NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ

平成29年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問1

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問1 SDNとクラウドの活用に関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。 A社は、国内外に顧客をもつ生産機械メーカである。A社では、IoT時代に適応するために、新たな情報システム基盤を整備中である。 現在の情報システム基盤は、国内工場の自社設備と、国内外にサービス用拠点をもつクラウドサービス事業者B社のIaaS環境で構成されている。B社のA社向けIaaS環境は国内にあり、工場とは専用線で接続されている。インターネットと工場とは、インターネットサービス事業者C社の国内拠点を介して接続されている。 A社の情報システム部は、顧客の拠点で稼働中の生産機械(以下、機械という)と情報システム基盤のWebサーバで構成されたシステム(以下、新システムという)を開発中である。また、本年度は、ネットワーク(以下、NWという)の拡張を予定している。NW拡張の概要を図1に示す。 図1 NW拡張の概要(抜粋) 注記1 A社は、インターネットを経由してB社APIサービスにアクセスし、HTTPリクエストを使って、利用するB社クラウドサービスの追加や変更を行う。 注記2 Web-Aは、LBと2台のWebサーバ(Web-A1、Web-A2)から構成された、新システムの試行環境である。Web-Aは、既に稼働している。 注記3 Web-Bは、仮想LBと2台のWebサーバ(Web-B1、Web-B2)から構成された、新システムの本運用環境である。Web-Bは、NW拡張の中で導入される。 NW拡張の目的を次に示す。 ・工場LANのSDN(Software-Defined Networking)化:SDN技術を用いて、現在の工場LANを、ビジネス変化に対応できる柔軟性と拡張性を備えた新たな工場LAN(以下、新工場LANという)に刷新する。新工場LANでは、物理配線の変更なしに、自社要員だけで構成変更ができるようにする。 ・クラウドサービスの利用拡大:開発中の新システムは、国内外の多数の機械に対する、ファームウェアの一斉更新、稼働状況の定期収集に用いられる。新システムの本運用のために、Web-Aよりも大規模なWeb-Bを構築し、B社クラウドサービス(図1中のB社CDN、B社ISP)を活用して、Web-Aへのアクセス経路よりも高速なWeb-Bへのアクセス経路を実現する。 機械からWeb-Aへのアクセスの概要を次に示す。 ・Web-Aを収容しているDMZは、プライベートアドレスが割り当てられている。 ・機械から送信されたIPパケットは、C社ISPを経由し、FWに転送される。その宛先IPアドレスは、図1中の【あ】である。 ・FWは、受信したIPパケットをLBに転送する。その際、FWの【い】機能によって、宛先IPアドレスは図1中の【う】に書き換えられる。 ・LBは、サーバの稼働状況をチェックしながら、受信したIPパケットを動的にWeb-A1又はWeb-A2に振り分ける。 NW拡張後は、B社クラウドサービスを使って、機械からWeb-Bへ同様のアクセスが行われるようになる。機械は、Web-AへのアクセスとWeb-Bへのアクセスを切り換えられるようになっており、試行環境と本運用環境を使い分けながら、新システムの機能拡充を進めていく予定である。 情報システム部のNW拡張プロジェクトでは、新工場LANの提案と構築をベンダに委託し、それ以外の作業を自社要員が担当する。NW拡張プロジェクト発足に先立ち、情報システム部のD君が、次の準備作業を行っている。 ・新工場LANに適用するSDN技術の調査:ベンダから提案があった、新工場LANに適用するSDN技術について、その概要を整理する。 ・新工場LANの運用の調査:ベンダから提案があった、新工場LANの論理構成と通信方式の概要を整理する。 ・クラウドサービス利用拡大の検討:新システムの本運用に用いる、B社CDNとB社ISPを使ったNWの導入案を作成する。 ・A社向けIaaS環境のバックアップの検討:B社拠点(国内)が長時間使えない場合を想定し、新システムの稼働を再開させるための代替手段を検討する。 〔新工場LANに適用するSDN技術の調査〕 ベンダから提案があったSDN技術について、D君は次のように整理した。 ・従来のスイッチ機能を、経路制御などの管理機能を実行するフローコントローラ(以下、OFCという)と、データ転送を行うスイッチ(以下、OFSという)に分け、OFSに入るパケットの経路制御をOFCが集中制御する方式を採用する。 ・OFSとOFCは、管理のための専用NW(以下、管理NWという)を介して、通信メッセージを交換する。OFCとOFS間の通信メッセージを表1に示す。 表1 OFCとOFS間の通信メッセージ(抜粋) ・OFSは、IPアドレス、MACアドレスなどのパケット識別子(Match Field、以下、MFという)を使ったパケット識別条件と、識別されたパケットの処理(以下、Actionという)の組合せ(以下、エントリという)を、OFS内の管理テーブルで管理する。 ・OFSは、入力パケットに対して、管理テーブル内のパケット識別条件が一致するエントリを探し、そのエントリのActionを実行する。一致するエントリがない場合は、事前の設定に従い、入力パケットを破棄するか、Packet-Inメッセージを使ってOFCに入力パケットを転送する。今回の提案では、OFCへの通信集中を避けるために、入力パケットを破棄させる設定を全OFSに対して行う。 ・MFとActionの例を表2に示す。 表2 MFとActionの例 ベンダの提案では、8台のOFSを導入する。ベンダから提案があった新工場LANの物理構成案を、図2に示す。 図2 新工場LANの物理構成案(抜粋) OFS同士の接続情報をOFCが収集する通信シーケンスについて、D君はベンダから説明を受けた。例えば、図2中のOFCが、OFS1とOFS2の接続情報を得る場合のOFS接続情報収集の通信シーケンス例は、図3のようになる。 図3 OFS接続情報収集の通信シーケンス例 OFS接続情報の収集では、IEEE 802.1ABで規定されているLLDP(Link Layer Discovery Protocol)の仕組みを流用する。図3中のOFCは、固有のイーサネットタイプ88CCをもつLLDPフレームを使って、次のように、LLDPフレームXとLLDPフレームYの内容からOFS1のp8とOFS2のp9の接続情報を得ている。 ① OFCは、表1中の【え】メッセージを使って、ETH_TYPEが88CCに等しいときのActionとして、Output(【お】)を、OFS内の管理テーブルに登録させる。 ② OFCは、表1中の【か】メッセージを使って、OFS1の全ポートについて、OFS1の装置名とそれぞれのポートIDを格納したLLDPフレームを出力させ、装置名OFS1とポートID p8が格納されたLLDPフレームXをOFS2から受け取る。 ③ OFCは、OFS2に対して②と同様の操作を行い、装置名【き】とポートID【く】が格納されたLLDPフレームYをOFS1から受け取る。 〔新工場LANの運用の調査〕 新工場LANの運用について、ベンダからは次のような提案があった。 ・OFSを使って、図1中の工場の外部NW、DMZ、内部NWに対応した、仮想的なレイヤ2ネットワーク(以下、仮想NWという)を構成する。 ・仮想NW間の通信は、新FWを経由させる。新FWとOFSはトランク接続し、仮想NWに対応したVLAN IDを定義する。 ・現行FWのフィルタリング機能とNAT機能を、新FWに移行する。 機械から送信されたSYNパケットが、RT-1から振り分け先のWeb-A1に転送される場合の、新工場LANの論理構成と通信シーケンス例を、図4に示す。 図4 新工場LANの論理構成(抜粋)と通信シーケンス例 図4中の⑤のパケットヘッダは、転送する複数の装置によってそれぞれ書き換えられる。図4中のパケット⑥、⑬~⑯のヘッダ情報を、表3に示す。 表3 図4中のパケット⑥、⑬~⑯のヘッダ情報 図4中の通信シーケンスに関する、OFCとOFSの動作を、次に示す。 ・OFCには、次のような仮想NWの構成に関する構成情報が登録されている。 -OFS1の外部NWの構成要素:p1、p7(v1) -OFS1のDMZの構成要素:p4、p5、p6、p7(v2) (i)ブロードキャスト通信に関するPacket-Inメッセージを受信したとき、OFCは、これらの構成情報を基に、OFSにPacket-Outメッセージを使った指示を行う。 ・OFCは、ARPを利用して、ユニキャスト通信に対応したエントリをOFSに登録させる。そのために、図4中の通信シーケンスが始まる前に、(ii)OFCは、ARP RequestとARP ReplyをOFCに通知するためのエントリを、OFS1に登録させる。 ・(iii)図4では、二つのユニキャスト通信について、エントリ登録の通信シーケンスがそれぞれ示されている。Flow-Mod(1)によって登録されるエントリを表4に、Flow-Mod(2)によって登録されるエントリを表5に、それぞれ示す。 表4 図4中のFlow-Mod(1)によって登録されるエントリ 表5 図4中のFlow-Mod(2)によって登録されるエントリ 〔クラウドサービス利用拡大の検討〕 D君が検討した、B社CDNとB社ISPを利用したNWの概要を次に示す。 ・機械からA社向けIaaS環境へのアクセスは、B社ISPを経由する。 ・B社APIサービスを使って、B社ISP利用時の通信速度を指定する。試行に使っているC社ISP利用時の通信速度に比べて、十分な通信速度を確保する。 ・機械からWeb-Bへのアクセスは、FQDN「weblive.asha.example.com」を使って行う。FQDNをWeb-Bのグローバルアドレス(図1中のi6)に変換するために、B社のDNSサービスを利用する。 ・高負荷が予想されるときには、B社APIサービスを使って、必要な期間だけB社CDNを適用する。B社CDNの適用は次のように行う。 -世界中に設置されているB社CDNのエッジサーバが、指定されたB社のIaaS環境内のWebサーバ(以下、オリジンサーバという)の処理を代行する。 -エッジサーバは、HTTPクライアントからのHTTPリクエストに応じて、キャッシュ又はプロキシの動作を行う。これらの動作はHTTPプロトコルを使って自動的に行われるので、特別な運用(データ配信など)は不要である。 -A社の場合には、Web-Bをオリジンサーバに指定する。B社CDNを適用する場合には、B社から割り当てられるFQDN「webasha.bshacdn.example.net」を使ってアクセスする。 B社CDNをA社に適用したときの概念図を、図5に示す。 図5 B社CDNをA社に適用したときの概念図 B社CDNを適用する場合には、図5中のDNS-Aのゾーンファイルを書き換え、機械からのアクセスを、Web-Bからエッジサーバへ切り換える。D君が考えたエッジサーバへの切換え方法を、図6に示す。 図6 D君が考えたエッジサーバへの切換え方法 図5と図6の概要を次に示す(a1~a3、b1~b3、c1~c3は、図5中のアクセス経路を示す)。 ・機械の動作には、試行モードと本運用モードがある。 ・試行モードでは、機械からWeb-Aにアクセスする(a1、a2、a3)。 ・本運用モードでは、機械からWeb-Bにアクセスする(b1、b2、b3)。 ・本運用モードにおいて高負荷が予想される期間は、B社CDNを適用する(b1、b2、c1、c2、c3)。 ・c1において、DNS-Bは、DNSメッセージの送信元IPアドレスを基に、最適なエッジサーバを選択し、そのIPアドレスを返す。(iv)EDNS-Client-Subnet(RFC 7871)を使ってDNSクライアントの情報が通知された場合には、その情報も利用し、より適したエッジサーバを選択する。 ・機械から本運用環境への二つのアクセス(b3、c2)を比較したとき、(v)HTTPのGETリクエストを使うファームウェアの一斉更新の場合に、B社CDN適用によるTAT(Turn Around Time)の改善が期待できる。 〔A社向けIaaS環境のバックアップの検討〕 情報システム部では、A社向けIaaS環境へのサーバ移行を順次進めており、A社向けIaaS環境が存在するB社拠点(国内)が長時間使えないリスクを想定し、そのバックアップ対策(以下、DRという)を運用マニュアルに盛り込むことにしている。 現在、A社では、サーバ、LB、DNS-Aの運用は自社の運用要員が行い、それ以外のNW機器の運用は、ベンダに委託している。