NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ
平成25年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅱ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題











解き方のヒントを見る
通信に関する条件の適用範囲を確認
通信について考えるときは、示された条件がどの範囲に適用されるのかに着目しましょう。ある範囲についての情報を、別の範囲にも当てはめていないか確かめると、前提を保ちながら考えを整理できます。
この問題で問われていること
検討の軸は、条件とその適用範囲の対応です。扱っている対象を一度言葉にし、その対象について与えられた条件を整理してみましょう。考えを進める途中でも同じ範囲を扱っているか、立ち止まって確認してください。
視点
条件を理解する際は、内容だけでなく、その条件が及ぶ範囲も合わせて捉えます。推論の途中で範囲が変わると、前提と結論のつながりを見失いやすくなります。まずは条件と範囲の対応を自分の言葉で整理しましょう。
確認ポイント
- 条件が適用される範囲を把握できているか
- 範囲を広げる前提を勝手に加えていないか
- 考えの途中で対象範囲が変わっていないか
正解と解説を見る
解説
部門ごとの開発ネットワークを、IPアドレスを変更せず共用基盤に移行する問題です。仮想化方式の特徴、OF方式の制御メッセージ、ARPによる誤登録、IEEE 802.1X認証と転送制御の組合せを理解することが要点です。
問題の全体像
F社とG社は合併を機に、開発部門が個別に運用していたシステムを一括管理する社内クラウドへ移行します。既設機器を活用し、部門間で重複するIPアドレスも変更しないため、共用する物理ネットワーク上で部門ごとのテナントネットワークを分離する必要があります。公式の出題趣旨では、ネットワーク仮想化技術の特徴、テナントネットワーク実現上の課題、従来の接続認証技術との融合が問われています。採点講評では、新技術の知識だけでなく、ARPやIEEE 802.1Xの基本動作に基づいて具体的な通信を分析する理解が重視されています。
設問1(1)(a)
空欄直前の「どちらもソフトウェアで定義できる」に着目します。オーバレイ方式とOF方式を共通の考え方で捉えた名称が求められています。公式解答例では「SDN」又は「Software Defined Network(ing)」です。OF方式だけの名称を答えるのではなく、ソフトウェアでネットワークを定義するという本文の説明と対応させます。
設問1(1)(b)
表2の転送機能は、宛先MACアドレスが指定値のとき、指定された物理ポートからパケットを送信するものです。MACアドレスに基づくレイヤ2の転送に相当するので、公式解答例では「ブリッジ」又は「レイヤ2スイッチ」です。着目する識別情報は宛先IPアドレスではなく、宛先MACアドレスです。
設問1(1)(c)
表2のパケット書換え機能では、宛先IPアドレスを条件に、宛先MACアドレスを書き換えて指定ポートから送信します。これはIPアドレスに基づいて転送先を決め、次の転送先に合わせたMACアドレスで送り出す機能に相当します。公式解答例では「ルータ」又は「レイヤ3スイッチ」です。MACアドレスを書き換えるという一部分だけでなく、判断条件がIPアドレスであることと組み合わせて読みます。
設問1(2)(ア)
図3のオーバレイ方式では、レイヤ2フレームをカプセル化した接続用トンネルが使われています。既設サーバを接続する場合、サーバ接続用スイッチが通常のフレームとトンネル内のフレームとの境界を担う必要があります。公式解答例では「接続用トンネルを終端」又は「カプセル化用ヘッダを追加・削除」です。20字以内では、トンネルの終端又はヘッダの追加・削除という具体的な処理を示します。
設問1(2)(イ)
表3の「転送用ヘッダの追加」に着目します。オーバレイ方式ではカプセル化によってパケットが大きくなるため、拠点間の中継路で転送可能な大きさを超える可能性があります。公式解答例では「中継路でのフラグメンテーション発生」です。20字以内では、ヘッダ増加そのものではなく、それによって中継路で発生し得る分割処理を答えます。
設問1(3)
求められているのは、TRILL方式と比較した経路選択の具体的な柔軟性です。本文と表3では、OF方式はOFCによって各OFSの転送を制御でき、柔軟な経路制御が可能とされています。公式解答例では「最短経路以外の経路が利用できること」です。20字以内では「柔軟に制御できる」と繰り返すだけでなく、最短経路以外も利用できる点を明示します。
設問2(1)
表1にあるFlow Modはf-TBLの登録・更新、Packet Outは指定ポートからのパケット送信を指示するメッセージです。下線①のユニキャストでは、経路上のOFSa・OFSb・OFScに転送規則を設定し、問い合わせの対象となった最初のフレームも送信させます。公式解答例では、①の(A)は「Flow Mod、Packet Out」、(C)は「Flow Mod」です。注記では、Packet Outを(A)の代わりに(C)で使用してもよいとされています。下線②では、OFCがARP要求の複製を同一テナントの端末が接続されたOFSへ直接渡し、Packet Outで送信を指示します。送信元PC1以外に同一テナントの端末がないOFSaへの指示は不要なので、②の(A)は「なし」、(C)は「Packet Out」です。
設問2(2)
