PMプロジェクトマネージャ試験 午前Ⅰ

平成22年度春期 プロジェクトマネージャ 午前Ⅰ 問21

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

データの追加・変更・削除が,少ないながらも一定の頻度で行われるデータベースがある。このデータベースのフルバックアップを磁気テープに取得する時間間隔を今までの 2 倍にした。このとき,データベースのバックアップ又は復旧に関する記述のうち,適切なものはどれか。

選択肢

  1. ア
    ジャーナル情報からの復旧処理時間が平均して約 2 倍になる。
  2. イ
    フルバックアップ 1 回当たりの磁気テープ使用量が約 2 倍になる。
  3. ウ
    フルバックアップ 1 回当たりの磁気テープ使用量が約半分になる。
  4. エ
    フルバックアップ取得の平均実行時間が約 2 倍になる。
解き方のヒントを見る

取得間隔変更の影響を場面別に整理

フルバックアップの取得間隔を変えると、日々の取得作業と障害時の復旧作業の両方に影響が及びます。どの場面で何が増減しうるのかを、結論を急がずに場面ごとに切り分けて考えることが大切です。

この問題で問われていること

問われているのは、取得間隔という一つの条件の変更が、バックアップを取る側と復旧する側のどちらに、どのような形で影響するかという対応関係です。場面を取り違えずに結び付けられるかが焦点です。

視点

バックアップ運用を学ぶ際は、場面を二つに分けると整理しやすくなります。一つは、取得時にかかる時間や記憶媒体の容量などの運用面です。もう一つは、障害発生後に元の状態へ戻すための手順や所要時間などの復旧面です。条件を一つ変えたときは、それぞれの場面でどのデータや作業が関係するのかを、自分で順に追って考えることが理解の助けになります。

確認ポイント

  • 検討している影響が、バックアップ取得時と復旧時のどちらの場面に関するものかを確認する
  • 復旧時に、どの時点のどのデータを使って元の状態へ戻すのかを、自分で順に思い描いてみる
  • 間隔を変えた場合に関係する作業量や所要時間がどう動くかを、理由を付けて説明できるか確かめる
正解と解説を見る

正解

ア

解説

更新は一定の頻度で起こるので、前回のフルバックアップ以降に積み重なるジャーナル量は経過時間に比例します。取得間隔を2倍にすると、復旧時に適用する平均ジャーナル量と処理時間は約2倍になります。一方、1回当たりのフルバックアップの量と時間は、データベース全体の容量でほぼ決まるため変わりません。

理由

更新頻度を r(件/時)、フルバックアップの取得間隔を T(時)とします。障害が間隔内のどの時点でも同じように起こり得ると考えると、障害時点で前回のフルバックアップから経っている時間は平均 T/2(時)です。このため、復旧時に適用するジャーナル量は平均 r×T/2(件)になります。間隔を2T(時)にすると r×2T/2=r×T(件)となり、元の約2倍です。復旧処理時間は、平均ジャーナル量(件)×1件当たりの適用時間(秒/件)でほぼ決まるので、これも平均して約2倍になります。したがって正答はアです。

比較

フルバックアップ1回当たりの磁気テープ使用量はデータベースの総容量 S(GB)で、取得時間は S(GB)÷書込み速度(GB/秒)でほぼ決まり、取得間隔 T は式に入りません。問題文では更新が「少ない」とされているので、間隔を2倍にしても S はほとんど変わりません。そのため、1回当たりの使用量が約2倍(イ)や約半分(ウ)になることも、平均実行時間が約2倍(エ)になることもありません。間隔の影響を受けるのは、フルバックアップ以降に積み重なるジャーナルの側です。

選択肢ア(正解)

これは正解だよ。更新は一定の頻度で起こるので、前回のフルバックアップ以降に積み重なるジャーナル量は経過時間に比例します。障害がいつ起きても同じ程度と考えると、平均のジャーナル量は更新頻度(件/時)×間隔(時)÷2(件)です。間隔を2倍にすると、この量も約2倍になります。ジャーナルの適用時間は適用量にほぼ比例するため、復旧処理時間も平均して約2倍になります。

選択肢イ

これは不正解だよ。フルバックアップは、その時点のデータベース全体を複写します。このため、1回当たりの磁気テープ使用量はデータベースの総容量で決まります。問題文では追加・変更・削除は少ないとされており、取得間隔を延ばしても総容量はほとんど変わりません。したがって、使用量が約2倍になるとはいえません。間隔の影響を受けるのは、フルバックアップ以降に積み重なるジャーナル量のほうです。

選択肢ウ

これは不正解だよ。フルバックアップ1回当たりの使用量はデータベース全体の容量で決まり、取得間隔とは直接関係しません。更新が少ないという本問の前提では、間隔を2倍にしても容量はほぼ同じなので、約半分になることもありません。なお、一定期間内の取得回数が半分になるため、期間全体のテープ使用量の合計は減ることがあります。ただし、それは「1回当たり」の量の話ではありません。

選択肢エ

これは不正解だよ。フルバックアップの実行時間は、複写するデータベース全体の容量とテープへの書込み速度でほぼ決まります。更新が少ないという前提では、取得間隔を2倍にしてもデータベースの容量はほとんど変わりません。そのため、1回当たりの取得時間は約2倍にはならず、ほぼ同じ程度にとどまります。取得間隔の長さと1回の実行時間を混同しないことが大切です。

学習のポイント

フルバックアップの量はデータベースの容量で決まり、ジャーナルの適用量は前回のフルバックアップからの経過時間で決まる、という違いを区別すること。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成22年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅰ 問21(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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