NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
令和7年度春期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題





![図4 機器がサーバにデータの提供を要求したときのトークンの使用例。機器がサーバへCON [0x1234] GET /data(トークン0x10)を送る。サーバはACK [0x1234] 2.05 Content(トークン0x10)でデータAを返し、同じトークンで要求と応答を関連付けるシーケンス図。](/figures/d0eadf6e0925ecee3f0fc4b1868733537d8b406d4d3550a0382d0af8c8b46f5a.webp)


![図7 GメーターとGメーター管理サーバとの間の通信の概要。(1)遠隔検針では、GメーターがCONのPOSTで0時・1時…23時の測定データを送り、管理サーバが2.01 CreatedのACKを返す。(2)異常通知では、CON [0x1234] POST /異常情報を送り、2.01 CreatedのACKを受ける。](/figures/9c3b0ef62f71847d9ac4b6cf666b2fd5e3c71246cc7e112964bf20149db921f3.webp)


解き方のヒントを見る
判断の前提と目的のつながりを確認
この分野を学ぶときは、個々の用語から結論を急がず、判断の前提が何かを整理しましょう。ある説明が成り立つ条件と、その説明で達成したい目的とのつながりに注目すると、考える範囲を定めやすくなります。
この問題で問われていること
考える際には、自分が置いている前提と、扱っている目的が対応しているかを確認してください。明示された条件と自分で補った条件を区別し、その前提を採用する理由を言葉にして、判断の根拠を整理しましょう。
視点
判断の前提と目的のつながりに注目します。前提を無意識に付け足していないか、その前提が目的にどう関わるのかを、自分の言葉で説明できるか点検しましょう。
確認ポイント
- 考える目的を整理したか
- 与えられた条件と自分の仮定を区別したか
- 前提と目的のつながりを説明できるか
正解と解説を見る
解説
全国の電池駆動メーターによる遠隔検針を実現するため、LPWAの選択、CoAPの応答・再送・重複検出、DTLSの攻撃対策を理解し、閉域網、負荷分散、省電力、時刻補正を設計に結び付ける問題です。
問題の全体像
Y社は、全国に設置される電池駆動のGメーターから検針データを収集するIoTシステムを計画している。全国で利用できる無線回線と長時間稼働が主要な要件であり、LTE-M、閉域網、CoAPを組み合わせて実現する。出題趣旨では、LPWAによる無線回線の選択、CoAPの利用検討、情報セキュリティ対策にネットワークの知識を活用できるかを問うとしている。通信図の読み取りに加え、負荷、電力、時刻の管理を要件と関連付けることが重要です。
設問1(a)
公式解答例では「消費」。本文の「低[a]電力」と、Gメーターを電池で長時間動作させる要件に着目する。LPWAのLow Powerは、通信に伴う消費電力を低く抑える特性を表しており、「低消費電力」となる。
設問1(b)
公式解答例では「非セルラー」。本文はLPWAをセルラー系と非セルラー系に分類し、その具体例を並べている。LoRaWANとSigfoxが属するのは非セルラー系であり、次のLTE-M、NB-IoTとの対比で整理する。
設問1(c)
公式解答例では「セルラー」。LTE-MとNB-IoTについて、通信事業者が全国規模で構築したLTE網を利用すると説明されている。この移動体通信網を利用する点から、セルラー系のLPWAと判断する。全国対応というシステム要件にもつながる分類です。
設問1(d)
公式解答例では「ISM」。本文の「Wi-Fiが利用する周波数帯と同様に」という記述が着眼点となる。採点講評では、Wi-Fiなどが利用する2.4GHz帯と920MHz帯がISM(Industrial Scientific and Medical)バンドに割り当てられていることを学習事項として挙げている。
設問1(e)
公式解答例では「干渉」。本文は920MHz帯と2.4GHz帯を比較し、「電波[e]の影響が少ない」と述べている。ここでは、ほかの無線通信の電波が通信に影響を与える現象を指すので、「電波干渉」となる。伝搬距離ではなく、周波数帯の利用に伴う干渉の比較を読み取る。
設問1(f)
公式解答例では「3GPP」。問われているのは、LTE-MとNB-IoTの技術仕様を作成する標準化プロジェクトです。採点講評でも、LTEなどの移動体通信の技術仕様が3GPPで作成されることを覚えておくよう述べている。通信サービスを提供する事業者と、仕様を作成する組織を区別する。
