NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
令和6年度春期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
判断の前提となる条件をそろえる
この分野では、用語の印象だけで判断せず、どの条件を前提としているかに注目しましょう。検討する内容ごとに前提を短く書き出し、途中で別の条件を混ぜて考えていないか確かめることが手掛かりになります。
この問題で問われていること
考える際は、判断の前提となる条件が一貫しているかという一点に絞って確認しましょう。明示された条件と、自分で補った仮定を分けて整理すると、思い込みが検討に入り込んでいないかを振り返りやすくなります。
視点
前提の確認は、考える範囲をそろえるための整理です。与えられた条件を自分の言葉で短くまとめ、書かれていないことを当然の条件として加えていないか確認しましょう。
確認ポイント
- 判断の前提として明示されている条件を整理できているか。
- 自分で補った仮定を、明示された条件と区別できているか。
- 考えている途中で、前提となる条件を変えていないか。
正解と解説を見る
解説
本問は、ゲームファイル配信を題材に、LBの死活確認と負荷分散、HTTPSの終端、BGPの経路選択と認証、DDoS対策を問う。特に東京POPからAS-Gへの配信では、AS-F経由とIX経由を比較し、AS Path長が短いIX経由を選ぶ。
問題の全体像
D社は世界中の利用者にゲームファイルを配信している。現在は自社データセンターのLBと配信サーバを利用しているが、ファイルの大容量化と利用者のグローバル化に対応するため、E社CDNの導入を計画している。さらに、配信拠点をDDoS攻撃から保護する方式も検討する。公式の出題趣旨では、ロードバランサー、BGP、CDN、DDoS対策を実業務に活用できる水準かどうかを問うとしている。各設問では、通信の向きと装置の役割を図表から読み取り、方式の選択理由や対策の効果を説明することが重要です。
設問1(1)
下線①の死活確認は、HTTPによる配信サービスが利用できるかを確認するためのものです。ICMP Echoに応答できても、HTTPサーバのプロセスが停止している場合があるため、ICMP Echoだけではその障害を検知できない。公式解答例では「ICMP Echoに応答するがHTTPサーバのプロセスが停止している状態を検知できない」としている。50字以内の答案では、ICMP応答があってもHTTPプロセスの停止を検知できない、という要素を押さえる。
設問1(2)
アは、ファイルサイズにばらつきがあり、配信時間が変動するという条件に着目する。接続を順番に振り分けても、長時間継続する接続が特定のサーバに残り、同時接続数が偏ることがある。その時点で接続数が最も少ないサーバを選ぶ方式が目的に合うため、公式解答例では「最少接続数」としている。イは表1のゲームβの行を確認する。配信サーバの所属セグメントは172.22.1.0/24なので、公式解答例も「172.22.1.0/24」です。
設問1(3)
ゲーム端末はHTTPSでアクセスする一方、LBが振り分ける先の配信サーバはHTTPで動作する。表1でも、LBのポートは443、配信サーバのポートは80です。この構成ではLBがHTTPSを終端し、配信サーバへHTTPで接続するため、HTTPSに必要なサーバ証明書を持つ装置はLBとなる。公式解答例では、図1中の字句で「LB」としている。
設問2(1)
LP(LOCAL_PREF)とMED(MULTI_EXIT_DISC)は、値の優先方向が異なる。LPは値が大きい経路を優先し、MEDは値が小さい経路を優先する。したがって、公式解答例ではウが「大きい」、エが「小さい」です。採点講評では、この設問の正答率がやや低く、BGPの基本を正しく理解していないと思われる解答が多かったと指摘している。二つの属性を一律に大小で判断せず、それぞれの優先方向を理解しておく。
設問2(2)
設問は、HTTPSリクエストが東京POPに届いた後の、東京POPからAS-Gへの配信経路を問う。図2で比較する経路は「東京POP-AS-F-AS-G」と「東京POP-IX-AS-G」です。東京POPが受け取るAS-G宛ての経路情報は、AS-F経由ではAS Pathが「AS-F、AS-G」で長さ2、IX経由では「AS-G」で長さ1となる。IXはレイヤー2の相互接続点なので、AS PathにASとして追加されない。AS Path長以外は経路選択に影響しないという条件から、短いIX経由が選ばれる。公式解答例では「IX」としている。AS-F経由の比較対象も東京POPからAS-Gへの経路であり、シンガポールPOPへ向かう経路ではありません。
設問2(3)
下線③では、隣接ASのBGPルータとの間にMD5認証用の共通パスワードを設定している。この認証により、共通パスワードを持たない相手による不正なBGP接続を防ぐ。公式解答例では「不正なBGP接続」としている。この表現は指定語句の「BGP」を含み、10字以内に収まる。経路情報の偽装を防ぐ下線④の経路フィルタリングとは、対策の対象を区別する。
設問2(4)
下線④で受け取る経路情報は、その経路に含まれるアドレスブロックへ送る通信の経路選択に影響する。不正な経路を採用すると、E社からそのアドレスブロックに属する端末へのコンテンツが正しく届かなくなる。公式解答例では「不正な経路に含まれるアドレスブロックへのコンテンツ配信ができなくなる」としている。40字以内の答案では、指定語句の「不正な経路」と、その経路に含まれるアドレスブロックへの配信不能を押さえる。採点講評では、トラフィックの向きを逆方向に考えた誤答が多かったと指摘しているため、E社から端末への配信という向きを確認する。
設問3(1)
図3では、LB11への攻撃パケットはBGPルータ1から内部のルータを通り、FW1へ到達する。FW1で遮断する場合、攻撃パケットはそこまでの内部回線を通過する。一方、RTBH方式では、攻撃対象のホスト経路を受け取ったBGPルータが、対象宛ての通信を廃棄用インタフェースへ送る。このため、インターネットとの境界にあるBGPルータ1で遮断でき、内部回線に流れる攻撃トラフィックを抑えられる。公式解答例では「攻撃パケットを攻撃元に近いところで遮断できる」としている。30字以内の答案では、FW1より攻撃元に近い位置で遮断できる点を示します。
設問3(2)
RTBH方式は攻撃対象の宛先IPアドレスへのホスト経路を用いるため、そのIPアドレス宛ての通信をまとめて廃棄する。BGP Flowspec方式では、本文にあるように宛先IPアドレスに加え、送信元IPアドレスや宛先ポート番号などを組み合わせて選別できる。その結果、より細かい条件に一致する通信を破棄し、同じ宛先IPアドレスへのほかの通信を残せる。公式解答例では「より細かい条件で選別して破棄することができる」としている。30字以内の答案では、選別条件を細かく指定して破棄できる点を押さえる。
学習のポイント
BGP経路情報が示す宛先と実際の通信の向きを対応させ、AS Path長、属性の優先関係、DDoS遮断位置と選別条件を理解する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和6年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針