NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
平成29年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題












解き方のヒントを見る
条件と判断対象のつながりを確かめる
この分野の問題では、知っている用語から結論を急ぐ前に、与えられた条件が何についての判断に関わるかを整理しましょう。条件と判断対象のつながりに注目し、自分の知識で条件を補っていないか確かめます。
この問題で問われていること
まず、何を判断することが求められているかを捉え、その判断に関わる条件との対応を確かめてください。話題から思い浮かぶ一般知識をそのまま当てはめず、与えられた条件を根拠に考えられているかに目を向けましょう。
視点
条件は判断の根拠であり、判断対象は考えようとしている事柄です。両者の対応を意識し、どの条件を根拠にしているのかを自分の言葉で整理しましょう。
確認ポイント
- 何について判断することが求められているか
- その判断に関わる条件は何か
- 条件と判断対象の対応を説明できるか
正解と解説を見る
解説
工場LANのSDN化とクラウド利用拡大を題材に、制御メッセージ、ARP、VLAN、NAT、DNS、CDNの動作を読み解く問題です。さらに、構成変更の柔軟性とクラウドサービスを生かした災害復旧の準備・利点を考えます。
問題の全体像
A社は、国内外の生産機械にファームウェアを配信するため、工場LANをSDN化し、クラウド上の本運用環境Web-BとCDNを導入します。また、国内クラウド拠点の長期停止に備え、工場設備と国外クラウド拠点を使うDR案を検討します。出題趣旨では、SDN・クラウドの基本概念をVLAN、TCP/IP、DNSと組み合わせ、システム全体の動作と基本設計を理解する力を問うとしています。
設問1(あ)
図1でFWの外部NW側のIPアドレスはi1です。機械からのパケットは、プライベートアドレスのDMZへ直接送るのではなく、まずFWの外部側へ送られます。公式解答例では「i1」です。
設問1(い)
本文の「FWが宛先IPアドレスを書き換えてLBに転送する」という動作に着目します。外部向けアドレスからDMZ内のLBのアドレスへ変換する機能なので、公式解答例では「NAT」です。
設問1(う)
図1でLBに割り当てられたIPアドレスはi3です。FWは受信パケットをLBへ転送するため、NATによる変換後の宛先はLBのアドレスになります。公式解答例では「i3」です。
設問1(え)
図3の①では、LLDPフレームを識別する条件とActionをOFSの管理テーブルに登録します。表1で管理テーブルを変更するメッセージはFlow-Modなので、公式解答例では「Flow-Mod」です。
設問1(お)
表2では、Output(controller)は受信パケットをPacket-InメッセージでOFCへ転送する指定です。図3の①でこのActionを登録することで、ETH_TYPEが88CCの受信LLDPフレームをOFCへ通知できます。公式解答例では「controller」です。全ポートからのLLDP送出は、後続の②・③でPacket-Outを使って指示します。
設問1(か)
図3の②では、OFCがLLDPフレームと出力先ポートを指定して、OFSからフレームを送出させます。表1でこの用途に対応するのはPacket-Outなので、公式解答例では「Packet-Out」です。
設問1(き)
図3の③では、OFS2から送出したLLDPフレームYをOFS1が受信します。ペイロードには送出元の装置名を格納するので、公式解答例では「OFS2」です。受信側のOFS1と区別してください。
設問1(く)
図2では、OFS1のp8とOFS2のp9が接続されています。OFS2からOFS1へ届くLLDPフレームYには送出ポートp9が格納されるため、公式解答例では「p9」です。
設問2(1)(け)
空欄けは、表3のパケット⑬のVLAN IDです。⑬は新FWからOFS1へ向かうSYNで、DMZに対応するトランク接続p7(v2)を通るため、公式解答例では「v2」です。次の⑭はLBへの転送時にVLANヘッダが削除されており、⑬と区別する必要があります。
設問2(1)(こ)
空欄こは、パケット⑭のVLAN IDです。⑬を受信したOFS1は、表5のエントリ2に従ってPop-VLANを実行し、p6からLBへ出力します。したがって⑭にはVLANヘッダがなく、公式解答例では「なし」です。
設問2(1)(さ)
