NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
平成29年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題







解き方のヒントを見る
判断の前提と適用範囲をそろえる
検討するときは、各情報がどの前提条件の下で成り立つものなのかに注目しましょう。条件の異なる情報をそのまま結び付けず、同じ範囲の話として扱えるかを確かめることが、考えを整理する手掛かりになります。
この問題で問われていること
この問題では、与えられた情報の前提条件を、どこまで共通して扱えるかという一点に着目してください。明示された条件と自分で補った想定を区別し、適用範囲を広げて受け取っていないかを丁寧に確かめましょう。
視点
前提条件は、情報をどの範囲で扱うかを考えるための手掛かりです。ある条件の下で述べられた内容を、別の条件にも当てはまると考える前に、その読み方が与えられた情報に支えられているかを確認しましょう。
確認ポイント
- 情報が成り立つ前提条件を意識しているか
- 明示された条件に、自分の想定を加えていないか
- 条件の適用範囲を、根拠なく広げていないか
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解説
本問は、営業部のフリーアドレス化に伴う無線LAN導入を題材に、無線規格と暗号化・認証、APの配置と給電、証明書の配布・更新、営業員と来訪者のVLAN分離を一体として設計する力を問います。
問題の全体像
Y社は営業部の座席をフリーアドレス化して接客エリアを拡大し、来訪者にもインターネット接続を提供しようとしています。営業員にはWPA2とEAP-TLSによる認証、来訪者にはパーソナルモードによる接続を用い、両者をVLANで分離します。出題趣旨では、無線LAN導入に必要な技術面と運用面の課題について、設計・構築・運用の能力を実務で活用できるかを問うとしています。無線性能だけでなく、証明書の初回配布や更新、WLC障害時の影響まで読み取ることが重要です。
設問1(a)
表1では、802.11nに二つの周波数帯が示されています。公式解答例ではaは「2.4」です。単位のGHzは表に印刷されているので、空欄には数値を入れます。802.11nが2.4GHz帯と5GHz帯に対応することを押さえます。
設問1(b)
bは表1の802.11nと802.11acに共通する周波数帯です。公式解答例では「5」です。表を完成させると、802.11nは2.4GHz帯と5GHz帯、802.11acは5GHz帯を使用するという関係になります。
設問1(c)
表2の「SSIDが空白又は[c]での接続要求を拒否する機能」という説明に着目します。公式解答例では「any」です。「any接続拒否」という機能名と、接続先のSSIDを明示しない要求を拒否する説明を対応付けます。
設問1(d)
表3のWEPの説明は「RC4と呼ばれる暗号化アルゴリズムを使用した[d]鍵暗号方式」です。公式解答例では「共通」です。本文にもAPと複数の端末がWEPキーを共有するとあり、鍵を共有する共通鍵暗号方式と結び付けられます。
設問1(e)
表3では、AESとCCMPを使用するWPA2が準拠するIEEE規格を問うています。公式解答例では「802.11i」です。採点講評では、この空欄の正答率が低かったとし、IEEE 802.11iは幅広く利用されている無線LANのセキュリティ規格なので知っておいてほしいと述べています。
設問2(1)(f)
「1バイト単位の[f]暗号であるRC4」という記述に着目します。公式解答例では「ストリーム」です。RC4を用いるストリーム暗号と、後段で説明される一定サイズのブロック単位で処理するAESのブロック暗号を区別します。
設問2(1)(g)
WEPの不採用理由として、WEPキーが使用され続けることが挙げられています。公式解答例では「同一」です。APと端末が共有する同一のWEPキーを継続して使う点を、WPAの動的な鍵生成や通信途中のキーストリーム変更と対応させて読み取ります。
設問2(1)(h)
hは、本文で認証成功後のPMKの生成・配布を担うものとして説明され、後続の一時鍵の生成に関する記述にも現れます。公式解答例では「認証サーバ」です。本問の空欄は本文の説明に従って補い、IEEE 802.1Xによる認証と鍵生成に関わる主体を押さえます。
設問2(1)(i)
TKIPのフェーズ1で、一時鍵、IVとともに混合する無線LAN端末の情報を問うています。公式解答例では「MACアドレス」です。端末を識別するMACアドレスが鍵混合の材料に含まれるという対応を押さえます。
設問2(1)(j)
