NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ

令和4年度春期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問2

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問2 仮想化技術の導入に関する次の記述を読んで,設問1~5に答えよ。 U社は社員3、000人の総合商社である。U社では多くの商材を取り扱っており,商材ごとに様々なアプリケーションシステム(以下,APという)を構築している。APは個別の物理サーバ(以下,APサーバという)上で動作している。U社の事業拡大に伴ってAPの数が増えており,主管部署であるシステム開発部はサーバの台数を減らすなど運用改善をしたいと考えていた。そこで,システム開発部では,仮想化技術を用いてサーバの台数を減らすことにし,Rさんを担当者として任命した。 現在のU社ネットワーク構成を図1に示す。 図1 現在のU社ネットワーク構成(抜粋) 現在のU社ネットワーク構成の概要を次に示す。 ・DMZ,サーバセグメント,PCセグメントにはプライベートIPアドレスを付与している。 ・キャッシュDNSサーバは,社員が利用するPCやサーバからの問合せを受け,ほかのDNSサーバへ問い合わせた結果,得られた情報を応答する。 ・コンテンツDNSサーバは,PCやサーバのホスト名などを管理し,PCやサーバなどに関する情報を応答する。 ・プロキシサーバは,PCからインターネット向けのHTTP通信及びHTTPS(HTTP over TLS)通信をそれぞれ中継する。 ・APは,共用DBサーバにデータを保管している。共用DBサーバは,事業拡大に必要な容量と性能を確保している。 ・APごとに2台のAPサーバで冗長構成としている。 ・APサーバ上で動作する多くのAPは,HTTP通信を利用してPCからアクセスされるAP(以下,WebAPという)であるが,TCP/IPを使った独自のプロトコルを利用してPCからアクセスされるAP(以下,専用APという)もある。 ・監視サーバは,DMZやサーバセグメントにあるサーバの監視を行っている。 〔サーバ仮想化技術を利用したAPの構成〕 Rさんは,WebAPと専用APの2種類のAPについて,サーバ仮想化技術の利用を検討した。サーバ仮想化技術では,物理サーバ上で複数の仮想的なサーバを動作させることができる。 Rさんが考えたサーバ仮想化技術を利用したAPの構成を図2に示す。 図2 サーバ仮想化技術を利用したAPの構成 ホストサーバでは,サーバ仮想化を実現するためのソフトウェアである【ア】が動作する。ホストサーバは仮想SWをもち,NICを経由してL2SWと接続する。 AP仮想サーバは,ホストサーバ上で動作する仮想サーバとして構成する。AP仮想サーバの仮想NICは仮想SWと接続する。 一つのAPは2台のAP仮想サーバで構成する。2台のAP仮想サーバでは,冗長構成をとるためにVRRPバージョン3を動作させる。サーバセグメントでは複数のAPが動作するので,VRRPの識別子としてAPごとに異なる【イ】を割り当てる。①可用性を確保するために,VRRPを構成する2台のAP仮想サーバは,異なるホストサーバに収容するように設計する。 VRRPの規格では,最大【ウ】組の仮想ルータを構成することができる。また,②マスタとして動作しているAP仮想サーバが停止すると,バックアップとして動作しているAP仮想サーバがマスタに切り替わる。 一例として,AP仮想サーバ(AP0a)とAP仮想サーバ(AP0b)とで構成される,AP名がAP0のIPアドレス割当表を表1に示す。 表1 AP0のIPアドレス割当表 APごとに,AP仮想サーバの仮想NICで利用する二つのIPアドレスとVRRP仮想ルータで利用する仮想IPアドレスの計三つのIPアドレスの割当てと,一つのFQDNの割当てを行う。APごとに,コンテンツDNSサーバにリソースレコードの一つである【エ】レコードとしてVRRPで利用する仮想IPアドレスを登録し,FQDNとIPアドレスの紐付けを定義する。PCにインストールされているWebブラウザ及び専用クライアントソフトウェアは,DNSの【エ】レコードを参照して接続するAPのIPアドレスを決定する。 〔コンテナ仮想化技術を利用したWebAPの構成〕 次に,Rさんはコンテナ仮想化技術の利用を検討した。WebAPと専用APに分け,まずはWebAPについて利用を検討した。コンテナ仮想化技術では,あるOS上で仮想的に分離された複数のアプリケーションプログラム実行環境を用意し,複数のAPを動作させることができる。 Rさんが考えた,コンテナ仮想化技術を利用したWebAP(以下,WebAPコンテナという)の構成を図3に示す。 