DBデータベーススペシャリスト試験 午後Ⅰ
令和7年度秋期 データベーススペシャリスト 午後Ⅰ 問1 大学の学習管理システムの概念データモデリング
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



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要件の記述とモデル要素の対応付け
データモデルを完成させる問題では、知識の暗記よりも、与えられた業務要件の記述一つ一つがモデル上のどの要素に反映されるべきかを丁寧に追跡することが重要です。追加された要件も含め、根拠となる記述を必ず確認しましょう。
この問題で問われていること
確認すべき観点は一つ、「各要件の記述が、モデルや関係スキーマのどこに根拠として現れるか」です。解答を決める前に、その箇所に関係する要件の文を特定し、記述と結論が矛盾していないかを照合してください。
視点
概念データモデルは業務上の事実を、関係スキーマはそれを表として実装する形を表します。両者は同じ要件から導かれるため、一方で読み取った内容は他方とも整合しているはずです。要件の文言を根拠にして、両者の間に食い違いがないかという観点で見直すと、思い込みによる判断を避けやすくなります。
確認ポイント
- 判断しようとしている箇所について、根拠となる要件の文を具体的に指し示せるか
- もともとの要件と後から加わる要件の双方を、読み落とさずに照合できているか
- 概念データモデル側と関係スキーマ側の判断が、同じ要件の読み取りに基づいて一致しているか
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解説
大学の学習管理システムを題材に、業務要件を概念データモデルと関係スキーマに落とし込む問題です。講義には「開講形態区分」「オンライン講義フラグ」「時間固定講義フラグ」の三つの切り口があり、切り口ごとのサブタイプ構造と、各サブタイプに正しく関連を付けることが中心です。スーパータイプの関係スキーマには、サブタイプを識別するための属性(冗長なら[]付き)を持たせます。また、レポート評価結果とテスト結果を汎化して評価結果とする設計変更についても問われます。
問題の全体像
T大学がオンライン講義用に急いで作った学習管理システムを見直す事例です。学部・学科・科目・開講科目・講義・デジタルコンテンツ・講義受講・テスト結果について、未完成の概念データモデル(図1)と関係スキーマ(図2)を完成させます。そのうえで、オンデマンド型講義にレポート課題を加えたときの関係スキーマ(図3)を設計します。出題趣旨では、業務要件をデータモデルと関係スキーマに反映する力と、新しい業務要件を加えたときにモデルを適切に変更する力を問うとしています。採点講評では、講義の複合的なサブタイプ構造とサブタイプごとのリレーションシップ(設問1(2))、スーパータイプでの切り口の属性(設問1(3))の正答率が低かったと述べています。
設問1(1)
公式解答例では、aは「教員講義補助」です。着目するのは5.(9)の「対面講義が演習又は実験の場合、科目担当教員に加えて、複数の教員が補助として入る場合がある」という記述です。1回の対面講義には複数の補助教員が入り、1人の教員も複数の対面講義を補助できるので、対面講義と教員は多対多の関係になります。多対多は使わないという指定があるため、両者を結ぶ連関エンティティが必要です。図1では対面講義からaへ1対多の線が引かれています。図2でも、aの主キーは講義のキー(キ)と教員番号の組合せです。こうした点から、対面講義の補助教員を表すエンティティタイプだと分かります。
設問1(2)
