NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
平成28年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題





解き方のヒントを見る
移行設計を整理する一つの視点
メール基盤の更改では、個別の設定値を先に決めず、現状の依存関係と変更の影響範囲を整理し、切替前後で確認すべき観点を時系列に並べて考えることが重要です。関係者間の前提もそろえます。
この問題で問われていること
この問題では、構成要素ごとの細部よりも、切替に伴って名前解決、到達性、継続運用へどのような影響が波及するかを、事前・切替時・切替後の順に確認する観点へ集中してください。
視点
変更対象と周辺の依存関係を分けて書き出し、利用者への影響、障害時の戻し方、確認の担当とタイミングを同じ枠組みで比較すると、設計上の抜けを見つけやすくなります。
確認ポイント
- 切替前後で確認する対象と順序が整理されているか
- 通常時だけでなく障害や想定外の状況も検討に含めているか
- 関係者が同じ前提で影響範囲と確認方法を共有できるか
正解と解説を見る
解説
老朽化したメールサーバを、DNS・FW・VRRP・LDAPを活用して負荷分散と冗長化を実現しながら、新旧サーバを並行稼働させて移行する問題です。
問題の全体像
D社は、旧MSVで運用しているメールサービスを2台の新MSVへ更改する。現行NWではDNSのプライマリ・セカンダリ構成、MGWからMSVへのSMTP転送、LDAPによるメールルーティングが使われている。更改後は、共用ストレージ、VRRP、DNSラウンドロビンによって新MSVの負荷分散と冗長化を行い、移行期間中は旧MSVと新MSVを並行稼働させる。出題の狙いは、メール、DNS、FW、冗長化、利用者設定、LDAPをサービス全体として捉え、適切な通信経路と移行手順を設計する力を問うことです。
設問1(1)(a)
本文では、プライマリDNSがセカンダリDNSへNOTIFYメッセージを送信し、それを契機に処理が行われるとある。DNSのゾーン情報をセカンダリDNSへ複製する処理なので、公式解答例は「ゾーン転送」としている。
設問1(1)(b)
表1の項番1と2は、MGWとMSVの間でメールを転送する通信です。メールサーバ間の転送に用いるプロトコルを問うため、公式解答例は「SMTP」としている。
設問1(2)
DNS3は公開ゾーン情報だけを保持するセカンダリDNSであり、DNS1はプライマリDNSです。DNS3がDNS1から公開ゾーン情報を取得するため、宛先は図1の「DNS1」となる。
設問1(3)
項番4は、DNS1からDNS3へのDNSプロトコル通信です。DNS3が公開ゾーン情報を保持するため、送信される情報は公式解答例の「公開ゾーン情報の更新通知」となる。15字以内なので、公開ゾーン情報と更新通知の関係を簡潔に書く。
設問1(4)(条件)
DNSラウンドロビンでは、問い合わせ元ごとにDNSキャッシュが宛先を保持する。送信元が少数だと、選択される宛先の数も少なくなり、負荷の偏りが生じやすい。公式解答例は条件を「送信元が少数の場合」としている。
設問1(4)(理由)
一度選ばれた宛先は、送信元側のDNSキャッシュが生存している間、再問い合わせなしに使われ続ける。そのため、同じMSVへの転送が長時間継続する。公式解答例も、DNSキャッシュの生存中は宛先を変えない点を理由としている。
設問2(1)(d)
VRRPg1は新MSV1を通常時の優先側にし、VRRPg2は新MSV2を通常時の優先側にすることで、2台へのPCアクセスを分散する。したがって【d】は公式解答例の「新MSV1」となる。
設問2(1)(e)
VRRPg2では新MSV2の優先度を高くし、VIP2を通常時に新MSV2が保持する。これによりVRRPg1と異なるサーバへアクセスを分散できるため、【e】は「新MSV2」となる。
設問2(2)
PCは共通ホスト名msvcを使用し、DNSラウンドロビンで2件のAレコードを使い分ける。各レコードは同じホスト名msvcに、それぞれのVRRP仮想IPであるVIP1とVIP2を対応付ける。
設問3(1)(機器名)
図3では新MSVが追加され、MGWから新MSVへメールを転送する必要がある。本文はDNSとMGWを除く機器を問うため、許可通信を制御する「FW」が該当する。
設問3(1)(設定変更内容)
移行中は旧MSVと新MSVの双方がメール送受信を行うため、FWで新MSVとMGWの間のSMTP通信を双方向に許可する。公式解答例もこの通信許可を示している。
設問3(2)
移行期間中は、メールサーバ変更済み社員と未変更社員が混在し、社外との送受信も継続する。したがって、例えば送信元を変更済み社員または社外、宛先を未変更社員とする組合せが成立する。新MSVもLDAPを参照しないと、宛先が旧MSVにあるメールを適切に旧MSVへ転送できない。
設問3(3)(ア)
社外から未変更社員へのメールは、MGWから通常の新MSVへ入り、新MSVがLDAPを参照して宛先のMBOXを収容する旧MSVへルーティングする。したがって経路は「新MSV → 旧MSV」となる。
設問3(3)(イ)
未変更社員のPCは、メールソフトの設定が旧MSVのままなので、まず旧MSVへ送信する。その後、旧MSVからMGWを経由して社外へ送信されるため、【B】は「旧MSV」となる。
設問3(4)
移行工程では、申請を受けた社員について、LDAPに登録されたメールアドレスと収容MSVの対応を変更する。公式解答例は、申請者のメールアドレスに対応するメールサーバを新MSVへ変更するとしている。
学習のポイント
DNSの役割分担とメール移行時の経路設計を、図と本文から正確に読み取る力を身に付ける。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針