図3 WebAPコンテナの構成 コンテナサーバでは,コンテナ仮想化技術を実現するためのソフトウェアが動作する。コンテナサーバは仮想ブリッジ,仮想ルータをもち,NICを経由してL2SWと接続する。WebAPコンテナの仮想NICは仮想ブリッジと接続する。 WebAPコンテナは,仮想ルータの上で動作するNAPT機能とTCPやUDPのポートフォワード機能を利用して,PCや共用DBサーバなどといった外部のホストと通信する。コンテナサーバ内の仮想ブリッジセグメントには,新たにIPアドレスを付与する必要があるので,プライベートIPアドレスの未使用空間から割り当てる。また,③複数ある全ての仮想ブリッジセグメントには,同じIPアドレスを割り当てる。 WebAPコンテナには,APごとに一つのFQDNを割り当て,コンテンツDNSサーバに登録する。 WebAPコンテナでは,APの可用性を確保するために,共用リバースプロキシを新たに構築して利用する。共用リバースプロキシは負荷分散機能をもつHTTPリバースプロキシとして動作し,クライアントからのHTTPリクエストを受け,④ヘッダフィールド情報からWebAPを識別し,WebAPが動作するWebAPコンテナへHTTPリクエストを振り分ける。振り分け先であるWebAPコンテナは複数指定することができる。振り分け先を増やすことによって,WebAPの処理能力を向上させることができ,また,個々のWebAPコンテナの処理量を減らして負荷を軽減できる。 共用リバースプロキシ,コンテナサーバには,サーバセグメントの未使用のプライベートIPアドレスを割り当てる。共用リバースプロキシ,コンテナサーバのIPアドレス割当表を表2に,コンテナサーバaで動作する仮想ブリッジセグメントaのIPアドレス割当表を表3に示す。 表2 共用リバースプロキシ,コンテナサーバのIPアドレス割当表(抜粋) 表3 仮想ブリッジセグメントaのIPアドレス割当表(抜粋) 共用リバースプロキシは,振り分け先であるWebAPコンテナが正常に稼働しているかどうかを確認するためにヘルスチェックを行う。ヘルスチェックの結果,正常なWebAPコンテナは振り分け先として利用され,異常があるWebAPコンテナは振り分け先から外される。振り分けルールの例を表4に示す。 表4 振り分けルールの例(抜粋) PCが,表4中のAP0と行う通信の例を次に示す。 (1) PCのWebブラウザは,http://ap0.u-sha.com/へのアクセスを開始する。 (2) PCはDNSを参照して,ap0.u-sha.comの接続先IPアドレスとして【オ】を取得する。 (3) PCは宛先IPアドレスが【オ】,宛先ポート番号が80番宛てへ通信を開始する。 (4) PCからのリクエストを受けた共用リバースプロキシは振り分けルールに従って振り分け先を決定する。 (5) 共用リバースプロキシは宛先IPアドレスが192.168.0.112,宛先ポート番号が【カ】番宛てへ通信を開始する。 (6) 仮想ルータは宛先IPアドレスが192.168.0.112,宛先ポート番号が【カ】番宛てへの通信について,⑤ポートフォワードの処理によって宛先IPアドレスと宛先ポート番号を変換する。 (7) WebAPコンテナAP0aはコンテンツ要求を受け付け,対応するコンテンツを応答する。 (8) 共用リバースプロキシはコンテンツ応答を受け,PCに対応するコンテンツを応答する。 (9) PCはコンテンツ応答を受ける。 WebAPコンテナであるAP0aとAP1aに対するPCからのHTTP接続要求パケットの例を図4に示す。 図4 AP0aとAP1aに対するPCからのHTTP接続要求パケットの例 〔コンテナ仮想化技術を利用した専用APの構成〕 Rさんは,専用APはTCP/IPを使った独自のプロトコルを利用するので,HTTP通信を利用するWebAPと比較して,通信の仕方に不明な点が多いと感じた。そこで,コンテナ仮想化技術を導入した際の懸念点について上司のO課長に相談した。次は,コンテナ仮想化技術を利用した専用AP(以下,専用APコンテナという)に関する,RさんとO課長の会話である。 Rさん:専用APですが,APサーバ上で動作する専用APと同じように,専用APコンテナとして動作させることができたとしても,⑥PCや共用DBサーバなどといった外部のホストとの通信の際に,仮想ルータのネットワーク機能を使用しても専用APが正常に動作することを確認する必要があると考えています。 O課長:そうですね。専用APはAPごとに通信の仕方が違う可能性があります。APサーバと専用APコンテナの構成の違いによる影響を受けないことを確認する必要がありますね。それと,⑦同じポート番号を使用する専用APが幾つかあるので,これらの専用APに対応できる負荷分散機能をもつ製品が必要になります。 Rさん:分かりました。 