NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
令和元年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題








解き方のヒントを見る
判断の前提と適用範囲を確かめる
この分野の問題では、知っている用語から結論を急がず、与えられた条件がどの範囲に当てはまるかに注目しましょう。明示された前提と自分が補った前提を分けて整理すると、検討の出発点をそろえられます。
この問題で問われていること
検討する内容について、どこまでが与えられた条件の範囲なのかを確かめてください。一つの場面での理解を別の場面にもそのまま当てはめていないか、判断に使う前提の範囲を意識して考えましょう。
視点
前提の適用範囲とは、ある条件を判断の根拠として使える範囲のことです。条件が明示されている部分と、経験や記憶から補っている部分を分けて捉えましょう。
確認ポイント
- 与えられた条件の適用範囲を確認したか
- 明示されていない前提を付け足していないか
- 別の場面の前提をそのまま持ち込んでいないか
正解と解説を見る
解説
本問は、W社のネットワーク構成とFWルールを基に、DoS攻撃、サーバの不正利用、DNSキャッシュポイズニングへの対策を考える問題です。さらに、マルウェア侵入後の名前解決とプロキシ経由の通信を追い、認証やログ監視による対策を説明します。
問題の全体像
W社は、DMZに公開サーバやFPサーバを置き、内部LANに業務サーバとNPCを配置しています。FW、URLフィルタリング、マルウェア対策ソフトを導入済みですが、SYNフラッド攻撃やDNSの不正利用、侵入後のマルウェア活動への対策を見直します。出題趣旨では、攻撃手法とログ監視を理解し、安全なネットワークの設計・運用に結び付ける能力を問うとしています。各設問では、技術の知識を図表の通信経路と許可条件に当てはめることが重要です。
設問1(a)
空欄の直後が「スキャンとポートスキャン」なので、ポートを調べる前にホストの存在を探索する操作に着目します。公式解答例では「ホスト」又は「アドレス」です。採点講評でも、ポートスキャンの前に実施されることが多い、ホストの存在を探索する基本的な攻撃として説明されています。
設問1(b)
クローズされたUDPポートにパケットを送ったとき、送信元へ返される通知を問うています。本文の「RFC 792」と到達不能を通知する動作に着目すると、公式解答例の「ICMP」又は「ICMP Unreachable」になります。UDPの応答ではなく、ICMPによる通知である点を押さえます。
設問1(c)
図1でメール中継サーバのIPアドレスはα.β.γ.2です。表1から、インターネットを送信元とし、このアドレス宛てのTCP/25を許可する行を探すと項番3です。したがって、公式解答例では「3」です。許可されたサービスのポートであれば、SYNパケットもサーバに到達します。
設問1(d)
インターネット上のWebサイトへのアクセスはFPサーバ経由で行われるため、外部のWebサイトの名前解決を要求する機器としてFPサーバに着目します。公式解答例ではdは「FPサーバ」、eは「メール中継サーバ」で、両者は順不同です。内部の利用者に代わって外部へ接続する機器を考えることがポイントです。
設問1(e)
メール中継サーバは社外のメールサーバへメールを転送するので、配送先のメールサーバなどを名前解決する必要があります。公式解答例ではeは「メール中継サーバ」です。dの「FPサーバ」と順不同であり、この二つがインターネット上のホストに関する再帰的な名前解決を必要とする機器です。
設問2(ア)
本文では、W社の外部DNSサーバがマスタで、R社DNSサーバがスレーブです。表1の項番2は、インターネットからマスタのα.β.γ.1宛てにTCP/53を許可しています。この通信を必要とするスレーブだけを送信元に指定するため、図1に示されたR社DNSサーバの「x.y.z.1」が公式解答例です。
設問2(通信名称)
マスタDNSサーバが管理するゾーン情報を、スレーブDNSサーバへ同期する通信に着目します。公式解答例では「ゾーン転送」です。表1の項番2はR社DNSサーバからのTCP/53を許可しており、不特定のホストからの通常の名前解決要求を許可する項番1と役割が異なります。
設問3(1)