NW拡張後は、自社の運用要員が、OFCの管理ソフトウェアを使って新工場LANの構成を変更し、APIサービスを使ってクラウドサービス利用形態を変更するようになる。D君は、自社の運用要員だけで対応できることを前提に、新システムのDR案とそのDR案に必要なNWに関する準備を検討し、次の(1)と(2)を提案することにした。 (1)「自社設備利用DR案」とNWに関する準備 工場のWeb-Aを使い、A社向けIaaS環境のWeb-Bを代替する。Web-Aの性能不足に備え、工場内の重要度が低い業務サーバをWebサーバに転用し、Web-Aをスケールアウトする。そのために次のNWに関する準備を行う。 ・(vi)転用後の業務サーバのIPアドレスを決め、それを用いて準備作業を行う。 ・転用後の業務サーバをDMZに接続するために、OFCの管理ソフトウェアに、新工場LANの構成変更に関する定義を登録する。DR時の新工場LANの構成変更の概要を図7に示す。 図7 DR時の新工場LANの構成変更の概要 ・(vii)図6中のDNS-Aのゾーンファイルのリソースレコードを置き換えて、機械の本運用モードのアクセスをWeb-Aに切り換える。そのための手順を用意する。 (2)「B社拠点(国外)利用DR案」とその準備 B社との現行契約では、B社APIサービスを使って、B社拠点(国外)のA社向けIaaS環境も利用できるので、そこにWeb-Bのバックアップを作成する(以下、NWに関する準備については省略)。 D君は、以上の検討結果を、情報システム部長に報告した。その後、NW拡張プロジェクトが開始され、D君はその技術担当リーダに着任した。 設問1 本文中の【あ】~【く】に入れる適切な字句を答えよ。 設問2 〔新工場LANの運用の調査〕について、(1)~(6)に答えよ。 (1)表3中の【け】~【す】に入れる適切な字句を答えよ。 (2)本文中の下線(i)のPacket-Outメッセージによって送出されたパケットを、図4中の①~⑯から選び、①~⑯の記号で全て答えよ。 (3)本文中の下線(ii)について、エントリに含まれるパケット識別条件を、表2中のMFを用いて、30字以内で述べよ。 (4)本文中の下線(iii)について、表4のエントリに対応するユニキャスト通信を、20字以内で答えよ。 (5)表5中の【せ】~【ち】に入れる適切な字句を答えよ。 (6)表5中のエントリ1のActionを答えよ。 設問3 〔クラウドサービス利用拡大の検討〕について、(1)~(5)に答えよ。 (1)図6中の【つ】に入れる適切な字句を答えよ。 (2)図6中のゾーンファイルの定義内容を参考にして、図5中のa1によって名前解決されるFQDNを答えよ。 (3)図6中のゾーンファイルの定義内容を参考にして、図5中のb1によって名前解決されるFQDNを答えよ。 (4)本文中の下線(iv)について、より適したエッジサーバが選択される場合を、50字以内で述べよ。 (5)本文中の下線(v)の場合に、B社CDNの適用によって解消されるTAT悪化の要因を二つ挙げ、それぞれ20字以内で答えよ。 設問4 〔A社向けIaaS環境のバックアップの検討〕について、(1)~(5)に答えよ。 (1)本文中の下線(vi)の準備作業を40字以内で述べよ。 (2)本文中の下線(vii)について、置換え前と置換え後のリソースレコードを、それぞれ答えよ。ここで、B社CDNは適用していないものとする。 (3)新工場LANを使った自社設備利用DR案について、現行の工場内LANを使った自社設備利用DR案と比較して、障害復旧時間(RTO)が短縮できる要因を二つ挙げ、それぞれ30字以内で述べよ。 (4)B社拠点(国外)利用DR案のNWに関する準備を、50字以内で述べよ。 (5)B社拠点(国外)利用DR案について、自社設備利用DR案と比べたときの利点を二つ挙げ、それぞれ30字以内で述べよ。
図1 NW拡張の概要(抜粋)。B社クラウドサービス、工場、インターネット、Web-AとWeb-Bの構成およびNW拡張で追加・更新される部分を示す構成図。
図1 NW拡張の概要(抜粋)。B社クラウドサービス、工場、インターネット、Web-AとWeb-Bの構成およびNW拡張で追加・更新される部分を示す構成図。
表1 OFCとOFS間の通信メッセージ(抜粋)。Packet-In、Packet-Out、Flow-Modについて、通信方向とOFC・OFS間での用途を整理した表。