Rさんは専用APで利用可能な負荷分散機能をもつ製品の調査をし,WebAPと併せて検討結果を取りまとめ,O課長に報告した。 Rさんが,サーバの台数を減らすなど運用改善のために検討したまとめを次に示す。 ・第一に,リソースの無駄が少ないことやアプリケーションプログラムの起動に要する時間を短くできる特長を生かすために,コンテナ仮想化技術の利用を進め,順次移行する。 ・第二に,コンテナ仮想化技術の利用が適さないAPについては,サーバ仮想化技術の利用を進め,順次移行する。 ・第三に,移行が完了したらAPサーバは廃止する。 〔監視の検討〕 次に,Rさんが考えた,監視サーバによる図3中の機器の監視方法を表5に示す。 表5 図3中の機器の監視方法(抜粋) 監視サーバは3種類の監視を行うことができる。ping監視は,監視サーバが監視対象の機器に対してICMPのエコー要求を送信し,一定時間以内に【キ】を受信するかどうかで,IPパケットの到達性があるかどうかを確認する。TCP接続監視では,監視サーバが監視対象の機器に対してSYNパケットを送信し,一定時間以内に【ク】パケットを受信するかどうかで,TCPで通信ができるかどうかを確認する。URL接続監視では,監視サーバが監視対象の機器に対してHTTP【ケ】メソッドでリソースを要求し,一定時間以内にリソースを取得できるかどうかでHTTPサーバが正常稼働しているかどうかを確認する。ping監視でWebAPコンテナの稼働状態を監視することはできない。⑧表5のように複数の監視を組み合わせることによって,監視サーバによる障害検知時に,監視対象の状態を推測することができる。 〔移行手順の検討〕 Rさんは,コンテナ仮想化技術を利用したWebAPの移行手順を検討した。 2台のAPサーバで構成するAP0を,WebAPコンテナ(AP0a)とWebAPコンテナ(AP0b)へ移行することを例として,WebAPの移行途中の構成を図5に,WebAPの移行手順を表6に示す。 図5 WebAPの移行途中の構成(抜粋) 表6 WebAPの移行手順 Rさんは表6のWebAPの移行手順をO課長に報告した。次は,WebAPの移行手順に関する,O課長とRさんの会話である。 O課長:今回の移行はAPサーバとWebAPコンテナを並行稼働させてDNSレコードの書換えによって切り替えるのだね。 Rさん:そうです。同じ動作をするので,DNSレコードの書換えが反映されるまでの並行稼働期間中,APサーバとWebAPコンテナ,どちらにアクセスが行われても問題ありません。 O課長:分かりました。並行稼働期間を短くするためにDNS切替えの事前準備は何があるかな。 Rさん:はい。⑪あらかじめ,DNSのTTLを短くしておく方が良いですね。 O課長:そうですね。移行手順に記載をお願いします。 Rさん:分かりました。 O課長:動作確認はどのようなことを行うか詳しく教えてください。 Rさん:はい。WebAPコンテナ2台で構成する場合は,⑫次の3パターンそれぞれでAPの動作確認を行います。一つ目は,全てのWebAPコンテナが正常に動作している場合,二つ目は,2台のうち1台目だけWebAPコンテナが停止している場合,最後は,2台目だけWebAPコンテナが停止している場合です。また,障害検知の結果から,正しく監視登録されたことの確認も行います。 O課長:分かりました。良さそうですね。 APを,仮想化技術を利用したコンテナサーバやホストサーバに移行することによって期待どおりにサーバの台数を減らせる目途が立ち,システム開発部では仮想化技術の導入プロジェクトを開始した。 設問1 〔サーバ仮想化技術を利用したAPの構成〕について,(1)~(3)に答えよ。 (1) 本文中の【ア】~【エ】に入れる適切な字句又は数値を答えよ。 (2) 本文中の下線①について,2台のAP仮想サーバを同じホストサーバに収容した場合に起きる問題を可用性確保の観点から40字以内で述べよ。 (3) 本文中の下線②について,マスタが停止したとバックアップが判定する条件を50字以内で述べよ。 設問2 〔コンテナ仮想化技術を利用したWebAPの構成〕について,(1)~(4)に答えよ。 (1) 本文中の下線③について,複数ある全ての仮想ブリッジセグメントで同じIPアドレスを利用して問題ない理由を40字以内で述べよ。 (2) 本文中の下線④について,共用リバースプロキシはどのヘッダフィールド情報からWebAPを識別するか。15字以内で答えよ。 (3) 本文中の【オ】に入れる適切なIPアドレス,及び【カ】に入れる適切なポート番号を答えよ。 (4) 本文中の下線⑤について,変換後の宛先IPアドレスと宛先ポート番号を答えよ。 設問3 〔コンテナ仮想化技術を利用した専用APの構成〕について,(1),(2)に答えよ。 (1) 本文中の下線⑥について,専用APごとに確認が必要な仮想ルータのネットワーク機能を二つ答えよ。 (2) 本文中の下線⑦について,どのような仕組みが必要か。40字以内で答えよ。 設問4 〔監視の検討〕について,(1)~(3)に答えよ。 (1) 本文中の【キ】~【ケ】に入れる適切な字句を答えよ。 (2) 本文中の下線⑧について,表5中の項番2,項番4,項番7で障害検知し,それ以外は正常の場合,どこに障害が発生していると考えられるか。表5中の字句を用いて障害箇所を答えよ。 (3) 本文中の下線⑧について,表5中の項番4,項番7で障害検知し,それ以外は正常の場合,どこに障害が発生していると考えられるか。表5中の字句を用いて障害箇所を答えよ。 設問5 〔移行手順の検討〕について,(1)~(4)に答えよ。 (1) 表6中の下線⑨について,WebAPコンテナで動作するAPの動作確認を行うために必要になる,テスト用のPCの設定内容を,DNS切替えに着目して40字以内で述べよ。 (2) 表6中の下線⑩について,APサーバ停止前に確認する内容を40字以内で述べよ。 (3) 本文中の下線⑪について,TTLを短くすることによって何がどのように変化するか。40字以内で述べよ。 (4) 本文中の下線⑫について,3パターンそれぞれでAPの動作確認を行う目的を二つ挙げ,それぞれ35字以内で述べよ。
図1 現在のU社ネットワーク構成(抜粋)。インターネットにルータ、FWを介して接続するU社の構成図。DMZにコンテンツDNSサーバ、キャッシュDNSサーバ、プロキシサーバとL2SW、PCセグメントにL3SW・L2SW・PC、サーバセグメントにL2SW、監視サーバ、共用DBサーバ、APサーバがある。略語の説明と冗長構成を省略している旨の注記付き。
図1 現在のU社ネットワーク構成(抜粋)。インターネットにルータ、FWを介して接続するU社の構成図。DMZにコンテンツDNSサーバ、キャッシュDNSサーバ、プロキシサーバとL2SW、PCセグメントにL3SW・L2SW・PC、サーバセグメントにL2SW、監視サーバ、共用DBサーバ、APサーバがある。略語の説明と冗長構成を省略している旨の注記付き。
図2 サーバ仮想化技術を利用したAPの構成。サーバセグメント内で共用DBサーバがL2SWに接続し、ホストサーバa・bがNICでL2SWに接続する構成図。各ホストサーバ内の仮想SWに、仮想NICをもつAP仮想サーバ(AP0a、AP1a、AP0b、AP1b)が接続する。用語説明とAP仮想サーバ名の付け方の注記付き。
図2 サーバ仮想化技術を利用したAPの構成。サーバセグメント内で共用DBサーバがL2SWに接続し、ホストサーバa・bがNICでL2SWに接続する構成図。各ホストサーバ内の仮想SWに、仮想NICをもつAP仮想サーバ(AP0a、AP1a、AP0b、AP1b)が接続する。用語説明とAP仮想サーバ名の付け方の注記付き。
表1 AP0のIPアドレス割当表。AP0のIPアドレス割当表。AP0aとAP0bのVRRP仮想ルータに192.168.0.16/22、AP0aの仮想NICに192.168.0.17/22、AP0bの仮想NICに192.168.0.18/22を割り当てる。
表1 AP0のIPアドレス割当表。AP0のIPアドレス割当表。AP0aとAP0bのVRRP仮想ルータに192.168.0.16/22、AP0aの仮想NICに192.168.0.17/22、AP0bの仮想NICに192.168.0.18/22を割り当てる。
図3 WebAPコンテナの構成。サーバセグメントのL2SWに共用リバースプロキシ、共用DBサーバ、コンテナサーバa・bのNICが接続する構成図。各コンテナサーバ内は仮想ルータの配下に仮想ブリッジセグメントがあり、仮想ブリッジに仮想NICでWebAPコンテナ(AP0a、AP1a、AP0b、AP1b)が接続する。冗長構成省略とコンテナ名の付け方の注記付き。
図3 WebAPコンテナの構成。サーバセグメントのL2SWに共用リバースプロキシ、共用DBサーバ、コンテナサーバa・bのNICが接続する構成図。各コンテナサーバ内は仮想ルータの配下に仮想ブリッジセグメントがあり、仮想ブリッジに仮想NICでWebAPコンテナ(AP0a、AP1a、AP0b、AP1b)が接続する。冗長構成省略とコンテナ名の付け方の注記付き。
表2 共用リバースプロキシ,コンテナサーバのIPアドレス割当表(抜粋)。IPアドレス割当表。共用リバースプロキシに192.168.0.98/22、コンテナサーバaに192.168.0.112/22、コンテナサーバbに192.168.0.113/22を割り当てる。
表2 共用リバースプロキシ,コンテナサーバのIPアドレス割当表(抜粋)。IPアドレス割当表。共用リバースプロキシに192.168.0.98/22、コンテナサーバaに192.168.0.112/22、コンテナサーバbに192.168.0.113/22を割り当てる。
