PMプロジェクトマネージャ試験 午前Ⅰ

令和4年度秋期 プロジェクトマネージャ 午前Ⅰ 問4

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

L1,L2 と 2 段のキャッシュをもつプロセッサにおいて,あるプログラムを実行したとき,L1 キャッシュのヒット率が 0.95,L2 キャッシュのヒット率が 0.6 であった。このキャッシュシステムのヒット率は幾らか。ここで L1 キャッシュにあるデータは全て L2 キャッシュにもあるものとする。

選択肢

  1. ア
    0.57
  2. イ
    0.6
  3. ウ
    0.95
  4. エ
    0.98
解き方のヒントを見る

各段のヒット率が何を分母にしているか

多段構成の問題では、各段に与えられたヒット率がどのアクセス集合を基準にした値なのかを最初に確かめることが大切です。基準の取り方を取り違えると、同じ数値でも全体像の捉え方が変わってしまいます。

この問題で問われていること

問われているのは、複数の段を通過するアクセスの流れの中で、各段の値がどの範囲のアクセスに対する割合として示されているかを意識し、全体に対する割合としてどう捉え直すかという考え方です。

視点

割合は、何を母数にしているかで意味が変わります。多段の構成では、ある段のヒット率が「その段まで届いたアクセス」を母数にしている場合もあれば、「最初に発生した全アクセス」を母数にしている場合もあります。数値そのものより先に、その値がどの集合に対する割合として書かれているかを、問題の言い回しから読み取る習慣をつけると混乱を防げます。

確認ポイント

  • 各段のヒット率の母数が、その段に到達したアクセスなのか、全アクセスなのかを問題の表現から確認する
  • 上位の段で処理されたアクセスが、下位の段の母数に含まれるかどうかを整理する
  • 最終的に求める値が、どの母数に対する割合として答えるべきものかを確認する
正解と解説を見る

正解

エ

解説

L1で95%がヒットし、残りの5%(L1ミス)のうち60%がL2でヒットします。全体のヒット率は0.95+(1−0.95)×0.6=0.95+0.03=0.98となり、正解はエです。

理由

ヒット率は単位のない割合です。L1でヒットする割合は0.95、L1でミスする割合は1−0.95=0.05です。L2が参照されるのはL1でミスしたときだけで、そのうち0.6がL2でヒットします。したがって、L1ミス後にL2でヒットする割合は全アクセスに対して0.05×0.6=0.03です。システム全体のヒット率は0.95+0.03=0.98になります。なお、L1のデータは全てL2にもある(包含関係)ので、L2の0.6を全アクセスに対する割合と読むと、L1だけで0.95ある状況と矛盾します。この点からも、0.6はL1ミス時の割合と解釈するのが自然です。

比較

L1でヒットしたアクセスは、それだけでシステム全体のヒットに数えられます。そのため、全体のヒット率はL1単独の0.95を下回ることはありません。0.57や0.6は0.95より小さいので、全体のヒット率としては成り立ちません。0.95はL1単独の値で、L1ミス後にL2でヒットする分(0.03)が加わっていません。

選択肢ア

これは不正解だよ。0.57は数値としては0.95×0.6と一致するけど、この積はシステム全体のヒット率を表す式ではないよ。L1でヒットした95%のアクセスはそれだけでヒットになるので、全体のヒット率が0.95を下回ることはないんだ。正しくは、L1のヒット率0.95に、L1ミス後にL2でヒットする分0.05×0.6=0.03を足して0.98になるよ。

選択肢イ

これは不正解だよ。0.6は問題文にあるL2キャッシュのヒット率そのもので、L1ミス時にL2でヒットする割合を表しているよ。L1で0.95がヒットする分が含まれていないから、システム全体のヒット率にはならないんだ。全体のヒット率は0.95以上になるはずで、正しくは0.95+0.05×0.6=0.98だよ。

選択肢ウ

これは不正解だよ。0.95はL1キャッシュ単独のヒット率だね。L1でミスした残り0.05のアクセスはL2を参照して、そのうち0.6がヒットするよ。その分の0.05×0.6=0.03が加わっていないので、2段キャッシュ全体のヒット率としては小さすぎるんだ。正しくは0.95+0.03=0.98だよ。

選択肢エ(正解)

これは正解だよ。L1のヒット率は0.95で、L1ミスの割合は1−0.95=0.05だよ。L1でミスしたアクセスのうち0.6がL2でヒットするから、その割合は全体に対して0.05×0.6=0.03になるね。システム全体のヒット率は0.95+0.03=0.98(単位のない割合)で、選択肢の値と一致するよ。

学習のポイント

L2のヒット率はL1ミス時の割合として扱い、L1ヒットとL1ミス後のL2ヒットを足し合わせることが学習のポイントです。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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