空欄の直後では、AP間を移動するタイミングでの認証が不要になり、ハンドオーバ時間が短縮されると説明されています。公式解答例では「認証」で、「事前認証」となります。移動前に認証を済ませることと、PMKを保持して再生成を省くことを分けて理解します。
設問2(2)
図2では、カウンタ値cをAESで暗号化した結果とm1をXORしてe1を生成しています。同じ値をもう一度XORすると元の値に戻るため、復号時もcをAESで暗号化し、その結果をe1とXORします。公式解答例もこの手順を示しています。40字以内では「カウンタ値cをAESで暗号化し、結果とe1をXORする。」とまとめられます。
設問3(1)周波数帯域幅
検討中のAPは最大80MHzの4チャネルボンディングに対応するという条件に着目します。本文の160MHz・アンテナ1本で約867Mビット/秒という基準から、80MHzではアンテナ1本当たり約433.5Mビット/秒となり、2本で約867Mビット/秒になります。公式解答例では周波数帯域幅は「80」で、単位を付けると80MHzです。
設問3(1)アンテナ本数
APの最大帯域幅は80MHzなので、160MHzを使ってアンテナ1本で約867Mビット/秒を得る構成は選べません。80MHzでアンテナ1本当たり約433.5Mビット/秒を得て、MIMOで2ストリームを同時伝送する構成を考えます。公式解答例では最低限必要なアンテナ本数は「2」です。
設問3(2)①
下線③では、認証後の端末通信がWLCを経由しないと明記されています。各APから有線LANへデータを転送するため、全端末の通信をWLCに集める方式と比べて、WLCへの通信負荷の集中を抑えられます。公式解答例の一つ目もこの点です。40字以内では「WLCに通信の負荷が集中するのを抑制できる。」とまとめられます。
設問3(2)②
認証後のデータ転送はAPが担当し、WLCを経由しません。このため、認証済み端末はWLCに障害が発生しても通信を継続できるという利点があります。公式解答例の二つ目もこの点です。40字以内では「認証後にWLCが故障しても、端末の通信を継続できる。」と書けます。ただし、AP間の移動に関する影響は設問5(5)で別に問われています。
設問3(3)
外来電波の調査は、APの電波伝搬状態の測定と合わせて行われます。着目すべき悪影響は、他の電波との干渉によって無線通信が妨げられることです。公式解答例では「電波干渉によって、通信障害が発生する。」としています。25字以内の答案では、原因の電波干渉と結果の通信障害を押さえます。
設問3(4)周波数帯のグループの数
図3の上下2段で隣り合う2列を見ると、四つのAPのセルが相互に重なる配置になっています。この四つに同じ周波数帯のグループを割り当てないためには、少なくとも4グループが必要です。離れたセルではグループを再利用できます。公式解答例では「4」です。
設問3(4)目的
セルの重なりがある場所では、端末が移動するときに接続先APを切り替えやすくなり、複数のAPを接続先の候補にできます。公式解答例では「ハンドオーバをスムーズに行わせるため」と「APの負荷分散を行わせるため」を挙げています。25字以内では、例えば「ハンドオーバをスムーズに行わせるため」と、一つの目的を簡潔に示します。
設問3(5)呼称
本文では、最大18Wを消費するAPに対してIEEE 802.3afでは供給電力が不足し、IEEE 802.3at対応のL2SWを導入するとしています。公式解答例では、そのPoE機能の呼称は「PoE+」です。採点講評では、この呼称の正答率が低かったとし、技術者間の会話でも使われる用語として知っておいてほしいと述べています。
設問3(5)最小供給電力
オフィスエリアのAP8台と接客エリアのAP4台を、1台のL2SWから給電するという条件を使います。APは合計12台で、1台の最大消費電力は18Wなので、18×12=216Wです。公式解答例では最小供給電力を「216」としています。1ポートの給電能力と、スイッチ全体に必要な給電電力を区別します。
設問4(1)①
EAP-TLSでは、NPCが認証サーバの証明書を検証するための情報も必要です。本問ではRADIUSサーバのCA機能で証明書を発行するため、そのCAを信頼するための証明書をNPCに配布します。公式解答例では「CAの自己証明書」です。この表現で15字以内に収まります。
設問4(1)②
NPCがクライアント証明書を使って認証を受けるには、その証明書に対応する秘密鍵が必要です。証明書だけを受け取っても、対応する秘密鍵を用いた認証処理はできません。公式解答例では「クライアントの秘密鍵」です。採点講評でも、証明書による認証の仕組みと認証時に必要な情報を理解するよう求めています。