表3 仮想ブリッジセグメントaのIPアドレス割当表(抜粋)。仮想ブリッジセグメントaのIPアドレス割当表。仮想ルータに172.16.0.1/24、WebAPコンテナ(AP0a)に172.16.0.16/24、WebAPコンテナ(AP1a)に172.16.0.17/24を割り当てる。
表3 仮想ブリッジセグメントaのIPアドレス割当表(抜粋)。仮想ブリッジセグメントaのIPアドレス割当表。仮想ルータに172.16.0.1/24、WebAPコンテナ(AP0a)に172.16.0.16/24、WebAPコンテナ(AP1a)に172.16.0.17/24を割り当てる。
表4 振り分けルールの例(抜粋)。共用リバースプロキシの振り分けルール例。AP0(ap0.u-sha.com)はAP0aを192.168.0.112:8000、AP0bを192.168.0.113:8000へ、AP1(ap1.u-sha.com)はAP1aを192.168.0.112:8001、AP1bを192.168.0.113:8001へ振り分ける。FQDNの列見出しは設問のため省略されている。
表4 振り分けルールの例(抜粋)。共用リバースプロキシの振り分けルール例。AP0(ap0.u-sha.com)はAP0aを192.168.0.112:8000、AP0bを192.168.0.113:8000へ、AP1(ap1.u-sha.com)はAP1aを192.168.0.112:8001、AP1bを192.168.0.113:8001へ振り分ける。FQDNの列見出しは設問のため省略されている。
図4 AP0aとAP1aに対するPCからのHTTP接続要求パケットの例。PCから共用リバースプロキシ、仮想ルータを経てWebAPコンテナAP0a・AP1aへ至る通信経路図と、区間(i)(ii)(iii)で確認できるHTTP接続要求パケットの送信元・宛先IPアドレスとポート番号の表。(i)は宛先192.168.0.98:80、(ii)は192.168.0.112:8000/8001、(iii)は172.16.0.16/17:80。
図4 AP0aとAP1aに対するPCからのHTTP接続要求パケットの例。PCから共用リバースプロキシ、仮想ルータを経てWebAPコンテナAP0a・AP1aへ至る通信経路図と、区間(i)(ii)(iii)で確認できるHTTP接続要求パケットの送信元・宛先IPアドレスとポート番号の表。(i)は宛先192.168.0.98:80、(ii)は192.168.0.112:8000/8001、(iii)は172.16.0.16/17:80。
表5 図3中の機器の監視方法(抜粋)。項番1~8の監視方法の表。ping監視(共用リバースプロキシ、コンテナサーバa・b)、TCP接続監視(WebAPコンテナAP0a・AP0bのポート8000)、URL接続監視(共用リバースプロキシのap0.u-sha.com、AP0a・AP0bのindex.html)と各設定値。
表5 図3中の機器の監視方法(抜粋)。項番1~8の監視方法の表。ping監視(共用リバースプロキシ、コンテナサーバa・b)、TCP接続監視(WebAPコンテナAP0a・AP0bのポート8000)、URL接続監視(共用リバースプロキシのap0.u-sha.com、AP0a・AP0bのindex.html)と各設定値。
図5 WebAPの移行途中の構成(抜粋)。L2SWに共用リバースプロキシ、共用DBサーバ、APサーバ2台、コンテナサーバa・bが接続する移行途中の構成図。各コンテナサーバ内はNIC、仮想ルータ、仮想ブリッジ、仮想NICを経てWebAPコンテナAP0a・AP0bが動作する。
図5 WebAPの移行途中の構成(抜粋)。L2SWに共用リバースプロキシ、共用DBサーバ、APサーバ2台、コンテナサーバa・bが接続する移行途中の構成図。各コンテナサーバ内はNIC、仮想ルータ、仮想ブリッジ、仮想NICを経てWebAPコンテナAP0a・AP0bが動作する。
表6 WebAPの移行手順。項番1~7の移行手順の表。WebAPコンテナの構築、共用リバースプロキシの設定、WebAPコンテナ監視登録、テスト用PCでの動作確認(下線⑨)、DNS切替え、APサーバ監視削除、停止して問題ないことの確認後のAPサーバ停止(下線⑩)。
表6 WebAPの移行手順。項番1~7の移行手順の表。WebAPコンテナの構築、共用リバースプロキシの設定、WebAPコンテナ監視登録、テスト用PCでの動作確認(下線⑨)、DNS切替え、APサーバ監視削除、停止して問題ないことの確認後のAPサーバ停止(下線⑩)。
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条件が適用される範囲を確かめる

