NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
平成28年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
前提条件の範囲をそろえて考える
電子メールに関する内容を検討するときは、判断の根拠となる前提条件の範囲に注目しましょう。ある条件で成り立つ説明を、異なる条件にも当てはまるものとして受け取っていないか、立ち止まって確かめることが大切です。
この問題で問われていること
今回の検討では、示されている条件と、自分が補って考えている条件を区別することに集中しましょう。知っている用語から先に結論を決めず、その判断がどの前提に依存しているのかを、自分の言葉で確認してみてください。
視点
前提条件は、判断を適用できる範囲を考えるための手掛かりです。明示された条件と経験から補った条件を分けて整理すると、判断の根拠を確認しやすくなります。
確認ポイント
- 判断に使う条件を把握できているか
- 明示されていない条件を補っていないか
- 判断の前提を自分の言葉で説明できるか
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解説
B社からA社のメールサーバを安全に利用するため、OP25Bの制約を踏まえてSMTP-AUTHと587番ポートを使い、STARTTLSで送受信を暗号化する問題です。さらに、SPFで送信元メールサーバのIPアドレスを確認する仕組みを問います。
問題の全体像
A社は、自社ドメインのメールを使うサポート業務をB社へ委託します。B社は動的グローバルIPアドレスでインターネットに接続するため、A社のMSV3へ通常のSMTPで送信するとQ社のOP25Bにより遮断されます。そこで、ユーザ認証、587番ポート、STARTTLSを組み合わせ、認証された利用者に外部宛ての転送を許可します。さらにSPFを導入し、送信元の正当性を確認します。公式の出題趣旨では、安全な電子メールシステムの構築に必要な能力を問うとされています。
設問1(ア)
公式解答例では「MX」です。着目するのは、外部のメールサーバがDNSの資源レコードに従ってA社ドメイン宛てのメールを転送するという記述です。MXレコードは、そのドメインのメールを受け取るメールサーバを指定します。ホスト名に対応するIPアドレスを示すレコードと、メール配送先を指定するレコードの役割を区別しましょう。
設問1(イ)
公式解答例では「MSV3」です。本文では、A社がMSV3を立ち上げ、自社ドメインa-sha.co.jpでメールシステムを運用していると説明されています。したがって、外部からA社ドメイン宛てに配送されたメールを受け取り、A社内PCがPOP3で取得する先はMSV3です。DNS3は配送先を調べるための情報を提供するサーバです。
設問1(ウ)
公式解答例では「MSV2」です。B社は社内にメールサーバをもたず、Q社のメールサービスを利用しているという条件に着目します。ネットワークの概要と図1では、Q社がメールサービスに用いるサーバはMSV2と示されています。会話は委託に伴う変更前のB社の運用を説明しているので、送信と受信に利用するのはMSV2です。
設問1(エ)
公式解答例では「SMTP-AUTH」です。本文の「SMTPプロトコル上でユーザ認証を行う方式」が直接の手掛かりです。SMTP-AUTHによって利用者を認証し、認証された利用者からのメールに外部宛ての転送を許可します。TLSは通信を暗号化する仕組みであり、ここで問われているユーザ認証の方式とは役割が異なります。
設問2(1)
公式解答例では「不正メールの踏み台にされてしまうリスク」です。下線①は、外部から受け付けたメールをA社ドメイン以外へ転送しないという制限です。この制限がなく、第三者が任意の外部宛てに転送できると、MSV3が迷惑メールなどの不正送信に悪用されます。25字以内の答案では、制限を外した結果として「不正メールの踏み台になる」という要素を押さえます。
設問2(2)
公式解答例では「ルータ4」です。OP25Bの条件は、Q社が動的に割り当てたIPアドレスから、Q社のサービスネットワーク外へ向かう宛先25番のSMTP通信を遮断することです。図1でB社からMSV3への経路をたどると、Q社のサービスネットワークからインターネットへ出る境界はルータ4です。この位置で遮断すれば、Q社内のMSV2を利用する通信と区別できます。
設問2(3)(オ)
公式解答例では「TCP」です。表1の禁止ルールは、宛先ポート番号25のSMTP通信を対象としています。SMTPはTCPを利用するため、プロトコル欄にはTCPを指定します。第2項のIPによる許可ルールと区別し、第1項では対象となるTCP通信を先に禁止する構成として読み取ります。
設問2(3)(カ)
公式解答例では「a.b.0.0/20」です。本文では、B社がこの動的IPアドレス割当てブロックから得たグローバルIPアドレスを、ルータ6のNAPTに使用するとあります。ルータ4に到達する通信の送信元は、NAPTで変換されたグローバルIPアドレスです。したがって、禁止ルールにはB社内の192.168.1.0/24ではなく、Q社の動的割当てブロックを指定します。
設問2(3)(キ)
公式解答例では「25」です。本文のOP25Bの定義に、サービスネットワーク外への「宛先ポート番号25のSMTP通信」を許可しないと明記されています。表1はこの条件をアクセスリストとして表現したものなので、宛先ポート番号は25です。後に採用する587番ポートは、この遮断対象とは異なります。
設問2(4)
公式解答例では「サブミッションポート」です。TCPの587番は、メールクライアントがメールサーバへ送信するメールを投稿するために用います。本問ではSMTP-AUTHで利用者を認証して受け付けます。採点講評では、この設問の正答率が低かったとされ、メール送信に用いる2種類のポートの使い分けと意味を、SMTP-AUTHと併せて理解するよう求めています。
設問2(5)(1)
公式解答例では、1種類目は「110」です。受信にはPOP3を用い、暗号化には接続後にTLSへ切り替えるSTARTTLS方式を採用するという条件に着目します。この方式では通常のPOP3の接続先であるTCPの110番を使用します。採点講評では、STARTTLS方式ではないTLS暗号化通信のポート番号を答えた誤答が指摘されており、POP3Sの995番との混同に注意が必要です。
設問2(5)(2)
公式解答例では、2種類目は「587」です。本文には、MSV3がTCPの587番ポートで接続を受け付け、その通信をTLSで暗号化すると明記されています。したがって、B社のPCからMSV3への送信を可能にするため、FWで外部からDMZへの宛先TCP587番を許可します。接続後に暗号化へ切り替えるので、暗号化するという理由だけで別のポート番号に置き換えないことが大切です。
設問3(1)
公式解答例では「MAIL FROM」です。SPFのために取得する送信元ドメインは、SMTPのMAIL FROMコマンドで示される送信者アドレスのドメイン部分です。これはSMTPの配送手続で使うエンベロープ送信者であり、メール本文とともに送られるFromヘッダとは区別します。採点講評では、特にこの設問の正答率が低く、SMTPの基本的なシーケンスの理解が必要とされています。
設問3(2)
公式解答例では「送信元メールサーバのIPアドレス」です。受信側は送信元ドメインのSPFレコードをDNSから取得し、SMTP接続してきたメールサーバのIPアドレスが、そのドメインからの送信を許可されたものか照合します。図2では、A社のMSV3のアドレスx.y.z.1を許可し、その他は不許可としています。20字以内の答案では、照合対象を「送信元メールサーバのIPアドレス」と具体的に示します。
学習のポイント
SMTPの配送と投稿の違い、NAPT後の送信元アドレス、STARTTLSのポート番号、MAIL FROMとSPFの関係を重点的に学習しましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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