、後続の設問イ・ウと同じ製品事例を選び、製品の目的、主要な性能、特徴、利用環境や制約を簡潔に示す。そのうえで、どの機能をハードウェアに、どの機能をソフトウェアに分担させたのかを明確にすることが重要です。単に製品名や技術名を列挙するのではなく、例えば高速処理、リアルタイム性、消費電力、柔軟な変更への対応など、分担と関係する製品要求を示すと、後のトレードオフ検討につながる。

設問イ

800字以上1、600字以内で、機能分担を決める際に検討した項目と、その項目についての具体的な比較・判断を述べる。問題文に示された開発スケジュール、開発・製造・保守コスト、性能・信頼性・保守性、自社保有技術・知的財産、再利用性・拡張性を手掛かりに、製品固有の条件を加えて整理する。各項目について、ハードウェア化した場合とソフトウェア化した場合の利点・欠点、製品要求への影響、最終判断を対応付ける必要がある。出題趣旨が挙げる開発工程設計、コスト設計、性能設計、再利用性などを、一般論ではなく対象製品の数値・制約・開発状況に結び付けて書くことが評価につながる。

設問ウ

600字以上1、200字以内で、設問イの検討結果を受けて、ハードウェア側とソフトウェア側それぞれに設定した要求仕様を具体的に示し、その仕様に基づく機能分担を説明する。さらに、現在の評価として、性能や開発期間、コスト、品質、保守性などが当初の狙いを満たしたか、どの点に効果や課題が残ったかを述べる。設問イで示した検討と矛盾しないよう、分担の結論、要求仕様、評価を因果関係のある流れで記述することが重要です。公式の出題趣旨では、検討結果から得た機能分担の結論と、それに対する現在の評価を具体的に論述することが求められている。

学習のポイント

抽象論ではなく、製品要求とトレードオフを結び付けて論述する力を養う。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成22年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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