表1 OFCとOFS間の通信メッセージ(抜粋)。Packet-In、Packet-Out、Flow-Modについて、通信方向とOFC・OFS間での用途を整理した表。
表2 MFとActionの例。入力ポート、MACアドレス、VLAN、IPアドレスなどのMFと、Output、Drop、Set-Field、VLAN操作などのActionの例を示す表。
表2 MFとActionの例。入力ポート、MACアドレス、VLAN、IPアドレスなどのMFと、Output、Drop、Set-Field、VLAN操作などのActionの例を示す表。
図2 新工場LANの物理構成案(抜粋)。OFS1~OFS8、OFC、管理NW、RT-1、RT-2、新FW、LB、Webサーバなどの物理接続構成を示す図。
図2 新工場LANの物理構成案(抜粋)。OFS1~OFS8、OFC、管理NW、RT-1、RT-2、新FW、LB、Webサーバなどの物理接続構成を示す図。
図3 OFS接続情報収集の通信シーケンス例。OFCがPacket-OutとPacket-Inを用い、LLDPフレームをOFS1・OFS2間で交換して接続情報を収集する流れを示す図。
図3 OFS接続情報収集の通信シーケンス例。OFCがPacket-OutとPacket-Inを用い、LLDPフレームをOFS1・OFS2間で交換して接続情報を収集する流れを示す図。
図4 新工場LANの論理構成(抜粋)と通信シーケンス例。外部NW、DMZ、内部NWをVLANで分離し、新FW、LB、Webサーバ間でARPとSYNが流れる論理構成・通信シーケンス図。
図4 新工場LANの論理構成(抜粋)と通信シーケンス例。外部NW、DMZ、内部NWをVLANで分離し、新FW、LB、Webサーバ間でARPとSYNが流れる論理構成・通信シーケンス図。
表3 図4中のパケット⑥、⑬~⑯のヘッダ情報。指定された通信パケットについて、VLAN ID、宛先MAC、送信元MAC、宛先IPアドレスを整理した表。
表3 図4中のパケット⑥、⑬~⑯のヘッダ情報。指定された通信パケットについて、VLAN ID、宛先MAC、送信元MAC、宛先IPアドレスを整理した表。
表4 図4中のFlow-Mod(1)によって登録されるエントリ。外部NWとRT-1・新FW間のユニキャスト通信に対応する二つのOFSフローエントリとActionを示す表。
表4 図4中のFlow-Mod(1)によって登録されるエントリ。外部NWとRT-1・新FW間のユニキャスト通信に対応する二つのOFSフローエントリとActionを示す表。
表5 図4中のFlow-Mod(2)によって登録されるエントリ。DMZ内の通信に対応する二つのOFSフローエントリを示し、エントリ1の一部を設問用に空欄としている表。
表5 図4中のFlow-Mod(2)によって登録されるエントリ。DMZ内の通信に対応する二つのOFSフローエントリを示し、エントリ1の一部を設問用に空欄としている表。
図5 B社CDNをA社に適用したときの概念図。機械、DNSクライアント、DNSフルリゾルバ、DNS-A・DNS-B、B社CDNのエッジサーバ、Web-A・Web-B間の名前解決とHTTP経路を示す図。
図5 B社CDNをA社に適用したときの概念図。機械、DNSクライアント、DNSフルリゾルバ、DNS-A・DNS-B、B社CDNのエッジサーバ、Web-A・Web-B間の名前解決とHTTP経路を示す図。
図6 D君が考えたエッジサーバへの切換え方法。DNS-AとDNS-Bのゾーンファイルを用い、Web-Bの名前解決先をB社CDNのエッジサーバへ切り換える方法を示す図。
図6 D君が考えたエッジサーバへの切換え方法。DNS-AとDNS-Bのゾーンファイルを用い、Web-Bの名前解決先をB社CDNのエッジサーバへ切り換える方法を示す図。
図7 DR時の新工場LANの構成変更の概要。通常時のWeb-A構成に対し、業務サーバをWeb-A3・Web-A4へ転用してDMZへ接続し、Web-Aを拡張する変更を示す図。
図7 DR時の新工場LANの構成変更の概要。通常時のWeb-A構成に対し、業務サーバをWeb-A3・Web-A4へ転用してDMZへ接続し、Web-Aを拡張する変更を示す図。
解き方のヒントを見る