送信元IPアドレスの偽装対策として、受信パケットの送信元をルーティングテーブルで確認する処理を説明します。公式解答例では、送信元IPアドレスがルーティングテーブルに存在しない場合にパケットを廃棄するとしています。70字以内の答案では「受信パケットの送信元IPアドレスへの経路がルーティングテーブルにない場合、パケットを廃棄する。」という粒度で、確認対象・判定条件・廃棄処理を押さえます。
設問3(2)
図1の注記に、DMZの公開サーバ用ネットワークがα.β.γ.0/28とあります。/28ではホスト部が4ビットなので、アドレス範囲は末尾0~15です。ホスト部を全て1にした末尾15がブロードキャストアドレスとなり、公式解答例は「α.β.γ.15」です。
設問4(1)(イ)
図3の手順②では、SYNパケットの情報などから計算したクッキーをTCPヘッダに設定して、SYN/ACKを返します。本文にもクッキーを「シーケンス番号に埋め込む」とあるため、公式解答例は「シーケンス」です。装置が状態をメモリに保持する代わりに、返送パケットの番号へ情報を組み込みます。
設問4(1)(ウ)
図3の手順③は、送信者から返されたACKのどの番号を検査するかを問うています。送信者は、受け取ったSYN/ACKのシーケンス番号に対応する確認応答番号を返します。したがって、公式解答例は「確認応答」です。ACKフラグと、TCPヘッダの確認応答番号を区別して理解します。
設問4(1)(エ)
TCPではSYNがシーケンス番号を一つ消費するため、SYN/ACKへの確認応答番号は、そのシーケンス番号に1を加えた値になります。図3ではクッキーをシーケンス番号に設定しているので、ACKの確認応答番号が再計算したクッキーに1を加えた値と一致するか確認します。公式解答例は「1」です。
設問4(2)
図2ではSYNを受信した段階で装置がメモリを確保しますが、図3ではACKを検証してから確保します。この確保時点の違いが、SYNクッキーのメモリ消費を抑える理由です。公式解答例に沿って、35字以内では「コネクション確立の準備段階でメモリ確保が不要だから。」とまとめられます。
設問4(3)
表1のインターネット→DMZの許可ルールには、FPサーバのα.β.γ.4宛ての接続がありません。項番8はFPサーバから外部への接続を許可するルールであり、外部から新しく接続する許可ではありません。公式解答例に沿い、40字以内では「FPサーバにインターネットからのコネクションを確立できないから。」という要素を示します。
設問4(4)
メール中継サーバはインターネットからTCP/25で接続できるので、FWだけでは不正中継を防げません。外部から受けたメールの宛先を確認し、W社宛て以外を中継しない設定が必要です。公式解答例に沿い、50字以内では「インターネットから受信した、W社のメールアドレス宛て以外のメールを中継しない。」とまとめます。採点講評でも不正中継の防止策の理解が求められています。
設問4(5)(オ)
表1の項番6は、外部DNSサーバからインターネットへの名前解決用通信を許可するルールです。分離後はフルリゾルバの役割をDNSサーバ2が担当するため、送信元をDNSサーバ2に割り当てたアドレスへ変更します。公式解答例は「α.β.γ.6」です。
設問4(5)(カ)
DNSサーバ2は、名前解決のためにインターネット上の各ドメインのDNSサーバへ問い合わせます。問い合わせ先を一つのIPアドレスに限定できないので、項番6の宛先は分離前と同じ「any」とします。公式解答例でも「any」であり、変更の中心は送信元をDNSサーバ2にすることです。
設問5(1)(キ)
表3の問合せは、フルリゾルバからコンテンツサーバへ送られています。その正当な応答の送信元は、問い合わせ先のコンテンツサーバになります。したがって、公式解答例は「コンテンツサーバのIPアドレス」です。偽の応答も、このアドレスを送信元として装う必要があります。
設問5(1)(ク)
応答は、問い合わせを行った機器へ返されます。表3では問合せの送信元がフルリゾルバなので、応答の宛先はそのフルリゾルバです。公式解答例は「フルリゾルバサーバのIPアドレス」です。問合せと応答でIPアドレスの送信元・宛先が入れ替わる関係を確認します。
設問5(1)(ケ)
表3の問合せはコンテンツサーバのUDP/53宛てに送信されています。そのDNSサービスから返る応答の送信元ポート番号も53です。公式解答例は「53」です。応答では、問合せの宛先ポート番号が送信元ポート番号になります。
