NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
令和4年度春期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題






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検討する前提の範囲をそろえる
認証と周辺設定を検討するときは、判断の前提がどの範囲に当てはまるかに注目しましょう。与えられた情報の適用範囲を整理し、自分の経験から補った条件を混ぜずに考えることが、理解を深める手掛かりになります。
この問題で問われていること
考える際は、ある前提を全体に当てはめてよいのか、限られた範囲の条件として扱うべきなのかを意識してください。判断に使う情報の範囲をそろえ、明示された条件と自分で置いた仮定を区別して整理しましょう。
視点
前提の適用範囲を広げると、同じ情報でも受け取り方が変わることがあります。まずは、どこまでが与えられた条件の範囲かを意識し、その範囲を保って考えましょう。
確認ポイント
- 判断に使う前提は、どの範囲に当てはまるか。
- 限られた範囲の条件を、全体へ広げていないか。
- 自分で補った仮定によって、前提の範囲が変わっていないか。
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解説
既存LANへのSSO導入を題材に、プロキシ例外設定、DHCP配布情報、FWの許可ルール、ケルベロス認証のチケットと暗号化、時刻同期、SRVレコードによるサービス発見と負荷分散を関連付けて理解する問題です。
問題の全体像
Y社では、利用するシステムの増加によってパスワードの使い回しとアカウント管理の負担が増え、DSによる情報の一元管理とケルベロス認証によるSSOを導入します。出題趣旨では、既設LANの設定に基づく動作、ケルベロス認証の仕組み、DNSのSRVレコードの利用方法への理解が問われています。設問1は既存の通信環境、設問2は認証手順、設問3は認証サーバの発見と負荷分散を扱います。
設問1(1)
本文(iii)では、PCにプロキシサーバのFQDNが登録されている一方、業務サーバと営業支援サーバには直接アクセスするとされています。この二つの宛先をプロキシ利用の例外にする設定が必要です。公式解答例では、両サーバのFQDNをプロキシ例外リストに登録します。40字以内の答案では「業務・営業支援サーバのFQDNをプロキシ例外リストに登録する。」と要素をまとめられます。採点講評でも、プロキシを経由させない宛先の情報を例外リストに登録する点が指摘されています。
設問1(2)①
本文(iii)のプロキシサーバはFQDNで指定され、(iv)ではPCが社内DNSサーバで名前解決すると明記されています。PCが名前解決要求を送るには、そのDNSサーバのIPアドレスが必要です。公式解答例の一つ目は「社内DNSサーバのIPアドレス」です。採点講評では、この情報の正答率が低く、DHCPでPCが使用するローカルDNSサーバのIPアドレスを配布する一般的な運用を理解してほしいとされています。
設問1(2)②
図1では、PCセグメントとサーバセグメント、DMZが分かれています。PCが別のネットワークにあるサーバへアクセスするには、通信を中継する出口の情報が必要です。公式解答例の二つ目は「デフォルトゲートウェイのIPアドレス」です。DNSサーバの情報が宛先名をIPアドレスに変換するための設定であるのに対し、こちらはPCの属するネットワーク外へパケットを送るための設定です。
設問1(3)(ア)
表1のアは、インターネットからのDNS通信の宛先、DMZからインターネットへのDNS通信の送信元、社内DNSサーバからの問合せ先として共通して使われます。本文(ii)で、DMZのゾーン情報の管理とフルサービスリゾルバの機能をもつのは外部DNSサーバです。したがって、公式解答例では「外部DNSサーバ」となります。社外から再帰問合せを受け付けない設定でも、管理するゾーンへの問合せに対応するDNS通信は必要です。
設問1(3)(ウ)
表1の項番2は、インターネットからDMZへのTCP/443の通信です。図1のDMZにある機器のうち、社外からHTTPSで利用される宛先に対応するのは公開Webサーバです。公式解答例では「公開Webサーバ」となります。プロキシサーバへの内部LANからの接続は、項番6・7でTCP/8080として別に示されていることも判断の手掛かりになります。
設問1(3)(エ)
表1の項番4は、DMZからインターネットへのTCP/80とTCP/443の通信です。本文(v)では、マルウェア定義ファイルの更新をプロキシサーバ経由で行うとされています。内部の機器から受け取った要求を基に、インターネット上の宛先へHTTPやHTTPSで接続する送信元はプロキシサーバです。公式解答例では「プロキシサーバ」となります。