図4では、PC3とPC4がOF方式に非対応の同じL2SWに接続されています。PC1のARP要求をPC3へ届けるためにこのL2SWへ送ると、別テナントのPC4にも届きます。PC4とPC7のIPアドレスが同じなら、PC4も自分への要求として応答し、その応答がPC1へ転送される可能性があります。公式解答例では、PC1がPC4のMACアドレスをPC7のものとして登録してしまう点を挙げています。50字以内の答案では「PC1が別テナントのPC4のMACアドレスをPC7のものとして登録する」のように、誤登録する端末と取り違えるMACアドレスを明示します。
設問2(3)
ここでは、PC4がARP要求の宛先でなくても、要求に含まれる送信元IPアドレスと送信元MACアドレスを学習し得る点が重要です。PC1のARP要求がL2SWを通じてPC4へ漏れると、PC4はその送信元情報を参照します。PC1と、PC4と同じテナントに属するPC2のIPアドレスが重複しているため、PC1のMACアドレスをPC2のものとして登録する可能性があります。公式解答例もこの誤登録を示しています。50字以内では「PC4が別テナントのPC1のMACアドレスをPC2のものとして登録する」と整理できます。採点講評では、この設問の正答率が低く、ARPテーブルの登録・更新動作の理解が必要とされています。
設問3(1)
本文では、OFCが機器のMACアドレスと所属テナント、接続ポートの所属テナントを管理しています。受信パケットの送信元MACアドレスを、そのポートで接続を許可するテナントの一覧と照合し、登録のないものを通さないようにします。公式解答例では「登録されていない送信元MACアドレスのパケットを破棄させる」です。35字以内では、送信元MACアドレスを判定に使うことと、非許可パケットを破棄させることを示します。
設問3(2)
図5では、PCと認証SWの間に中継SWがあります。認証を成立させるには、特別のMACグループアドレスを使うEAPフレームが中継SWで止められず、PCと認証SWの間を通過できる必要があります。公式解答例では「EAPフレームの透過転送機能」です。20字以内では、この機能名を示せば必要な要素を押さえられます。採点講評でも、EAPフレームの透過転送に関する基本動作の理解が課題として挙げられています。
設問3(3)(セキュリティ問題)
図5の中継SW配下の複数PCは、認証SWの同じポートを共有しています。ポートベース認証では、1台のPCの認証によって共有ポートの通信が許可されると、後から接続した別のPCも認証を受けずに通信できる問題が生じます。公式解答例では、この後続PCの未認証接続を指摘しています。35字以内では「1台が認証されると、後続のPCが認証なしで接続できる」と、認証の契機と問題をまとめます。
設問3(3)(対処方法)
OF方式では、ポート全体の許可に加えて、フレームのMACアドレスを条件にした転送制御を設定できます。認証が成功したPCのMACアドレスをf-TBLに反映し、そのPCの通信だけを許可すれば、同じポートを共有する未認証PCの通信を防げます。公式解答例では、認証されたPCのMACアドレスをf-TBLに反映させ、転送を許可する方法です。40字以内では「認証されたPCのMACアドレスをf-TBLに反映し、転送を許可する」と、認証結果と転送制御の結び付きを示します。
設問3(4)
図6では、OFS1が受けたEAPOL-StartやEAP-ResponseをPacket InでOFCへ送り、OFCがRADIUSサーバとの認証情報の交換を行っています。また、PCへのEAP-RequestやEAP-Successも、OFCからPacket Outで送信を指示しています。この認証のやり取りを担う機器がオーセンティケータなので、公式解答例は「OFC」です。PCに物理的に近いOFS1と、認証処理を担うOFCを区別して図を読みます。
設問3(5)
本文にあるリンクアップ検出による認証開始は、認証SWがPCの接続を検出できることが前提です。図6ではPCが中継SWに接続されるため、PC側ポートがリンクアップしても、その変化を上流の認証SWでは検出できません。そのためPCからEAPOL-Startを送って認証開始を知らせる必要があります。公式解答例もこの検出不能を理由としています。50字以内では「中継SW経由ではPC側ポートのリンクアップを認証SWが検出できないから」とまとめます。
設問3(6)(D)
図6の(D)は、PCのDHCPDISCOVERがPacket InでOFCに届いた後、OFCが仮想SWへPacket Outを送る処理です。DHCPDISCOVERはブロードキャストなので、仮想SWから、受信元へ戻す入力ポートを除いた送出先へ転送させます。公式解答例では「DHCPDISCOVER用ブロードキャストフレームを入力ポート以外のポートへ送出する」です。55字以内では、フレームの種類と入力ポートを除く出力先の両方を示します。テナントネットワーク内のブロードキャストとして読むことも重要です。
設問3(6)(E)
図6の(E)は、PC宛てのDHCPOFFERが仮想SWからPacket InでOFCに通知された後、OFCがOFS1へFlow Modを送る処理です。PCへ向かうユニキャストフレームをOFS1のPC側ポートへ出力するよう、f-TBLのRuleとActionを設定します。公式解答例では、入力されたPC宛てユニキャストフレームをOFS1のPC側ポートから送出する設定です。55字以内では「PC宛てユニキャストフレームをOFS1のPC側ポートへ送出するようf-TBLを設定する」と整理し、Flow Modによる規則設定を示します。
学習のポイント
ARP要求でも送信元情報を学習する点と、認証判断を行うOFC及び転送を実行するOFSの役割分担を重点的に学習します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成25年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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