この分野の検討では、ある条件がどの範囲に当てはまるかを意識することが大切です。対象全体に共通する条件と、特定の場面だけの条件を分け、判断に使う前提を広げ過ぎていないか確認しましょう。

この問題で問われていること

問われている内容を考えるときは、根拠にする条件の適用範囲に注目しましょう。一部について示された情報を全体の性質として扱っていないか、同じ条件が別の場面にも当てはまると決めつけていないかを確かめます。

視点

条件と、その条件が有効だと示されている範囲を対応づけて整理します。範囲が明確な部分と、自分の推測で補っている部分を区別すると、前提の扱いを点検しやすくなります。

確認ポイント

  • 条件が当てはまる範囲を確認したか
  • 一部の条件を全体に広げていないか
  • 示された範囲と推測した範囲を区別したか
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解説

物理APサーバの集約を題材に、VRRPによる可用性確保、コンテナへの通信、専用APの識別、監視結果による障害箇所の推定、DNSを用いた移行を学ぶ問題です。設問2(1)は公式解答例の記述を示し、図4との不整合を区別して扱います。

問題の全体像

U社は事業拡大で増えた物理APサーバを集約するため、サーバ仮想化とコンテナ仮想化の導入を検討しています。コンテナに適したAPから移行し、適さないAPにはサーバ仮想化を利用する方針です。公式の出題趣旨では、ネットワーク構成に着目した可用性確保、監視方法、APの移行方法と課題を問うとしています。図表から通信経路や監視対象を読み取り、構築・設定・切替えが正しく行われたことをどう確認するかが中心となります。

設問1(ア)

空欄の直前にある「サーバ仮想化を実現するためのソフトウェア」に着目します。物理的なホストサーバ上で複数の仮想サーバを動作させるソフトウェアを問う空欄であり、公式解答例では「ハイパーバイザ」としています。

設問1(イ)

