NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
平成27年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題










解き方のヒントを見る
条件の適用範囲をそろえて考える
この分野を考えるときは、記述された条件がどの範囲に当てはまるのかを意識しましょう。ある条件の下で述べられた内容を、別の範囲にもそのまま当てはめていないか確認すると、考える土台を整理できます。
この問題で問われていること
検討の中心を、条件とその適用範囲の対応に置いてみてください。用語から内容を補う前に、与えられた情報のどこまでが明示されているかを押さえ、書かれている範囲と自分が広げた解釈を分けて考えましょう。
視点
検討中の内容と、それを支える条件を結び付けて整理します。条件の適用範囲が明示されている部分と、まだ判断を保留する部分を区別しておくと、解釈を必要以上に広げずに考えられます。
確認ポイント
- 条件が当てはまる範囲を把握しているか
- 明示された範囲と自分の推測を分けているか
- その範囲を越えて内容を一般化していないか
正解と解説を見る
解説
本問は、ISPのIPv4アドレス不足とIaaS基盤の拡張に対し、NAT444とVXLANを適用する問題です。NATによる通信への影響、マルチキャストの参加管理、VTEP間の通信を、問題文と図表から説明することが要点です。
問題の全体像
Y社は、顧客増加に伴うグローバルIPv4アドレスの不足と、IaaS基盤のVLAN数の制限及びVM移動への対応という課題を抱えています。前半ではNAT444によるアドレス節約とアプリケーション・IPsecへの影響を、後半ではマルチキャスト通信を踏まえたVXLANの導入を検討します。公式の出題趣旨では、本文で説明された技術の仕組みや動作を理解し、実務に適用できるかを問うとされています。基本的な通信原理を図表の具体的な構成に当てはめることが重要です。
設問1(a)
図2にある、顧客宅のプライベートIPアドレス、CPEとCGN装置間のシェアードアドレス、インターネット側のグローバルIPアドレスに着目します。三つのアドレス領域の境界で、CPEとCGN装置がそれぞれNATを実行します。公式解答例では「3」です。NATの実行回数である2と、アドレス領域の数である3を区別します。
設問1(b)
本文では、TCP/UDPポート番号を複数の顧客に分配することで、1顧客が使用できるポート数が制限されると説明しています。公式解答例では、ポート番号のビット数は「16」です。16ビットで表現できる値は65、536通りなので、1顧客に10、000ポートを割り当てるという本文の条件では、一つのグローバルIPアドレスを約6顧客で共有する説明につながります。
設問1(c)
「サーバからクライアントが指定したポートに対してTCPコネクションの確立を試みる」という通信方向に着目します。公式解答例では「アクティブ」です。FTPのアクティブモードでは、データ転送用の接続をサーバ側から開始するため、NATが介在する環境で問題になり得ます。採点講評でも、この空欄は正答率が低く、FTPのモードを理解してほしいとされています。
設問1(d)
空欄はIPv4のマルチキャストIPアドレスのクラスを問うものです。図4及び図5では、マルチキャストグループとして224.1.1.1を使用しています。公式解答例では「D」です。本文の「クラス」に続けて答えるため、答案にはDを記入します。
設問1(e)
本文は、マルチキャストIPアドレスから生成される宛先アドレスを使って、NICがフレームを受信する動作を説明しています。図4では、宛先IPアドレス224.1.1.1に対応する宛先MACアドレスが01-00-5e-01-01-01となっています。公式解答例では「マルチキャストMACアドレス」です。IPパケットの宛先と、イーサネットフレームの宛先を区別して読み取ります。
設問2(1)
図2のCPEを挟む二つのネットワークに着目します。CPEとCGN装置間にもプライベートIPアドレスを使うと、顧客宅のPCが属するネットワークとアドレス範囲が重複する可能性があります。公式解答例では、このネットワークアドレスの重複を挙げています。50字以内の答案例は「PCのネットワークアドレスと、CPEとCGN装置間のネットワークアドレスが重なった場合。」です。指定された機器名称を使い、どの二つの領域が重なるかを明確にします。
設問2(2)
複数の顧客がグローバルIPアドレスを共有し、IPアドレスとポート番号の対が変換されるという本文に着目します。公式解答例では「送信元IPアドレス」「送信元ポート番号」「アクセス時刻」の三つです。Webサーバが記録する送信元IPアドレスとポート番号は、NAT変換後にサーバ側で観測される値です。顧客宅のNAT変換前の値を記録するという意味ではありません。共有IPアドレスだけでは通信元を区別できず、ポート番号と、その値が使われた時刻も必要になります。三つの語句はそれぞれ10字以内です。
設問3(1)
表1のAHの認証エラーについて、NATによって変更されるIPアドレスが認証対象に含まれる点に着目します。公式解答例では、IPヘッダが認証対象なので、IPアドレスの書換えによって認証データと計算値が一致しなくなると説明しています。60字以内の答案例は「IPヘッダが認証対象であり、NATによるIPアドレス変更で認証データが計算値と一致しなくなるから。」です。認証対象、変更される情報、不一致という因果関係を示します。
設問3(2)
