SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅱ

平成21年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅱ 問2

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

システムの段階移行について 企業活動の中心となる販売管理システム、生産管理システム、会計システムなどの基幹業務システムを再構築した場合、これらは一般的に規模が大きいシステムなので、一括移行ではなく、段階移行を選択する場合が多い。 例えば、多数の店舗を保有する企業では、店舗システムを、店舗ごとに旧システムから新システムへ順次切り替える方法をとる。その場合、本部システムは、店舗システムの切替期間中、新旧システムを両方稼働させ、全店舗の切替終了後、旧システムを停止する。 このような場合は、新旧システムが併存する並行運用期間が発生するので、システムアーキテクトは、その間の対応を検討する必要がある。例えば、データの二重管理、新旧システムの機能差異などの課題に対し、次のような対応が必要になる。 ・日中にマスタファイルのデータの変更を行うとき、新旧システムの両方のマスタファイルの同期を取って変更する必要があるので、一度の変更で両方のマスタファイルを更新する機能を追加する。 ・全社が新システムに切り替わるまで、新旧システムの機能差異を埋めるための暫定的な対応を行う。 その際、例えば、次のような工夫を行う。 ・並行運用期間中だけ利用する追加の機能は、削除する際にほかの機能に影響を与えない方法で実装する。 ・暫定的な対応を行うとき、基幹業務システムでの対応、EUCによる対応、運用による対応などを組み合わせて、工期、工数を最小限にとどめる。 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア〜ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが移行に携わったシステムの概要と、段階移行の方法について、800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べたシステムについて、あなたは並行運用期間中の課題をどのように想定し、その課題に対してどのような対応方法を選んだか。その課題、対応方法、選んだ理由を、業務の特性を踏まえて、800字以上1、600字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べた対応方法を実施する上で、重要と考え工夫した点について、600字以上1、200字以内で具体的に述べよ。
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並行運用を考えるための視点

段階的な移行では、旧来の仕組みと新しい仕組みを同時に扱う期間に注目し、利用者・運用担当者・データ・障害対応への影響を整理して、優先順位を含む判断の根拠を確かめます。

この問題で問われていること

確認の中心は、並行運用によって生じる負担や不整合をどのように把握し、移行の進め方を比較するための観点が一貫しているか、関係者間で共有できるかを見極めることです。

視点

並行運用を検討するときは、関係者、業務手順、情報の扱い、監視や復旧などへの影響を切り分け、想定される負担と管理方法を同じ基準で見比べます。

確認ポイント

  • 同じ業務や情報を複数の仕組みで扱う場面を整理できているか
  • 利用者と運用担当者の負担を、短期と継続時の両面で確認しているか
  • 不整合や障害が起きた場合の確認範囲と判断材料を区別できているか
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解説

基幹業務システムを段階移行する際の並行運用期間を題材に、課題の想定、対応方法の選択理由、実施上の工夫を一貫した実経験として論述する問題です。

問題の全体像

販売管理、生産管理、会計などの大規模な基幹業務システムを一括ではなく段階的に移行すると、新旧システムが併存する期間が生じる。本問は、その期間に発生するデータの二重管理や新旧機能の差異を事前に想定し、業務への影響を抑える対応を設計できるかを問う。公式の出題趣旨では、課題への対応だけでなく、対応を実施する際に重要と考えて工夫した内容まで、具体的に論述することが求められている。

設問ア

まず、自分が移行に携わったシステムについて、業務内容、利用部門や拠点、システムの規模・役割、移行の背景などを簡潔に示す。その上で、どの単位をどの順序で旧システムから新システムへ切り替えたのか、並行運用をどの期間・範囲で行ったのかを説明する。800字以内なので、後の設問で課題と対応を詳述できるよう、事例の前提と段階移行の全体像に絞ることが重要です。

設問イ

設問アの事例に即して、並行運用中に起こる課題、選択した対応方法、その理由を一組の論理として述べる。課題は、例えば新旧マスタの二重管理、データ連携や照合、機能差異、利用者の混乱、障害時の責任分界など、実際の業務に結び付けて具体化する。対応は、基幹業務システムの改修だけでなく、EUCや運用手順などを組み合わせてもよいが、なぜその方法が業務の重要性、処理量、正確性、移行期間、工期・工数に適していたのかを説明する。公式の出題趣旨が示す「課題を想定し、どのように対応したか」が中心となるため、抽象的な一般論ではなく、対象業務、影響、実施内容、選定理由を一貫させ、800字以上1、600字以内で十分な具体性を確保する。

設問ウ

設問イで選んだ対応を実施する際、特に重要と判断した点と、そのための工夫を掘り下げる。例えば、二重更新の漏れを防ぐ仕組み、データの照合・検証、暫定機能を移行完了後に安全に廃止できる設計、利用者への周知、障害時の切戻しや責任分担などを、実施手順や判断基準とともに述べる。単に対応策を再掲するのではなく、なぜその点を重視したか、どのリスクを抑え、業務継続や移行品質にどう寄与したかを示します。採点講評の本文は提示されていないため、公式の出題趣旨に基づき、移行方式の設計能力と、実行段階の具体的な工夫が伝わる答案にする。

学習のポイント

移行方式と並行運用課題を、業務特性・対応理由・実施上の工夫まで具体的につなげて書く力が重要です。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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