条件と判断対象のつながりを確かめる

この分野の問題では、知っている用語から結論を急ぐ前に、与えられた条件が何についての判断に関わるかを整理しましょう。条件と判断対象のつながりに注目し、自分の知識で条件を補っていないか確かめます。

この問題で問われていること

まず、何を判断することが求められているかを捉え、その判断に関わる条件との対応を確かめてください。話題から思い浮かぶ一般知識をそのまま当てはめず、与えられた条件を根拠に考えられているかに目を向けましょう。

視点

条件は判断の根拠であり、判断対象は考えようとしている事柄です。両者の対応を意識し、どの条件を根拠にしているのかを自分の言葉で整理しましょう。

確認ポイント

  • 何について判断することが求められているか
  • その判断に関わる条件は何か
  • 条件と判断対象の対応を説明できるか
正解と解説を見る

解説

工場LANのSDN化とクラウド利用拡大を題材に、制御メッセージ、ARP、VLAN、NAT、DNS、CDNの動作を読み解く問題です。さらに、構成変更の柔軟性とクラウドサービスを生かした災害復旧の準備・利点を考えます。

問題の全体像

A社は、国内外の生産機械にファームウェアを配信するため、工場LANをSDN化し、クラウド上の本運用環境Web-BとCDNを導入します。また、国内クラウド拠点の長期停止に備え、工場設備と国外クラウド拠点を使うDR案を検討します。出題趣旨では、SDN・クラウドの基本概念をVLAN、TCP/IP、DNSと組み合わせ、システム全体の動作と基本設計を理解する力を問うとしています。

設問1(あ)

図1でFWの外部NW側のIPアドレスはi1です。機械からのパケットは、プライベートアドレスのDMZへ直接送るのではなく、まずFWの外部側へ送られます。公式解答例では「i1」です。

設問1(い)

本文の「FWが宛先IPアドレスを書き換えてLBに転送する」という動作に着目します。外部向けアドレスからDMZ内のLBのアドレスへ変換する機能なので、公式解答例では「NAT」です。

設問1(う)

図1でLBに割り当てられたIPアドレスはi3です。FWは受信パケットをLBへ転送するため、NATによる変換後の宛先はLBのアドレスになります。公式解答例では「i3」です。

設問1(え)

図3の①では、LLDPフレームを識別する条件とActionをOFSの管理テーブルに登録します。表1で管理テーブルを変更するメッセージはFlow-Modなので、公式解答例では「Flow-Mod」です。

設問1(お)

表2では、Output(controller)は受信パケットをPacket-InメッセージでOFCへ転送する指定です。図3の①でこのActionを登録することで、ETH_TYPEが88CCの受信LLDPフレームをOFCへ通知できます。公式解答例では「controller」です。全ポートからのLLDP送出は、後続の②・③でPacket-Outを使って指示します。

設問1(か)

図3の②では、OFCがLLDPフレームと出力先ポートを指定して、OFSからフレームを送出させます。表1でこの用途に対応するのはPacket-Outなので、公式解答例では「Packet-Out」です。

設問1(き)

図3の③では、OFS2から送出したLLDPフレームYをOFS1が受信します。ペイロードには送出元の装置名を格納するので、公式解答例では「OFS2」です。受信側のOFS1と区別してください。

設問1(く)

図2では、OFS1のp8とOFS2のp9が接続されています。OFS2からOFS1へ届くLLDPフレームYには送出ポートp9が格納されるため、公式解答例では「p9」です。

設問2(1)(け)

空欄けは、表3のパケット⑬のVLAN IDです。⑬は新FWからOFS1へ向かうSYNで、DMZに対応するトランク接続p7(v2)を通るため、公式解答例では「v2」です。次の⑭はLBへの転送時にVLANヘッダが削除されており、⑬と区別する必要があります。

設問2(1)(こ)

空欄こは、パケット⑭のVLAN IDです。⑬を受信したOFS1は、表5のエントリ2に従ってPop-VLANを実行し、p6からLBへ出力します。したがって⑭にはVLANヘッダがなく、公式解答例では「なし」です。

設問2(1)(さ)