設問5(1)(コ)
表3では、フルリゾルバが送信元ポート番号nを使って問い合わせています。応答を元の問い合わせに対応付けるには、そのポートへ返す必要があるので、応答の宛先ポート番号は「n」です。公式解答例も「n」であり、送信元ポート番号のランダム化は、この値の推測を難しくする対策です。
設問5(1)(サ)
DNSヘッダの識別子は、問合せと応答を対応付けるための値です。表3の問合せの識別子がmなので、正当な応答にも同じmが必要です。公式解答例は「m」です。IPアドレスやポート番号に加え、DNSの識別子の一致も確認することを押さえます。
設問5(2)
攻撃者は、正当な応答として受け入れられる組合せを当てるため、大量の偽応答を送ります。表3では、問い合わせ側が選ぶ送信元ポート番号nに対応する応答の宛先ポート番号と、識別子mが推測対象です。公式解答例は「宛先ポート番号、識別子」です。応答の送信元ポート番号53と取り違えないようにします。
設問5(3)
本文の攻撃手順(i)では、攻撃者が標的のフルリゾルバへ名前解決要求を送ることから攻撃が始まります。分離後、インターネットからの要求を許可する宛先はDNSサーバ1であり、DNSサーバ2への要求はFWで廃棄されます。公式解答例に沿い、60字以内では「攻撃者がDNSサーバ2へ送る、攻撃のための名前解決要求がFWで廃棄されるから。」とまとめます。本文に示された攻撃の開始条件が成立しないことが根拠です。
設問6(1)
外部WebサイトへのアクセスはFPサーバ経由で行われるため、fast-flux.example.comを名前解決するのはFPサーバです。図4のeはFPサーバ→DNSサーバ1又は2への名前解決要求、gはそのDNSサーバ→ns.example.comへの問合せ、hはns.example.com→そのDNSサーバへの応答、fはそのDNSサーバ→FPサーバへの応答です。したがって、公式解答例は「e、g、h、f」です。構成変更後はフルリゾルバのDNSサーバ2がこの名前解決を担います。a~dはNPCと内部DNSサーバを経由する別の経路なので、今回の順序には含めません。
設問6(2)
図4のDNS応答では、fast-flux.example.comのAレコードのTTLが180と示されています。TTLの単位は秒なので、180÷60=3分です。公式解答例は「3」です。DNSサーバ2がキャッシュする対象のAレコードを確認し、別のレコードのTTLと混同しないことが重要です。
設問6(3)
図5では、ホスト名「*」のAレコードに多数のボットのIPアドレスが設定されています。ワイルドカードによってホスト名を変えても名前解決できるため、固定のFQDNによる通信の特定を難しくできます。公式解答例に沿い、25字以内では「アクセス先のホスト名をランダムに変更する。」とまとめます。Fast FluxのIPアドレスの変化に、ホスト名の変化を組み合わせる点が要点です。
設問6(4)
本文では、FPサーバにプロキシ認証を導入し、NPCのブラウザにID・パスワードのキャッシュを残さない設定にしています。マルウェアが認証を通過できずに接続を繰り返すと、FPサーバのログに認証失敗が続けて記録されます。公式解答例に沿い、35字以内では「FPサーバでの認証エラーが短時間に繰り返されている。」と示します。認証エラーという内容と、短時間の反復という特徴を押さえます。
設問6(5)
FPサーバを経由しない場合、NPCは接続先FQDNのIPアドレスを自ら取得する必要があります。内部DNSサーバは外部の名前解決要求を転送しますが、表1の項番13の宛先α.β.γ.1は、分離後はコンテンツサーバのDNSサーバ1です。この経路ではC&Cサーバの名前を再帰的に解決できません。公式解答例に沿い、40字以内では「C&CサーバのIPアドレスが取得できず、宛先を設定できないから。」とまとめます。
学習のポイント
通信端点とFWルールの対応、TCPの確認応答、DNSの権威応答と再帰的な名前解決の違い、プロキシ認証のログを重点的に学習しましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和元年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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