NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
令和7年度春期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題







解き方のヒントを見る
ネットワーク管理の前提をそろえる
ネットワークの管理を考える際は、記述がどの範囲を対象としているかという一つの視点に絞って整理しましょう。対象範囲を自分の知識で補わず、与えられた条件に沿って検討することが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、扱われている内容の対象範囲を確認することに注目しましょう。明示された範囲と、自分が想定した範囲を区別し、検討の途中で対象を広げたり狭めたりしていないかを確かめてください。
視点
対象範囲は、検討する内容がどこまでを扱っているかという境界です。知っている事例を当てはめる前に、与えられた条件から確認できる範囲を整理すると、思い込みによる範囲のずれを点検できます。
確認ポイント
- 対象範囲の根拠を、与えられた条件に求めているか
- 明示されていない範囲を、自分の想定で補っていないか
- 検討の途中で、対象範囲を変えていないか
正解と解説を見る
解説
IPv4のみの社内ネットワークをデュアルスタックへ移行する事例を通じ、ARPとNDP、SLAAC、DNS、OSPFv3の経路制御を問う問題です。IPv4へのフォールバックで障害が見えにくくなる点や、未使用アドレス宛ての廃棄経路、ICMPv6を考慮したアクセス制御まで理解することが要点です。
問題の全体像
Q社は、IPv4のみで運用している社内ネットワークにIPv6を導入します。IPv6に未対応のSaaSやWebサイトもあるため、IPv4とIPv6のデュアルスタックを採用する方針です。公式の出題趣旨では、IPv6アドレスの割当て、SaaSやWebサイトとの通信前に行うDNS通信、IPv6の経路制御設計などの知識と理解力を問うとしています。本文の通信手順と図表を対応付け、設定の仕組みに加えて、管理・監視・セキュリティ上の目的まで説明する問題です。
設問1(a)
本文の「求めるMACアドレスに対応するIPv4アドレス」を入れる場所に着目します。ARPリクエストでは、問い合わせ対象のIPv4アドレスを指定して、そのアドレスを持つノードに応答を求めます。公式解答例では「宛先IPアドレス」です。これはARPメッセージ内の問い合わせ対象を表すフィールドです。
設問1(b)
要求元は相手のMACアドレスをまだ知らないため、ARPリクエストをブロードキャストで送信し、該当するIPv4アドレスを持つノードに応答してもらいます。公式解答例では「ブロード」です。本文が「【b】キャスト」となっているので、空欄には「ブロード」だけを入れます。IPv6のNSがマルチキャストで送信される点と区別しましょう。
設問1(c)
本文では、ARPリクエストを受信した対象ノードが、自身のMACアドレスを要求元へ返しています。要求に対する応答なので、使用するメッセージはARPリプライです。公式解答例では「リプライ」です。空欄の前に「ARP」があるため、答案には「リプライ」を入れます。
設問2(1)(d)
図2の省略されていないIPv6アドレスは、コロンで区切られた八つの組で表されています。128ビットを八つに分けると、各組は16ビットです。公式解答例では「16」です。図2では各組が16進数4桁で表されていることも確認できます。
設問2(1)(e)
ここでは、Modified EUI-64形式のインタフェース識別子を生成する元のMACアドレスの長さを問われています。元になるMACアドレスは48ビットであり、公式解答例では「48」です。生成後の識別子の長さを問う【f】と取り違えないようにします。
設問2(1)(f)
本文の「Modified EUI-64形式のインタフェース識別子」に着目します。生成される識別子は64ビットであり、公式解答例では「64」です。図2でも、/64のIPv6アドレスは上位64ビットのサブネットプレフィックスと下位64ビットのインタフェース識別子に分かれています。
設問2(2)
LLAの有効範囲は、本文にあるNDPの機能「データリンク層で通信可能な範囲」と対応します。GUAのようなグローバルな範囲ではなく、同じリンク内で有効なアドレスです。公式解答例では「データリンク層で通信可能な範囲」です。この表現で20字以内に収まり、有効範囲を具体的に示せます。
設問2(3)
図3の処理(i)では仮のLLA、処理(v)では仮のGUAをNSメッセージに入れ、ほかのノードからNAの応答がないことを確認しています。共通する目的は重複アドレス検出です。公式解答例では、同じデータリンク層上で同じIPv6アドレスを使うノードがいないことの確認を挙げています。55字以内の答案では「同じデータリンク層上で同じIPv6アドレスを使用するノードがいないことを確認するため」とまとめられます。
設問2(4)(GUA)