⑬・⑭は、新FWからLBへ向かうSYNです。図4でLBのMACアドレスはm2なので、両パケットの宛先MACアドレスはm2になります。OFS1によるVLANヘッダの削除では、この宛先MACアドレスは変わりません。公式解答例では「m2」です。
設問2(1)(し)
図4の⑮はLBからOFS1へ、⑯はOFS1からWeb-A1へ向かうSYNです。図4でWeb-A1のMACアドレスはm3なので、両パケットの宛先MACアドレスはm3になります。送信元m2はLBを表します。公式解答例では「m3」です。
設問2(1)(す)
⑮・⑯は、LBが振り分け先に選んだWeb-A1へ向かうSYNです。図4でWeb-A1のIPアドレスはi4なので、振り分け後の宛先IPアドレスはi4になります。公式解答例では「i4」です。LB自身のIPアドレスはi3です。
設問2(2)
下線(i)は、ブロードキャスト通信のPacket-Inを受けたOFCが、同じ仮想NWの構成情報に基づいて送出を指示する場面です。①のARP Requestを外部NWの新FWへ送る②と、⑦のARP RequestをDMZのLB・Web-A1・Web-A2へ送る⑧・⑨・⑩が該当します。公式解答例では「②、⑧、⑨、⑩」です。④・⑫のARP ReplyもPacket-Outで送出されますが、下線(i)のブロードキャスト通信には該当しません。
設問2(3)
ARP RequestとARP ReplyはいずれもARPのイーサネットタイプをもちます。表2のMFではETH_TYPEで識別できるため、公式解答例では「ETH_TYPEがARPのイーサネットタイプに等しい。」です。この条件を30字以内で示します。OFCへ通知するOutput(controller)はActionであり、問われているパケット識別条件とは区別します。
設問2(4)
表4は、p1から入る送信元m5・宛先m1の通信と、p7(v1)から入る逆方向の通信を定義しています。図4でm5はRT-1、m1は新FW、v1は外部NWなので、公式解答例では「外部NW内のRT-1と新FWの通信」です。20字以内では、通信する二つの機器と所属するNWを押さえます。
設問2(5)(せ)
表5のエントリ2は、新FWからLBへ向かう通信です。エントリ1はその逆方向なので、LBからOFS1へ入力されるポートを指定します。図4でLBの接続ポートはp6であり、公式解答例では「p6」です。
設問2(5)(そ)
表5のエントリ1は、LBからp6へ入るパケットを識別します。LBとの接続ではVLANヘッダを付けないため、入力時のVLAN IDは「なし」です。公式解答例でも「なし」としています。新FWへ出力する際にv2を付ける処理はActionで行います。
設問2(5)(た)
表5のエントリ1はLBから新FWへ向かう通信なので、宛先MACアドレスは新FWのm1です。エントリ2の送信元m1・宛先m2と方向を反転させて確認できます。公式解答例では「m1」です。
設問2(5)(ち)
表5のエントリ1では、送信元はLBです。図4でLBのMACアドレスはm2なので、公式解答例では「m2」です。宛先の新FWのm1と取り違えないよう、通信方向を確認します。
設問2(6)
エントリ1は、VLANヘッダのないLBからのパケットを、新FWのDMZ側へ送るためのものです。VLANヘッダを付け、DMZのVLAN IDであるv2を設定し、トランクポートp7へ出力します。公式解答例では「Push-VLAN、Set-Field VLAN_VID=v2、Output(p7)」です。
設問3(1)
図6では、webliveのAレコードを、別のFQDNであるwebasha.bshacdn.example.net.を参照するレコードへ置き換えます。別名と参照先の名前を対応付けるのはCNAMEレコードなので、公式解答例では「CNAME」です。エッジサーバのIPアドレスは参照先のDNS-Bで選択されます。
設問3(2)
図5のa1は、試行モードでWeb-Aへアクセスするための名前解決です。図6のDNS-Aでは、試行用ホスト名がwebtest、$ORIGINがasha.example.com.なので、公式解答例では「webtest.asha.example.com」です。
設問3(3)
図5のb1は、本運用モードで用いる名前の解決です。図6の本運用用ホスト名webliveに$ORIGINのasha.example.com.を組み合わせるため、公式解答例では「weblive.asha.example.com」です。CDN適用時も機械が問い合わせる名前は同じで、CNAMEによって参照先が変わります。