⑬・⑭は、新FWからLBへ向かうSYNです。図4でLBのMACアドレスはm2なので、両パケットの宛先MACアドレスはm2になります。OFS1によるVLANヘッダの削除では、この宛先MACアドレスは変わりません。公式解答例では「m2」です。

設問2(1)(し)

図4の⑮はLBからOFS1へ、⑯はOFS1からWeb-A1へ向かうSYNです。図4でWeb-A1のMACアドレスはm3なので、両パケットの宛先MACアドレスはm3になります。送信元m2はLBを表します。公式解答例では「m3」です。

設問2(1)(す)

⑮・⑯は、LBが振り分け先に選んだWeb-A1へ向かうSYNです。図4でWeb-A1のIPアドレスはi4なので、振り分け後の宛先IPアドレスはi4になります。公式解答例では「i4」です。LB自身のIPアドレスはi3です。

設問2(2)

下線(i)は、ブロードキャスト通信のPacket-Inを受けたOFCが、同じ仮想NWの構成情報に基づいて送出を指示する場面です。①のARP Requestを外部NWの新FWへ送る②と、⑦のARP RequestをDMZのLB・Web-A1・Web-A2へ送る⑧・⑨・⑩が該当します。公式解答例では「②、⑧、⑨、⑩」です。④・⑫のARP ReplyもPacket-Outで送出されますが、下線(i)のブロードキャスト通信には該当しません。

設問2(3)

ARP RequestとARP ReplyはいずれもARPのイーサネットタイプをもちます。表2のMFではETH_TYPEで識別できるため、公式解答例では「ETH_TYPEがARPのイーサネットタイプに等しい。」です。この条件を30字以内で示します。OFCへ通知するOutput(controller)はActionであり、問われているパケット識別条件とは区別します。

設問2(4)

表4は、p1から入る送信元m5・宛先m1の通信と、p7(v1)から入る逆方向の通信を定義しています。図4でm5はRT-1、m1は新FW、v1は外部NWなので、公式解答例では「外部NW内のRT-1と新FWの通信」です。20字以内では、通信する二つの機器と所属するNWを押さえます。

設問2(5)(せ)

表5のエントリ2は、新FWからLBへ向かう通信です。エントリ1はその逆方向なので、LBからOFS1へ入力されるポートを指定します。図4でLBの接続ポートはp6であり、公式解答例では「p6」です。

設問2(5)(そ)

表5のエントリ1は、LBからp6へ入るパケットを識別します。LBとの接続ではVLANヘッダを付けないため、入力時のVLAN IDは「なし」です。公式解答例でも「なし」としています。新FWへ出力する際にv2を付ける処理はActionで行います。

設問2(5)(た)

表5のエントリ1はLBから新FWへ向かう通信なので、宛先MACアドレスは新FWのm1です。エントリ2の送信元m1・宛先m2と方向を反転させて確認できます。公式解答例では「m1」です。

設問2(5)(ち)

表5のエントリ1では、送信元はLBです。図4でLBのMACアドレスはm2なので、公式解答例では「m2」です。宛先の新FWのm1と取り違えないよう、通信方向を確認します。

設問2(6)

エントリ1は、VLANヘッダのないLBからのパケットを、新FWのDMZ側へ送るためのものです。VLANヘッダを付け、DMZのVLAN IDであるv2を設定し、トランクポートp7へ出力します。公式解答例では「Push-VLAN、Set-Field VLAN_VID=v2、Output(p7)」です。

設問3(1)

図6では、webliveのAレコードを、別のFQDNであるwebasha.bshacdn.example.net.を参照するレコードへ置き換えます。別名と参照先の名前を対応付けるのはCNAMEレコードなので、公式解答例では「CNAME」です。エッジサーバのIPアドレスは参照先のDNS-Bで選択されます。

設問3(2)

図5のa1は、試行モードでWeb-Aへアクセスするための名前解決です。図6のDNS-Aでは、試行用ホスト名がwebtest、$ORIGINがasha.example.com.なので、公式解答例では「webtest.asha.example.com」です。

設問3(3)

図5のb1は、本運用モードで用いる名前の解決です。図6の本運用用ホスト名webliveに$ORIGINのasha.example.com.を組み合わせるため、公式解答例では「weblive.asha.example.com」です。CDN適用時も機械が問い合わせる名前は同じで、CNAMEによって参照先が変わります。