図3のESPの暗号化範囲に着目すると、トランスポートモードとトンネルモードのどちらでもTCP/UDPヘッダが暗号化されています。公式解答例では、ポート番号が暗号化されて分からないこと、又はESPヘッダ自体にポート番号が存在しないことを理由として示しています。50字以内の答案例は「TCP又はUDPヘッダが暗号化され、ポート番号が分からないから。」です。UDPでカプセル化するNATトラバーサルでは、外側に変換可能なポート番号を持つUDPヘッダを付加します。
設問3(3)
本文の、ISAKMPのポート番号を500から4500に変更し、その後NATによって送信元ポート番号が変換されるという記述に着目します。受信側が送信元ポート番号を500又は4500に限定すると、変換されたメッセージを受信できません。公式解答例では、それ以外の送信元ポート番号も受信できる設定にするとしています。50字以内の答案例は「送信元ポート番号が500、4500以外のISAKMPメッセージも受信できるようにする。」です。変更対象は送信元ポート番号に対する受信条件です。
設問4(1)
図4では、宛先MACアドレスはマルチキャストですが、送信元MACアドレスはVSMAC又はRT1MACです。L2SWの通常のMACアドレス学習は、受信フレームの送信元MACアドレスを基に行われます。公式解答例では、マルチキャストMACアドレスは送信元アドレスにならないためとしています。40字以内の答案例は「マルチキャストMACアドレスが送信元アドレスにならないから。」です。採点講評でも、送信元はユニキャストであり、スイッチは送信元MACアドレスを学習する点が強調されています。
設問4(2)
図5では、ビデオサーバは画像データをマルチキャストで送信する側です。一方、受信するグループへの参加・離脱を通知するのはPCであり、PCがIGMP join又はleaveメッセージを所属サブネットのルータへ送信します。ルータ1はその通知を受信します。公式解答例では、ビデオサーバが送信する側であることを理由としています。35字以内の答案例は「ビデオサーバはマルチキャストパケットを送信する側だから。」です。図5の役割に即して説明します。
設問4(3)(ア)
表2の空欄は、IGMPスヌーピングによって作成するグループ224.1.1.1のマルチキャストエントリです。図5の①と②では、このグループへのjoinメッセージの宛先MACアドレスが01-00-5e-01-01-01と示されています。公式解答例も「01-00-5e-01-01-01」です。③のleaveメッセージの宛先01-00-5e-00-00-02はルータへの通知に使うアドレスなので、対象グループのエントリと区別します。
設問4(3)(イ)
初期状態では、どのPCも対象グループに参加していません。図5の①はp1に接続されたPC1のjoinなので、登録されるポートはp1です。②はp3に接続されたPC3のjoinなので、p1とp3になります。③はPC1のleaveなのでp1が除かれ、p3だけが残ります。公式解答例では、①受信後「p1」、②受信後「p1、p3」、③受信後「p3」です。送信元MACアドレスの通常の学習と、IGMPの内容に基づくグループ参加ポートの更新を区別します。
設問5(1)
本文の「24ビットのVNI」と「VNIごとにVXLANセグメントが構成される」という記述に着目します。公式解答例では、2^24のVXLANセグメントを構成できること、又は膨大な数の論理セグメントを構成できることを理由としています。25字以内の答案例は「膨大な数の論理セグメントを構成できるから。」です。顧客の通信路を分離する識別子として、VLAN IDより多数の値を表現できる点が要点です。
設問5(2)
図8の(ii)は、VM3のMACアドレスを取得するARP要求を転送する段階です。通信先VMが存在する場所がまだ不明なので、送り先のVTEPをユニキャストで指定できません。公式解答例に沿う20字以内の理由は「宛先VMの存在場所が不明だから。」です。図7ではVM2とVM3はVNI5002に属し、対応するグループは224.1.1.2です。外側の宛先IPアドレスは「224.1.1.2」、送信元IPアドレスは送信するVTEP1の「10.0.0.254」です。
設問5(3)
VM3が移動すると、VTEP2はVM3が属するVNI5002に対応したマルチキャストグループ224.1.1.2のパケットを受け取る必要があります。図7でVTEP2の接続先はL3SW2です。公式解答例では、L3SW2にグループ224.1.1.2のIGMP joinメッセージを送信するとしています。60字以内の答案例は「L3SW2に、グループ224.1.1.2のIGMP joinメッセージを送信する。」です。通知先、参加するグループ、メッセージの種類を明記します。
設問5(4)
全てのVTEP間通信をマルチキャストにすると、通信を必要としない箇所にもパケットが転送され、規模が大きいほど転送負荷が問題になります。公式解答例では、不要なマルチキャストパケットによってL3SWやネットワークの負荷が高まるとしています。60字以内の答案例は「不要なマルチキャストパケットの転送により、L3SWやネットワークの負荷が高まる。」です。(vi)のARP応答はVTEP2からVTEP1へユニキャストで返すため、外側の宛先IPアドレスは「10.0.0.254」、送信元IPアドレスは「10.10.0.254」です。
学習のポイント
NAT後に観測される通信情報、IPsecの認証・暗号化範囲、MACアドレス学習、IGMPの通知方向、VXLANの外側IPアドレスを重点的に学習します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成27年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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