設問3(4)
DNS-Bが受け取る通常のDNS問い合わせの送信元はDNSフルリゾルバです。機械のDNSクライアントとフルリゾルバがネットワーク上で離れていると、その送信元情報だけでは機械に適したエッジサーバを選びにくくなります。クライアントのサブネット情報を通知すれば選択を改善できます。公式解答例では、両者がネットワーク上で離れた位置にある場合を挙げており、この条件を50字以内で述べます。
設問3(5)(a)
ファームウェアの一斉更新では、多数の機械からWeb-BへGETリクエストが集中します。エッジサーバがキャッシュを返すことでWeb-Bの処理負荷を軽減できるため、公式解答例では「Web-Bのサーバ処理能力不足」を挙げています。20字以内では、この処理能力不足を要因として示します。
設問3(5)(b)
国内外の機械が国内のWeb-Bへ直接アクセスすると、通信経路による遅延がTATを悪化させます。適したエッジサーバからファームウェアを取得すれば、この遅延の改善が期待できます。公式解答例では「機械とWeb-B間の通信遅延」を挙げており、20字以内で通信遅延を要因として示します。
設問4(1)
転用した業務サーバをWeb-Aの処理に参加させるには、DMZへの接続に加えてLBの振り分け先に含める必要があります。下線(vi)は、決めたIPアドレスを使う準備を問うため、公式解答例では、転用後の業務サーバのIPアドレスをLBの振り分け先に追加しておくとしています。40字以内では、追加するアドレスと追加先を明記します。
設問4(2)
CDNを適用していないとき、図6の本運用用レコードはWeb-Bのグローバルアドレスi6を返します。DR時には、本運用用の名前を保ったまま、Web-Aへの入口であるFWの外部側アドレスi1へ切り替えます。公式解答例では、置換え前が「weblive IN A i6」、置換え後が「weblive IN A i1」です。プライベートアドレスのLBを直接指定するのではありません。
設問4(3)(a)
図7では、転用する業務サーバを内部NWからDMZへ論理的に移します。SDNによって物理配線を変更せずに構成を変えられるため、配線作業にかかる時間を減らせます。公式解答例では物理配線の変更が不要になる点を挙げており、30字以内なら「転用する業務サーバの物理配線変更が不要」と要点を示せます。
設問4(3)(b)
本文では、現行のNW機器運用はベンダに委託していますが、拡張後は自社要員がOFCの管理ソフトウェアで構成を変更します。自社要員だけで復旧対応できることがRTO短縮につながります。公式解答例ではこの点を挙げており、30字以内なら「管理ソフトウェアで社内要員だけで対応できる」と示せます。採点講評でも、自社要員だけで構成変更できる点への着目を求めています。
設問4(4)
国外拠点のバックアップを利用するには、IaaS環境だけでなく、ISP・CDNとDNSによるアクセス先の切替えも準備する必要があります。公式解答例では、CDN・ISP・IaaS環境の構築と切替えについて、APIサービスとDNSを使う手順の確立を挙げています。50字以内では「APIとDNSを用いたCDN・ISP・IaaS環境の構築・切替手順を確立する。」と要点をまとめられます。採点講評では、一部の切替作業だけを述べる解答が目立ったとしています。
設問4(5)(a)
自社設備利用DR案の工場も、通常利用するB社拠点も国内にあります。国外拠点を利用すれば、国内の広域災害による影響を回避できることが利点です。公式解答例ではこの地理的な分散を挙げており、30字以内では「国外拠点により国内の広域災害の影響を回避できる」と示せます。
設問4(5)(b)
自社設備利用DR案では、試行環境Web-Aの性能不足に備えてサーバを転用します。国外拠点のIaaS環境とB社CDNなどを使えば、通常時と同じ品質を保つことができます。公式解答例ではこの点を挙げており、30字以内では「B社CDNなどを使い通常時と同じ品質を保てる」と示せます。採点講評では、IaaS利用とNW運用業務のアウトソーシングを混同した解答を指摘しています。
学習のポイント
通信方向を追いながらMAC・IPアドレスとVLANの変化を整理し、SDNの識別条件とAction、DNS・APIによる運用を理解することが重点です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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