設問4(2)
認証エラー時の特別なVLANにダウンロードサーバを置くと、正規のクライアント証明書を持たない端末からもサーバへ接続できます。そこでダウンロードサーバの利用者IDとパスワードが漏えいすると、来訪者も証明書などを取得できてしまいます。公式解答例もこの問題を挙げています。60字以内では「ダウンロードサーバの認証情報が漏えいすると、来訪者も証明書などを取得できる。」とまとめられます。
設問4(3)
有線LAN撤去後は、証明書を取得するために無線LANの認証を通過する必要があります。公式解答例では「クライアント証明書の有効期限を切らせた営業員」と「無線LAN導入後に営業部に配属された営業員」を挙げています。前者は有効な証明書を失い、後者は初回の証明書をまだ取得していない状況です。25字以内の答案では、例えば「クライアント証明書の有効期限を切らせた営業員」と対象を具体的に示します。
設問5(1)サプリカントとなる機器
サプリカントは、IEEE 802.1Xで認証を受ける側の機器です。本問では営業員のNPCがクライアント証明書を使ってEAP-TLSによる認証を受けるため、該当する機器はNPCです。公式解答例でも「NPC」としています。
設問5(1)オーセンティケータとなる機器
本文では、NPCとWLC間で認証情報を交換し、WLCが利用者認証後に対応するVLANをAPへ設定するとしています。この構成で認証の可否に基づく処理を担うのはWLCです。公式解答例では「WLC」としています。採点講評も、WLCがRADIUSサーバへ問い合わせ、その結果を基に認証の可否を処理するという本文の記述から導くよう説明しています。
設問5(2)①
来訪者のNPCには、接続先の無線LANを識別する情報が必要です。本文では、APがESSIDに対応した来訪者向けのVLAN200を割り当てると説明されています。公式解答例の一つ目は「ESSID」です。来訪者用の無線LANを選ぶ情報として押さえます。
設問5(2)②
来訪者はWPA2又はWPAのパーソナルモードで接続するため、事前に共有する鍵の情報が必要です。公式解答例の二つ目は「PSK」です。接続先を識別するESSIDと、その接続に使う事前共有鍵を対にして考えます。
設問5(3)
接客エリアのAPでは、営業員のVLAN100と来訪者のVLAN200を同時に扱います。そのため、APとL2SW5を結ぶ有線区間では、フレームがどちらのVLANに属するかをタグで識別する必要があります。図4の該当箇所は㋑で、公式解答例でも「㋑」です。
設問5(4)
来訪者のVLAN200は、社内側のL3SWへ接続させず、DHCP機能を持つルータ2へ接続させます。AP側ではタグVLANで受け取り、ルータ2へ接続するポートをVLAN200のポートVLANにします。公式解答例では、その設定先を「ルータ2への接続ポートだけ」としています。40字以内では「ルータ2への接続ポートだけにVLAN200のポートVLANを設定する。」とまとめられます。
設問5(5)問題
認証後のデータ通信はWLCを経由しない一方、AP間のハンドオーバはWLCの制御機能を使います。このため、WLC障害時には現在のAPでの通信継続と、別のAPへの移動を区別して考えます。公式解答例では問題を「ハンドオーバができなくなる。」としています。この表現で20字以内に収まります。
設問5(5)理由
本文のWLCの機能に「PMKの保持などによるハンドオーバ制御」がある点に着目します。公式解答例では、NPCに配布したPMKと認証関連情報がWLCで保持されていることを理由としています。40字以内では「NPCのPMKと認証関連情報をWLCが保持しているため」とまとめられます。採点講評でも、PMKの保持方法とWLCの機能を結び付けて考えるよう求めています。
設問5(6)
営業員はVLAN100を使い、認証後のデータ通信はWLCを経由せず、従来どおりDMZのプロキシサーバ経由でインターネットへアクセスします。図4をたどると、プロキシまでの経路と、プロキシから外部への経路でL2SW1とFWを再び通ります。公式解答例に従う転送経路は「NPC→AP→L2SW5→L3SW→FW→L2SW1→プロキシサーバ→L2SW1→FW→ルータ1→インターネット」です。来訪者用のルータ2と、認証処理を担うWLCはこの経路に含めません。
学習のポイント
WLCの認証・ハンドオーバ制御とデータ転送の違い、EAP-TLSに必要な情報、証明書更新の接続条件、VLAN別の通信経路を重点的に学習します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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