設問3(4)

DNS-Bが受け取る通常のDNS問い合わせの送信元はDNSフルリゾルバです。機械のDNSクライアントとフルリゾルバがネットワーク上で離れていると、その送信元情報だけでは機械に適したエッジサーバを選びにくくなります。クライアントのサブネット情報を通知すれば選択を改善できます。公式解答例では、両者がネットワーク上で離れた位置にある場合を挙げており、この条件を50字以内で述べます。

設問3(5)(a)

ファームウェアの一斉更新では、多数の機械からWeb-BへGETリクエストが集中します。エッジサーバがキャッシュを返すことでWeb-Bの処理負荷を軽減できるため、公式解答例では「Web-Bのサーバ処理能力不足」を挙げています。20字以内では、この処理能力不足を要因として示します。

設問3(5)(b)

国内外の機械が国内のWeb-Bへ直接アクセスすると、通信経路による遅延がTATを悪化させます。適したエッジサーバからファームウェアを取得すれば、この遅延の改善が期待できます。公式解答例では「機械とWeb-B間の通信遅延」を挙げており、20字以内で通信遅延を要因として示します。

設問4(1)

転用した業務サーバをWeb-Aの処理に参加させるには、DMZへの接続に加えてLBの振り分け先に含める必要があります。下線(vi)は、決めたIPアドレスを使う準備を問うため、公式解答例では、転用後の業務サーバのIPアドレスをLBの振り分け先に追加しておくとしています。40字以内では、追加するアドレスと追加先を明記します。

設問4(2)

CDNを適用していないとき、図6の本運用用レコードはWeb-Bのグローバルアドレスi6を返します。DR時には、本運用用の名前を保ったまま、Web-Aへの入口であるFWの外部側アドレスi1へ切り替えます。公式解答例では、置換え前が「weblive IN A i6」、置換え後が「weblive IN A i1」です。プライベートアドレスのLBを直接指定するのではありません。

設問4(3)(a)

図7では、転用する業務サーバを内部NWからDMZへ論理的に移します。SDNによって物理配線を変更せずに構成を変えられるため、配線作業にかかる時間を減らせます。公式解答例では物理配線の変更が不要になる点を挙げており、30字以内なら「転用する業務サーバの物理配線変更が不要」と要点を示せます。

設問4(3)(b)

本文では、現行のNW機器運用はベンダに委託していますが、拡張後は自社要員がOFCの管理ソフトウェアで構成を変更します。自社要員だけで復旧対応できることがRTO短縮につながります。公式解答例ではこの点を挙げており、30字以内なら「管理ソフトウェアで社内要員だけで対応できる」と示せます。採点講評でも、自社要員だけで構成変更できる点への着目を求めています。

設問4(4)

国外拠点のバックアップを利用するには、IaaS環境だけでなく、ISP・CDNとDNSによるアクセス先の切替えも準備する必要があります。公式解答例では、CDN・ISP・IaaS環境の構築と切替えについて、APIサービスとDNSを使う手順の確立を挙げています。50字以内では「APIとDNSを用いたCDN・ISP・IaaS環境の構築・切替手順を確立する。」と要点をまとめられます。採点講評では、一部の切替作業だけを述べる解答が目立ったとしています。

設問4(5)(a)

自社設備利用DR案の工場も、通常利用するB社拠点も国内にあります。国外拠点を利用すれば、国内の広域災害による影響を回避できることが利点です。公式解答例ではこの地理的な分散を挙げており、30字以内では「国外拠点により国内の広域災害の影響を回避できる」と示せます。

設問4(5)(b)

自社設備利用DR案では、試行環境Web-Aの性能不足に備えてサーバを転用します。国外拠点のIaaS環境とB社CDNなどを使えば、通常時と同じ品質を保つことができます。公式解答例ではこの点を挙げており、30字以内では「B社CDNなどを使い通常時と同じ品質を保てる」と示せます。採点講評では、IaaS利用とNW運用業務のアウトソーシングを混同した解答を指摘しています。

学習のポイント

通信方向を追いながらMAC・IPアドレスとVLANの変化を整理し、SDNの識別条件とAction、DNS・APIによる運用を理解することが重点です。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

関連する過去問一覧

IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針