処理(v)では、RAで受け取ったサブネットプレフィックスと、生成したインタフェース識別子を組み合わせます。LLA「fe80::8:800:200c:417a」の下位64ビットは「8:800:200c:417a」です。これを上位64ビットの「2001:db8:aabb:1」と組み合わせるので、公式解答例では「2001:db8:aabb:1:8:800:200c:417a」です。LLAのプレフィックス部分は引き継ぎません。
設問2(4)(プレフィックス長)
RAメッセージに含まれるサブネットプレフィックスが「2001:db8:aabb:1::/64」と指定されています。GUAの生成では、この上位64ビットにインタフェース識別子を組み合わせるため、プレフィックス長は変わりません。公式解答例では「64」です。アドレス全体の長さである128ビットと区別します。
設問2(5)
本文の「ノード3を経由して外部のノードと通信を行うため」に着目します。ノード1は、RAを送信したルータであるノード3のLLAを、外部通信の送り先として設定します。公式解答例では「デフォルトルータ」又は「デフォルトゲートウェイ」です。SLAACでは、自身のアドレスだけでなく、外部通信に使うルータも設定されます。
設問2(6)
設問は、ランダムな識別子のプライバシー上の利点ではなく、PC管理で考慮が必要になる理由を問います。識別子がランダムに生成されると、固定の識別子を手掛かりにアドレスとPCを対応付けにくくなります。公式解答例では、20字以内で「PCを特定しづらくなるから」です。採点講評でも、この設問の正答率が低かったとされ、識別子のランダム化による利点と新たな管理上の課題を理解することが求められています。
設問3(1)
本文では、EDNSで調整したUDPの最大メッセージサイズを超える場合、又はEDNS非対応の相手と512バイトを超えるDNSメッセージを扱う場合を挙げています。このときの送受信方法は、公式解答例では「TCP」です。EDNSを利用できれば512バイトを超えてもUDPで送受信できるので、「512バイトを超えたら常にTCP」と覚えないことが重要です。
設問3(2)(IPv6アドレス)
図5のANSWER SECTIONで、まず「saas.example.com.」のCNAMEが「dual-saas.example.net.」を指していることを確認します。その名前に対応するAAAAレコードは二つあるので、両方の値を答えます。公式解答例では「2001:db8:xxxx::10、2001:db8:xxxx::20」です。ADDITIONAL SECTIONのAレコードはDNSサーバのIPv4アドレスであり、SaaSへアクセスするためのIPv6アドレスとは区別します。
設問3(2)(FQDN)
権威DNSサーバの名前は、図5のAUTHORITY SECTIONにあるNSレコードから読み取ります。「example.net.」について二つのNSレコードが示されているため、公式解答例では「ns1.example.net.、ns2.example.net.」です。「dual-saas.example.net.」はSaaSの別名が指す名前であり、権威DNSサーバの名前ではありません。図中の字句に合わせ、末尾のドットも含めて両方を答えます。
設問3(3)
Q社はデュアルスタックを採用し、PCはAAAAレコードとAレコードから両方のアドレスを取得します。IPv6が不通でも、OSやWebブラウザによってはIPv4へフォールバックし、同じWebページを利用できるため、従業員には障害が見えにくくなります。公式解答例では「IPv4にフォールバックしてSaaSの同じWebページにアクセスするから」で、45字以内です。採点講評でも、この設問の正答率が低かったとされ、IPv6の障害を検知する監視方法の必要性が指摘されています。
設問4(1)
図6のa~dは、ルータAとルータBの間、及びルータBとFWの間のインタフェースです。これらにはLLAだけを割り当て、インターネットからアクセスするためのGUAを持たせていません。公式解答例では、インターネットからルータA、ルータB及びFWにアクセスできないようにする目的を挙げています。50字以内では「インターネットからルータA、ルータB及びFWにアクセスできないようにするため」とまとめられます。
設問4(2)
本文では、OSPFv3の経路制御にはLLAを利用できるものの、FWと各拠点のL3SWの間にはGUAを静的に割り当てています。静的なアドレスなら、経路調査で表示されたアドレスを機器と対応付けやすくなります。公式解答例では「traceroute6を利用して調べるときに各機器を識別しやすくする」で、45字以内に収まります。採点講評でも、tracerouteが障害の切分けや復旧に役立つことを挙げ、関連コマンドを使いこなす力を求めています。
設問4(3)
図3の処理(iii)と(iv)を、PCと各拠点のL3SWに対応付けます。PCがRSメッセージを送信すると、L3SWはサブネットプレフィックスなどの情報を含むRAメッセージで応答し、PCの設定を可能にします。公式解答例では「PCが送信したRSメッセージに対してRAメッセージを応答する」です。40字以内の答案には、RSを受けることとRAで応答することの両方を入れます。
設問4(4)(ア)