公式解答例で追加されたリレーションシップは次のとおりです。①教員→開講科目:4.(3)の「担当教員1名」を表す担当関係です。②教員→教員講義補助:補助に入る教員を表します。③開講科目→科目履修登録、④学生→科目履修登録:3.(2)の履修登録です。⑤講義から時間固定講義、講義から対面講義・リアルタイム型講義・オンデマンド型講義、講義からオンライン講義へのスーパータイプ/サブタイプの関係:開講形態区分、時間固定講義フラグ、オンライン講義フラグという三つの切り口に対応します。⑥オンライン講義→教材使用:6.(4)より、教材を使うのはリアルタイム型講義とオンデマンド型講義で、この二つを併せたものがオンライン講義だからです。⑦リアルタイム型講義→テスト問題使用:6.(6)に「テスト問題を用いるのはリアルタイム型講義だけ」とあるので、オンライン講義やコンテンツ使用ではなく、リアルタイム型講義との間に引きます。⑧テスト問題使用→テスト結果、⑨学生→テスト結果:7.(4)の、実施したテスト問題ごとの得点です。⑩学生→講義受講:7.(1)です。⑪時間固定講義→時間固定講義受講、⑫オンデマンド型講義→オンデマンド型講義受講:7.(2)と7.(3)で記録する内容がサブタイプごとに違うためです。なお、2.(2)の「教員は講義を実施する」は、公式解答例では教員と講義を直接結ぶ線では表していません。講義は開講科目に講義番号を付けて識別するので、担当教員は開講科目との担当関係(①)で表し、補助教員は教員講義補助との関係(②)で表します。採点講評が指摘するとおり、三つの切り口それぞれにサブタイプ構造を立てたうえで、指定②に従って、業務を実際に行うスーパータイプ又はサブタイプに線を引くことが要点です。
設問1(3)
公式解答例は次のとおりです。ア:接続先URL、担当教員番号(担当教員番号は外部キーで、破線の下線)。4.(3)で開講科目に登録する項目です。イ:開講年月日、[開講形態区分]。開講年月日は対面講義とリアルタイム型講義に共通なので、スーパータイプの時間固定講義に置きます。さらに、下位の対面講義とリアルタイム型講義を見分ける切り口として、講義から継承した開講形態区分を冗長属性として持たせます(5.(8)、指定⑥)。ウ:[開講形態区分]。オンライン講義も、リアルタイム型講義とオンデマンド型講義を見分けるために同じように持たせます。エ:開講場所(5.(6))。オ:オンライン教室ID(5.(5))。カ:動画視聴ファイル名、公開開始年月日時分、公開終了年月日時分(5.(4))。キ:学科コード、科目ID、年度、学期、講義番号。対面講義のキーで、教員番号と合わせて教員講義補助の主キーになります。ク:公開開始年月日、公開終了年月日(6.(4)の講義ごとの教材公開期間)。ケ:解答期限時刻、解答入力ページURL(6.(6))。コ:学科コード、科目ID、年度、学期、学籍番号、成績。開講科目のキーと学籍番号で履修登録を識別し、7.(5)の成績を持たせます。サ:受講年月日(7.(1))。シ:遅刻フラグ、早退フラグ(7.(2))。ス:受講完了年月日(7.(3))。採点講評では、イやウのようなスーパータイプの切り口の属性を答えられなかった解答が多かったとされています。図2の字下げは、その関係がスーパータイプであることを示唆しています。
設問2
公式解答例は次のとおりです。セ:課題観点記述。拡充(2)のとおり、レポート課題固有の属性です。ソ:レポート提出先URL、提出開始年月日、提出終了年月日。拡充(4)のとおり、講義ごとの出題で設定する項目なので、レポート課題出題に置きます。タ:評価年月日。拡充(5)で、テスト結果とレポート評価結果を汎化して評価結果にします。評価年月日は両方に共通するので、スーパータイプの評価結果へ移します。チ:得点。テスト結果に残る固有の属性です。現状のテスト結果にあった評価年月日は、スーパータイプに移ったので除きます。ツ:レポート評価。レポート評価結果固有の属性です。汎化では共通の属性をスーパータイプにまとめ、サブタイプには固有の属性だけを残す、という原則で考えます。
学習のポイント
問題文の「〜を用いるのは○○だけ」「○○では〜を設定する」を、どのサブタイプとの関連や属性になるかに対応付けて読む練習をしましょう。あわせて、スーパータイプ側に切り口の属性を置くことと、汎化したときに共通の属性をスーパータイプへ移すことを確実に身に付けます。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和7年度秋期 データベーススペシャリスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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