本文では、一つのサーバセグメントで複数のAPがVRRPを利用するため、APごとに異なる識別子を割り当てています。公式解答例では、その識別子を「VRID」としています。APごとのVRRP仮想ルータを区別する識別子として捉えます。

設問1(ウ)

空欄は、VRRPの規格で構成できる仮想ルータの最大組数を問うものです。直前のVRIDと対応させて読み、公式解答例の「255」を答えます。AP仮想サーバの台数ではなく、仮想ルータの組数である点に注意します。

設問1(エ)

本文では、APのFQDNとVRRPの仮想IPアドレスをDNSで紐付けています。表1の仮想IPアドレスはIPv4アドレスなので、公式解答例では「A」レコードとしています。AP仮想サーバ個別のIPアドレスではなく、接続先となる仮想IPアドレスを登録する点を押さえます。

設問1(2)

図2では、同じAPを構成するAP0aとAP0bが異なるホストサーバに収容されています。同じホストサーバに収容すると、そのホストの停止が両方に及び、冗長構成でもAPを継続できません。公式解答例の要点はホスト停止による2台の同時停止です。40字以内では「ホストサーバが停止すると、AP仮想サーバが2台とも停止する。」とまとめられます。

設問1(3)

下線②は、バックアップがマスタの停止を何によって判断するかを問うています。公式解答例では、バックアップがVRRPアドバタイズメントを決められた時間内に受信しなくなることを条件としています。50字以内では「バックアップが一定時間内にVRRPアドバタイズメントを受信しないこと。」と表せます。採点講評でも、この設問の正答率が低く、VRRPの動作原理の理解を求めています。

設問2(1)

下線③は、全ての仮想ブリッジセグメントで同じIPアドレスを利用して問題ない理由を問うています。公式解答例では「外部ではコンテナサーバに付与したIPアドレスが利用されることはないから」と示しており、この記述が40字以内の答案で押さえる内容です。ただし、図4(ii)ではコンテナサーバaのIPアドレス192.168.0.112が外部の共用リバースプロキシからの通信先に使われており、公式解答例の文言と整合しません。添付資料だけではこの不整合を解消できないため、解答例の文言を独自に修正したり、別の構成説明を正答の要点として扱ったりはできません。

設問2(2)

表4では、ap0.u-sha.comとap1.u-sha.comというAPごとの名前に応じて振り分け先が設定されています。共用リバースプロキシはHTTPリクエストのHostヘッダにあるホスト名からAPを識別します。公式解答例の「ホストヘッダフィールド」は15字以内です。採点講評でも、このヘッダを用いたAP識別について理解を深めるよう求めています。

設問2(オ)

通信手順(3)では、PCがDNSで得たIPアドレスの80番ポートへ接続し、手順(4)では共用リバースプロキシがそのリクエストを受けています。したがって接続先は共用リバースプロキシです。表2と図4(i)にある192.168.0.98を読み取り、公式解答例と同じ「192.168.0.98」を答えます。

設問2(カ)

手順(5)の宛先IPアドレス192.168.0.112はコンテナサーバaです。表4のAP0aの振り分け先は192.168.0.112:8000なので、公式解答例では「8000」としています。PCが共用リバースプロキシへ接続する80番と、リバースプロキシが振り分け先へ接続する8000番を区別します。

設問2(4)

手順(6)の変換前の宛先は192.168.0.112:8000です。図4(ii)と(iii)を比較すると、ポートフォワード後はAP0aの172.16.0.16:80に変わっています。公式解答例どおり、宛先IPアドレスは「172.16.0.16」、宛先ポート番号は「80」と答えます。表3でも172.16.0.16がAP0aに割り当てられていることを確認できます。

設問3(1)①

下線⑥では、仮想ルータのネットワーク機能を使っても専用APが正常に動作するかを確認する必要があると述べています。WebAPの構成説明で、外部ホストとの通信に使用する機能として挙げられているものの一つがNAPTです。公式解答例の一つ目は「NAPT機能」であり、アドレスやポート番号の変換による影響を確認する対象として整理します。

設問3(1)②

WebAPの構成説明には、NAPTと併せてTCPやUDPのポートフォワード機能が明記されています。図4でも、外部からの接続先をコンテナのIPアドレスとポート番号へ変換しています。公式解答例の二つ目は「ポートフォワード機能」であり、専用APでもこの機能を利用した通信が正常に行えるかを確認します。