項番1は、ルータBからインターネットへ向かうデフォルトルートです。本文に「ルータAのLLAをネクストホップ」とあるので、図6のルータAのインタフェースaを確認します。そのLLAは「fe80::1/64」であり、公式解答例ではネクストホップのアドレスとして「fe80::1」です。ルータB自身のアドレスを記入しないようにします。
設問4(4)(イ)
項番1の出口は、ルータBからネクストホップのルータAへ向かうインタフェースです。図6では、ルータBの上側がb、ルータA側がaとなっています。出口インタフェース名は経路情報を持つルータB側の名前なので、公式解答例では「b」です。
設問4(4)(ウ)
項番3の宛先「2001:db8:yyyy:3::/64」は、図6の拠点1のPCが接続されるネットワークです。ルータBからは、まず隣接するFWへ転送します。ルータBに接続するFWのインタフェースdのLLAは「fe80::2/64」なので、公式解答例では「fe80::2」です。最終的に到達するL3SW1ではなく、直近の隣接機器をネクストホップにします。
設問4(4)(エ)
項番3では、ルータBからFWへパケットを送り出します。図6でルータBのFW側インタフェースを確認するとcです。公式解答例では「c」です。ネクストホップはFW側のdのアドレス、出口はルータB自身のcと、両端を区別して読み取ります。
設問4(4)(オ)
項番4は、FWがOSPFv3で学習するデフォルトルートです。本文ではルータBがデフォルトルートを配布するとされているため、FWのネクストホップはルータBになります。図6のルータBのインタフェースcのLLAは「fe80::1/64」であり、公式解答例では「fe80::1」です。
設問4(4)(カ)
項番4のデフォルトルートでは、FWからルータBへ向かって転送します。図6でFWのルータB側インタフェースはdなので、公式解答例では「d」です。ルータB側のcではなく、経路情報を持つFW側の出口名を答えます。
設問4(4)(キ)
項番5は、FWから拠点1のPC用ネットワーク「2001:db8:yyyy:3::/64」へ向かう経路です。FWは広域イーサ網を通じて、隣接するL3SW1へ転送します。図6のL3SW1のインタフェースgのLLAは「fe80::2/64」なので、公式解答例では「fe80::2」です。PC側のインタフェースhのアドレスとは区別します。
設問4(4)(ク)
項番5では、FWから広域イーサ網へパケットを送り出します。図6でFWの広域イーサ網側インタフェースはfなので、公式解答例では「f」です。ネクストホップのアドレスはL3SW1側のgから、出口名はFW側のfから読み取ります。
設問4(4)(ケ)
項番6は、L3SW1から外部へ向かうデフォルトルートで、出口はgと示されています。この出口で隣接する機器はFWであり、FWのインタフェースfのLLAは「fe80::1/64」です。公式解答例では「fe80::1」です。同じLLAが別のリンクにも登場するため、接続関係と出口インタフェースを組み合わせて判断します。
設問4(5)
ルータAにはQ社の/48宛てをルータBへ送る静的経路があります。ルータBに項番2の廃棄経路がないと、未使用GUA宛てのパケットに対応する具体的な経路がなく、デフォルトルートでルータAへ送り返します。この往復でホップリミットが減少します。公式解答例では、35字以内で「ホップリミットが0になるまで相互に転送し合い、廃棄する」です。相互転送と最終的な廃棄の両方を押さえます。
設問4(6)
項番1の宛先は「::/0」、項番2は「2001:db8:yyyy::/48」です。両方に一致する宛先では、より長いプレフィックスに一致する経路が選択されるため、/48の項番2が優先されます。公式解答例では、25字以内で「ロンゲストマッチによって選択されるから」です。項番2が廃棄経路であること自体が選択理由なのではなく、宛先との最長一致が理由です。
設問4(7)
〔社内ネットワークの概要〕に、ルータBにはデフォルトルートとNAPTを設定していると明記されています。後半の会話は、このIPv4での設定と、NAPTを利用しないIPv6での設計を比較しています。公式解答例では「NAPT」です。IPv6では、NAPTによる通信の制約を前提にせず、FWのアクセス制御を設計する必要があるという文脈を読み取ります。
設問4(8)
本文では、中継機器がMTUを超えるパケットを転送できないとき、送信元にICMPv6のPacket Too Bigを送ると説明しています。PMTUDで検出する対象は、通信経路全体で通過できるサイズを制約する最小のMTUです。公式解答例では、20字以内で「通信経路における最小のMTU」です。送信元のインタフェースのMTUだけを答えないようにします。
学習のポイント
アドレス生成から外部通信までの流れを整理し、LLAと出口インタフェースの組合せ、最長一致による経路選択、IPv6固有の監視と通信制御を重点的に学習しましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和7年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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