設問2(g)
公式解答例では「2」。本文に、IKEv2が四つのメッセージを交換すると明記されている。要求と応答の二つのメッセージで1往復となるので、四つのメッセージは2往復に当たる。メッセージ数と往復数を区別して数える。
設問2(h)
公式解答例では「Gメーター管理サーバ」。図1で、Gメーターから送られる検針データの宛先を追うと、Y社サービス拠点の管理サーバに到達する。IPsecルータ1のSPDには、この宛先への通信をIPsecで保護する方針を設定する。宛先として答える対象は、VPNの終端であるIPsecルータ2ではなく、通信先の管理サーバです。
設問2(i)
公式解答例では「SIM」。本文の「通信事業者が契約者を識別する情報を記録している」「カードを装着する」という説明に着目する。LTE-Mを利用するGメーターに、契約者の識別情報を保持するSIMカードを装着するという意味です。
設問2(j)
公式解答例では「372」。1時間ごとの検針なので、30日間の検針回数は24×30=720回。1回100バイトから月間通信量は72、000バイトとなり、通信費は72、000÷1、000×1=72円です。これに1回線の月額基本料金300円を加え、利用料は372円となる。
設問2(k)
公式解答例では「RESTful」。本文の「WebシステムにおけるAPIの形式」と、表1のGET、POST、DELETEに着目する。指定したリソースに対して取得、作成、削除を行う構成が、RESTfulアーキテクチャとの対応を示している。空欄には公式解答例の表記である「RESTful」を入れる。
設問3(1)(l)
公式解答例では「トランスポート」。空欄はCoAPの層ではなく、CoAPが利用するUDPの層を問うている。UDPはトランスポート層のプロトコルであり、本文はその上でCoAPが動作すると説明している。修飾されている語がUDPであることを確認する。
設問3(1)(m)
公式解答例では「順不同」。本文は、通信品質の劣るネットワークで起こり得るパケットの到着状況を列挙している。送信した順序どおりに届かない状態を指して「順不同で到着」となる。UDP上では、到着順序の乱れも考慮して上位の通信処理を設計する必要がある。
設問3(1)(n)
公式解答例では「重複」。本文の「[n]して出現」は、同じパケットが複数回到着する現象を指します。図5の(vi)と(vii)にも、ネットワーク上で複製された同じACKが示されている。このような重複を検出するためにメッセージIDが使われる。
設問3(1)(o)
公式解答例では「同期」。図3(i)では、一つ目のCONに対するACKを受信する前に、別のサーバへ次のCONを送信している。応答を待たずに次の送信へ進める通信なので「非同期通信」となる。空欄の前に「非」があるため、記入する語は「同期」です。
設問3(1)(p)
公式解答例では「バックオフ」。図3(ii)と本文の再送待ち時間の説明から、「指数バックオフ」という方式を答える。再送までの待ち時間を指数的に増やし、再送が集中する状況を緩和して通信の成功を図る。採点講評でも、この技術がイーサネットでも利用されることに触れ、学習を促している。
設問3(2)(メッセージ)
公式解答例では「(viii)」。図5の(iv)はメッセージIDが0xbc90のACKで、Contentのデータを含んでいない。その後、(viii)でサーバから「データZ」が送られ、トークンは(i)と同じ0x71となっている。要求の受信確認を先に返し、準備できたデータを別のCONで送信する流れを読み取る。
設問3(2)(理由)
公式解答例では「トークン値が一致するから」。図5の(i)と(viii)のトークンはいずれも0x71です。一方、メッセージIDは0xbc90と0xcdf2で異なる。別のメッセージとして送られるデータ応答と元の要求を関連付けるのはトークンであり、15字以内ではその一致を理由として示す。
設問3(3)
公式解答例では「(v)」。図5の(ii)は、メッセージIDが0xab20、トークンが0x82のGET要求です。(v)のACKは同じメッセージIDとトークンを持ち、2.05 Contentとして「データX」を含んでいる。要求の確認応答とデータ応答を一つのACKにまとめるピギーバックの例です。
設問3(4)(理由)
公式解答例では、二つのパケットのメッセージIDが同じであることを理由としている。図5の(vi)と(vii)はいずれもメッセージIDが0xde10であり、本文はメッセージIDを重複検出に使用すると説明している。30字以内の答案では「二つのACKのメッセージIDが同じだから。」と要点を示せる。
設問3(4)(処理)