設問3(2)

下線⑦の条件は、同じポート番号を使用する専用APが複数あることです。公式解答例では、複数のIPアドレスを設定し、IPアドレスごとに専用APを識別する仕組みを求めています。40字以内では「複数のIPアドレスを設定し、IPアドレスごとに専用APを識別する仕組み」とまとめます。

設問4(キ)

本文では、ping監視でICMPのエコー要求を送信し、その応答を一定時間内に受信するかを確認しています。公式解答例は「エコー応答」です。この監視で確認するのはIPパケットの到達性であり、本文にあるとおり、WebAPコンテナの稼働状態はping監視では確認できません。

設問4(ク)

TCP接続監視では、監視対象にSYNパケットを送信しています。接続要求を受け付けた相手から返る応答に着目し、公式解答例の「SYN/ACK」を答えます。TCPで接続できることと、HTTPのリソースを正常に取得できることは別の確認事項です。

設問4(ケ)

URL接続監視は、HTTPでリソースを要求し、一定時間内に取得できるかを調べる監視です。表5ではindex.htmlの取得先が設定されています。公式解答例は、リソース取得に用いる「GET」メソッドです。

設問4(2)

表5の項番2はコンテナサーバaのping監視、項番4と7はAP0aのTCP接続監視とURL接続監視です。コンテナサーバaへの到達性が失われると、そのサーバ上のAP0aへの接続監視も失敗すると考えられます。公式解答例は、表5の字句を用いた「コンテナサーバa」です。

設問4(3)

項番4と7はAP0aへのTCP接続監視とURL接続監視です。一方、項番2のコンテナサーバaへのping監視は正常なので、サーバへのIPパケットの到達性は確認できています。公式解答例では、この組合せから障害箇所を「WebAPコンテナ(AP0a)」としています。項番6が正常なのは、共用リバースプロキシが正常なAP0bを振り分け先として利用できる構成と対応します。

設問5(1)

表6では、動作確認が項番4、DNS切替えが項番5なので、確認時点のDNSはまだ移行先を指していません。公式解答例では、テスト用PCのhostsファイルにAPのFQDNとIPアドレスを記載します。この構成では共用リバースプロキシの192.168.0.98へ名前を対応させます。40字以内の要点は「APのFQDNとIPアドレスをPCのhostsファイルに記載する。」です。

設問5(2)

本文では、DNSレコードの書換えが反映されるまで旧APサーバとWebAPコンテナを並行稼働させるとしています。したがって、DNSを書き換えたことだけでは旧APサーバを停止できません。公式解答例の要点は旧APサーバへのPCからのアクセスがなくなったことです。40字以内では「APサーバに対するPCからのアクセスがなくなったことを確認する。」とまとめます。

設問5(3)

下線⑪は、DNS切替え後の並行稼働期間を短くするための事前準備です。公式解答例では、TTLを短くするとキャッシュDNSサーバがDNSキャッシュを保持する時間が短くなるとしています。40字以内の要点は「キャッシュDNSサーバがDNSキャッシュを保持する時間が短くなる。」です。

設問5(4)①

表6の項番1はWebAPコンテナの構築です。両方が正常な場合に加え、AP0aだけ、AP0bだけが動作する場合を確認することで、それぞれのコンテナでAPが動作することを確かめます。公式解答例の一つ目の目的は、2台が正しく構築されたことの確認です。35字以内では「WebAPコンテナ2台が正しく構築されたことを確認するため」と表せます。採点講評では、リバースプロキシの動作確認だけに着目した解答が見られたと指摘しています。

設問5(4)②

表6の項番2は共用リバースプロキシの振り分けルール設定です。3パターンでAPへアクセスし、正常なコンテナを使って動作することを確認することで、設定作業の結果を検証します。公式解答例の二つ目の目的は、共用リバースプロキシの設定が正しく行われたことの確認です。35字以内では「共用リバースプロキシの設定が正しく行われたことを確認するため」と表せます。採点講評では、移行手順に記載された作業が正しく行われたことを確認するという観点を求めています。

学習のポイント

VRRPの停止判定、HostヘッダによるAP識別、監視対象の切分け、移行作業を検証する目的を重点的に学習します。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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