SAシステムアーキテクト試験 午前Ⅰ
令和4年度春期 システムアーキテクト 午前Ⅰ 問30
問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。
問題
選択肢
- アA 社と B 社が話し合って帰属先を決定する。
- イA 社と B 社の共有帰属となる。
- ウA 社に帰属する。
- エB 社に帰属する。
解き方のヒントを見る
委託関係と権利帰属の条件整理
業務委託で作られた成果物の権利を考えるときは、関わる当事者それぞれの立場と、契約で何が定められているかを、問題の条件から丁寧に拾い出して整理することが出発点になります。
この問題で問われていること
この問題で確認すべき観点は、設問が権利の帰属について当事者間の取決めをどのように設定しているかという一点です。前提条件を読み落とすと結論が変わり得るため、まずそこを特定しましょう。
視点
著作権の帰属は、法律上の原則と、当事者が契約で定めた内容の両面から整理される話題です。どちらを軸に考えるかは問題に示された前提によって扱いが分かれます。そのため、覚えている知識を当てはめる前に、どのような前提が与えられているかを確認する習慣が役立ちます。
確認ポイント
- 権利の扱いについて、当事者間の取決めが明示されているかどうかを確認する
- 登場する各当事者がどの立場にあり、互いにどのような関係で結ばれているかを区別して整理する
- 結論を出す前に、当てはめた考え方が問題の前提条件と矛盾していないかを見直す
正解と解説を見る
正解
エ
解説
著作権は、著作物を創作した著作者に最初から帰属します。A社は要求仕様を示しただけで、プログラムを実際に作成したのは委託を受けたB社です。権利を移す取決めもないため、著作権はB社に帰属し、正答はエです。
理由
著作権法では、著作権は著作物を創作した著作者に帰属し、登録などの手続なしに発生します。B社の従業員がB社の発意に基づいて職務上作成したプログラムは、別段の定めがなければ職務著作となり、B社が著作者になります(著作権法第15条第2項)。A社は要求仕様を示しただけで、プログラムの具体的な表現は創作していません。そのため、特段の取決めがない本問では、著作権はB社に原始的に帰属します。
比較
発注者が費用を負担し、仕様を示したとしても、それだけで著作者にはなりません。A社が著作権を持つには、契約で著作権の譲渡を定める必要があります。この場合、翻案権などの第27条・第28条の権利も譲渡対象とするには、契約で具体的に明記する必要があります。共有になるのは共同で創作した場合であり、話し合いで決めるのは権利発生後の契約の場面です。
選択肢ア
これは不正解だよ。著作権は創作と同時に発生し、登録や当事者の合意は要りません(無方式主義)。設問は特段の取決めがない場合の原始的帰属を問うており、帰属先は法律の決まりで定まります。話し合いで決めるのは、権利発生後に譲渡などを契約で定める場面なので、原始的帰属の説明として適切ではありません。
選択肢イ
これは不正解だよ。共有になるのは、複数の者が一緒に創作し、各人の寄与を分けて個別に利用できない共同著作物の場合です。A社は要求仕様を示しただけで、プログラムの表現を作成したのはB社です。仕様の提示は一般にアイデアの提供にとどまり、A社は共同著作者にならないため、共有帰属にはなりません。
選択肢ウ
これは不正解だよ。発注者として費用を負担する立場でも、それだけで著作者にはなりません。A社は要求仕様を示しただけで、プログラムを具体的に作成していません。A社に著作権を持たせるには、契約で著作権の譲渡を定める必要があります(第27条・第28条の権利は具体的な明記が必要)。本問ではその取決めがありません。
選択肢エ(正解)
これは正解だよ。著作権は、著作物を創作した著作者に原始的に帰属します。B社の従業員がB社の発意に基づいて職務上作成したプログラムは、別段の定めがなければ職務著作となり、B社が著作者になります(著作権法第15条第2項)。特段の取決めがないため譲渡も起きず、著作権はB社に帰属します。
学習のポイント
委託開発での著作権の原始的帰属、職務著作、著作権を譲渡するための契約の必要性を押さえましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅰ 問30(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)
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