公式解答例では、受信した(vii)のACKは処理済みなので無視するとしている。(vi)で同じACKを既に処理しているため、(vii)を再びデータ処理に回す必要はない。30字以内では「受信した(vii)のACKは処理済みなので無視する。」と、重複を検出した後の処理を答える。
設問3(5)(内容)
公式解答例では、送信元IPアドレスを攻撃対象ホストのIPアドレスに偽装するとしている。図6の説明では、サーバがClientHelloの送信元に大きな応答を返す点が攻撃に利用される。40字以内では「送信元IPアドレスを攻撃対象ホストのIPアドレスに偽装する。」と、書き換える情報と偽装先を具体的に示す。
設問3(5)(攻撃名)
公式解答例では「リフレクション」。攻撃者は攻撃対象のIPアドレスを送信元に設定し、サーバからの応答を攻撃対象へ向かわせる。第三者のサーバを介して応答を送り付ける仕組みが、リフレクションに当たる。本文には応答サイズが大きいことも示されているが、攻撃名は公式解答例の名称を押さえる。
設問3(6)(判断できること)
公式解答例では、(i)の送信元が偽装されていないことを判断できるとしている。図6では、サーバが送信元へ返したcookieを、クライアントが受け取って(iii)に付けて送り返す。正しいcookieの返送は、その送信元で応答を受信できたことの確認になる。30字以内では「(i)の送信元が偽装されたものでないこと。」と示す。採点講評でも、この確認の仕組みから導くことを求めている。
設問3(6)(対応)
公式解答例では、(iv)を送信せず、ハンドシェークを終了するとしている。cookieが不正なら、送信元の確認が成立していないため、図6の(iv)のServerHelloへ進めない。30字以内では「(iv)を送信せず、ハンドシェークを終了する。」と、送信しないメッセージと終了処理を示します。
設問4(1)
公式解答例では、Gメーター管理サーバやネットワークへの負荷の集中を避けられるとしている。数万台のGメーターが午前0時の測定後に送信するため、同時に通信すると処理と通信の負荷が集中する。送信開始を0時から1時の間に分散する効果を答える。35字以内では「管理サーバやネットワークへの負荷の集中を避けられる。」とまとめられる。
設問4(2)
公式解答例では、Gメーターの消費電力を抑えられるとしている。測定や送信が終わった後、次の測定までスリープする動作は、電池で長時間稼働させる要件に対応する。25字以内では「Gメーターの消費電力を抑えられる。」と、スリープによる直接の効果を示します。
設問4(3)
公式解答例では、TCPコネクションの確立と切断の処理が行われることを理由としている。本文のCoAPはUDPを利用する一方、HTTP/1.1ではTCPを利用するため、接続管理のためのパケットが加わる。35字以内では「TCPコネクションの確立と切断の処理が行われるから。」と示す。採点講評でも、UDPにはない確立・切断のパケットに着目するよう述べている。
設問4(4)
公式解答例では、CoAP通信がY社向けの閉域網の中で行われることを理由としている。図1と図9では、LPWA閉域接続サービス、専用線、IPsec VPNによってGメーターと管理サーバを結んでいる。30字以内では「CoAP通信はY社向けの閉域網内で行われるから。」と答える。インターネットを経由する区間にもIPsec VPNを利用するという、本事例の構成を根拠にする。
設問4(5)
公式解答例では、測定と送信が誤った時刻に行われることになるとしている。図8では毎時の測定と、午前0時の測定後から1時までの送信が時計に基づいて実行される。時計の誤差が蓄積すると、これらの動作時刻が実際の時刻からずれる。30字以内では「測定と送信が誤った時刻に行われる。」と、二つの動作への影響を示します。
設問4(6)
公式解答例では、Gメーター管理サーバから現在時刻を取得し、Gメーターの時刻を更新するとしている。図9の説明ではY社拠点のサーバがNTPサーバと時刻同期するため、管理サーバの時刻を補正の基準にできる。設問はCoAP通信を利用した処理を求めているので、40字以内では「Gメーター管理サーバから現在時刻を取得し、自身の時刻を更新する。」と、取得先と更新処理を示します。
学習のポイント
メッセージIDとトークンの役割、cookieによる送信元確認、TCPとUDPの通信処理の違いを重点的に学びます。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和7年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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