設問1(3)(オ)
オは、プロキシサーバからインターネットへのHTTP・HTTPS通信の宛先です。本文では接続先が特定の外部サーバに限定されていないため、表1の字句で宛先を表すと「any」になります。公式解答例も「any」です。送信元をプロキシサーバに限定した上で、そのサーバがインターネット上の宛先へ接続できるルールとして読み取ります。
設問1(3)(カ)
本文(i)では、社内DNSサーバが内部LAN以外のホストの名前解決要求を外部DNSサーバに転送します。また、(iv)ではPCの問合せ先は社内DNSサーバです。したがって、内部LANからDMZの外部DNSサーバへDNS要求を送る項番5の送信元は、公式解答例のとおり「社内DNSサーバ」です。PCから外部DNSサーバへ直接問い合わせる構成ではなく、本文に示された転送経路を追うことがポイントです。
設問1(4)
表1のイは、DNS通信を許可するルールでTCP/53と並んで記載されています。DNSではUDPのポート53も使用するため、公式解答例は「UDP/53」です。本文(ii)の送信元ポート番号のランダム化は、問合せを送る側のポートに関する設定であり、DNSサービスの宛先ポート53とは区別します。表1の注記にあるステートフルパケットインスペクションによって、許可した要求に対応する応答も扱われます。
設問2(1)
本文では、②のTGTはPCの鍵で暗号化され、⑥で払い出されるSTを含む情報全体もPCの鍵で暗号化されます。攻撃者は盗聴で暗号化データを得ても、PCの鍵がなければ復号できず、⑦で提示すべきSTを取り出せません。公式解答例は「STを取り出せないから」で、15字以内に収まります。採点講評でも、暗号化に用いた共通鍵をもたなければSTを取り出せないことを導き出す点が求められています。
設問2(2)
図2でKDCとPCの間の通信を選びます。①は認証要求、②はTGTの払い出し、⑤はSTの発行要求、⑥はSTの払い出しであり、ケルベロス認証サービスのポート88を使います。公式解答例は「①、②、⑤、⑥」です。③・④・⑦・⑧はPCと営業支援サーバ間のHTTP要求・応答です。⑦でケルベロス認証のチケットを提示していても、その通信先はKDCではなく営業支援サーバである点に注意します。
設問2(3)
下線(c)では、期限内のSTでもサーバが使用不可と判断する可能性が示されています。PCとサーバの時計がずれていると、同じ有効期限に対して異なる判断をするため、双方の時刻をそろえる必要があります。公式解答例は「PCとサーバ間で時刻同期を行う。」で、20字以内に収まります。答案では、対応する機器と時刻同期という対策を明確にします。
設問3(1)
本文では、SRVレコードを利用すると、サービス名からそのサービスが稼働するホスト名などを取得できると説明されています。図4のTargetには、ケルベロス認証を行うDS1とDS2のFQDNが記載されています。SRVレコードを利用しない場合は、認証先をPCに設定する必要があるため、公式解答例は「ケルベロス認証を行うサーバのFQDN」です。25字以内の答案では、このサーバの役割とFQDNを押さえます。
設問3(2)
図4のTTLは43200です。TTLはDNSレコードをキャッシュに保持できる時間を秒単位で示すので、設問が求める分に換算します。43200÷60=720となり、公式解答例は「720」、単位を付けると720分です。Priorityの120やPortの88ではなく、キャッシュの保持時間を表すTTL欄を読むことがポイントです。
設問3(3)
図4では両レコードのPriorityが120で等しく、WeightがDS1は2、DS2は1なので、使用比率は2対1です。図5ではTargetが共通のホスト名DSになるため、本問ではDSに対応するAレコードの記述数でこの比率を表します。公式解答例では、add1のAレコードを二つ、add2のAレコードを一つ記述します。50字以内なら「ホスト名DSにadd1のAレコードを二つ、add2のAレコードを一つ記述する。」とまとめられます。採点講評でも、2対1という条件を読み取り、共通のホスト名DSに対する設定を導く点が指摘されています。
学習のポイント
本文の利用条件から通信経路を追い、チケットの暗号化に使う鍵と、SRVレコードのTTL・Priority・Weightの役割を整理しましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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