PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
平成27年度春期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題





解き方のヒントを見る
判断に使う前提を確かめる
検討するときは、判断の根拠となる前提に注目しましょう。提示された条件と、自分が補っている想定を区別し、どの前提を使って考えているのかを整理すると、思い込みに気づきやすくなります。
この問題で問われていること
この問題では、判断に用いる前提が、与えられた情報に基づいているかという一点を意識してください。経験上もっともらしく感じる想定が入り込んでいないかを確かめ、明示された条件との境目を押さえましょう。
視点
前提は、判断の土台として置いている条件です。与えられた情報から確認できる条件と、自分の経験から補った想定を区別して整理すると、根拠の所在を確認できます。
確認ポイント
- 判断の土台にしている条件を意識できているか
- その条件の根拠を与えられた情報にたどれるか
- 明示されていない想定を事実として扱っていないか
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解説
本問では、移行作業と監査を含む導入計画を整え、関与度と影響度から体制の不足を把握する。さらに、一体感の形成、PMOの設置、利用部門の正確な理解、運用担当者の参加、提携先の影響力の調整を事例に即して説明することが要点となる。
問題の全体像
製薬企業H社は米国市場への進出に向け、提携先X社の標準生産管理システムを導入する。紙中心の業務手順も見直す必要があり、製造部門、システム部、運用を担うT社、X社、アドバイザのY氏が関わる。しかし、責任者の関与が低い、利用部門に目的が伝わっていないなど、推進体制に課題がある。公式の出題趣旨では、ステークホルダの現在の状況を認識し、望ましい状況に変える対策を立案する実践的な能力を問うとしている。導入計画の不足を補う視点と、関与度・影響度の分析に基づく対策の目的を読み取る視点が必要です。
設問1(1)
着目するのは、X社のテンプレートには導入する側の作業が全て記載されていない点と、H社の業務の継続性を確保するという目的です。新システムの導入作業だけでは、現システムから業務を引き継ぐ作業が計画から漏れる可能性がある。公式解答例では「現システムからの移行作業」としている。20字以内では、この作業名を端的に示す。採点講評でも、新システムへの移行作業をWBS項目として計画することの重要性を指摘している。本文に業務手順の見直しも登場するが、この設問では業務を継続するための移行に焦点を合わせる。
設問1(2)
着目するのは、稼働開始の前提として、導入作業終了後から稼働開始までにX社の監査員が監査するという条件です。H社だけでは実施日程を決められず、X社側の実施可能な時期と所要日数を確認する必要がある。公式解答例では「X社の監査員による監査」としており、15字以内ではこの作業を示します。監査の指摘事項への対応も条件に含まれるため、全体スケジュールでは監査とその後の対応を考慮する必要があるが、設問が尋ねている作業項目は監査そのものです。
設問2
図2の横軸は関与度、縦軸は影響度であり、右上の両方が高い領域にステークホルダがいない。表1では、I部長とX社は影響度が高い一方で関与度が低く、K氏は関与度が高い一方で影響度は中です。このため、積極的に関わり、かつ計画や遂行に強い影響を及ぼせる推進者が欠けている。公式解答例では「関与度、影響度がともに高い領域にステークホルダがいない状態」としている。35字以内では、二つの軸がともに高いことと、その領域に該当者がいないことを明記する。
設問3(1)
対策①では、統括責任者のI部長が見直し委員会とプロジェクトに対し、提携の意義とシステム導入の必要性を直接説明する。着目するのは、現状の問題として一体感が形成されていないとされ、対応方針でも一体感の形成が掲げられている点です。目的と必要性の理解を関係者で共有することが、この方針に対応する。公式解答例では「ステークホルダとプロジェクトとの一体感を形成すること」としている。30字以内では、説明するという行為ではなく、その結果として期待する一体感の形成を答える。
設問3(2)
対策②のPMOは、統括責任者のI部長、業務見直しのリーダであるJ課長、PMのK氏で構成され、定期的に情報共有と問題点の協議を行う。図2では関与度と影響度がともに高い領域が空いているが、図3ではI・J・Kがその領域に置かれている。公式解答例では「プロジェクトの推進役」と「関与度、影響度ともに高いステークホルダ」を要点としている。25字以内では「関与度・影響度が高いプロジェクトの推進役」とまとめられる。情報共有や協議という活動から、体制全体を推進する役割へ結び付けて答える。
設問3(3)
表1では、H社利用部門は導入の目的などの説明をまだ受けておらず、関与度が低い。対策③は、メリットとデメリットを正しく伝えた上で協力を要請するものであり、利点だけを伝えて過大な期待を持たせることを避け、事前に正確な理解と対策の共有を得る狙いがある。公式解答例では「事前に正確な理解を得て対策を共有したいから」としており、25字以内ではこの二つの要素を押さえる。採点講評でも、利用部門に正確な情報を伝え、期待値をコントロールしながら関与度を高める視点を求めている。
設問3(4)
着目するのは、H社のシステム部が主に企画・計画を担当し、実際の開発・運用業務の多くをT社に委託している点と、K氏が新システム稼働後の運用もT社に担当してもらう方針である点です。導入後もT社の運用が必要なので、導入段階から積極的に参加してもらう必要がある。公式解答例では、X社標準システム稼働後の運用業務をT社に担当してもらう必要があることを背景としている。40字以内では「X社標準システム稼働後の運用をT社に担当してもらう必要があるため」とまとめられる。T社の抵抗感ではなく、今後の運用を担う関係を答える。
設問3(5)
表1では、X社は直接関与しない一方、H社への不安から様々な報告を要求しており、関与度が低く影響度が高い。Y氏はノウハウを持つが、アドバイザとしての関与にとどまる。Y氏を現地責任者にも指名することで、その関与度と影響度を高め、X社の影響力をY氏経由で行使する関係に変える。公式解答例では、Y氏とX社を望ましい関与度・影響度に変えること、又はX社の影響力をY氏を通して行使する形に変えることを示している。30字以内では「X社の影響力をY氏を通して行使する形に変える」とまとめられる。採点講評でも、適切な役割を割り当ててアドバイザを体制に巻き込む視点を重視している。
学習のポイント
関与度と影響度を区別し、本文の事実と図表の変化を結び付けて、各対策の目的を字数内で説明する練習を重視する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成27年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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