AUシステム監査技術者試験 午前Ⅰ

令和5年度秋期 システム監査技術者 午前Ⅰ 問22

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

販売管理システムにおいて,起票された受注伝票の入力が,漏れなく,かつ,重複することなく実施されていることを確かめる監査手続として,適切なものはどれか。

選択肢

  1. ア
    受注データから値引取引データなどの例外取引データを抽出し,承認の記録を確かめる。
  2. イ
    受注伝票の入力時に論理チェック及びフォーマットチェックが行われているか,テストデータ法で確かめる。
  3. ウ
    販売管理システムから出力したプルーフリストと受注伝票との照合が行われているか,プルーフリストと受注伝票上の照合印を確かめる。
  4. エ
    並行シミュレーション法を用いて,受注伝票を処理するプログラムの論理の正確性を確かめる。
解き方のヒントを見る

監査目的と手続の対応を見極める

システム監査の問題では、監査手続が確かめている内容と、問われている監査目的とが一致しているかを見極めることが重要です。手続の名称や一般的な有効性ではなく、何の不備を検出できるかという観点で整理してみましょう。

この問題で問われていること

問われているのは、入力データに関する複数の監査目的のうち指定されたものを、ある監査手続が実際に検証できるかという対応関係です。似た目的を検証する手続と混同しないよう、手続が生み出す証拠の性質に着目します。

視点

システム監査では、まず監査目的がどのような誤りや不正の発生を想定しているかを明確にし、次にその誤りが実際に存在した場合に、ある手続を実施すると検出できるかを考えるのが基本的な検討手順です。どの手続も何らかの統制を確かめますが、確かめられる対象は手続ごとに異なります。手続そのものが適切かどうかではなく、問われている目的に対して証拠として機能するかという一点で判断することが大切です。

確認ポイント

  • 問われている監査目的が、どのような誤りや欠落の発生を想定したものかを自分の言葉で言い直せるか
  • 検討している手続を実施した場合、どのような不備が見つかるのかを具体的に想像できるか
  • 監査手続として妥当であっても、問われている目的とは別の監査目的に対応するものを選んでいないか
正解と解説を見る

正解

ウ

解説

入力の漏れや重複を確かめるには、起票された受注伝票と入力結果を突き合わせる必要があります。プルーフリストと受注伝票との照合が行われたかを照合印で確かめるウが適切です。

理由

プルーフリストは、システムに入力された内容を出力した一覧です。これと起票済みの受注伝票を1件ずつ突き合わせると、入力漏れや二重入力を見つけられます。照合印は、業務担当部門がこの照合作業(内部統制)を実施したことを示す記録です。監査人は照合印を確かめることで、入力の網羅性と重複防止に関する統制が実際に運用されているかを評価できます。

比較

アは例外取引が承認されているか(正当性)、イは入力値の形式や整合性のチェック機能(正確性)、エはプログラムの処理論理の正確性を確かめる手続です。いずれも既に入力されたデータやプログラムの機能を対象にしていて、起票された伝票が過不足なく入力されたかは確かめられません。

選択肢ア

これは不正解だよ。例外取引データを抽出して承認記録を確かめるのは、値引などの取引が権限者に承認されているか、つまり取引の正当性(承認統制)を確かめる手続だよ。抽出元は既に入力された受注データだから、起票された伝票の入力漏れや二重入力(網羅性・重複の有無)は確認できないよ。

選択肢イ

これは不正解だよ。論理チェックやフォーマットチェックは、入力された項目値の形式や整合性を検査する、入力段階の正確性に関する統制だよ。テストデータ法でその機能を確かめても、伝票が1件ずつ入力されたか、同じ伝票が二度入力されていないかは分からないから、設問の網羅性・重複の確認には当たらないよ。

選択肢ウ(正解)

これは正解だよ。プルーフリストは入力内容を出力した一覧で、起票済みの受注伝票と突き合わせれば、入力漏れや二重入力を発見できるよ。照合印は、業務側でこの照合作業(内部統制)が実施されたことを示す記録だよ。監査人はそれを確かめることで、入力の網羅性と重複防止の統制が運用されているかを評価できるんだ。

選択肢エ

これは不正解だよ。並行シミュレーション法は、監査人が用意したプログラムで本番と同じデータを処理し、結果を比べてプログラムの処理論理が正確かを検証する手法だよ。処理するのは既に入力されたデータだから、起票された受注伝票が漏れなく、重複なく入力されたかという入力段階の網羅性は確かめられないよ。

学習のポイント

網羅性・正確性・正当性という統制目的と、それぞれに対応する監査手続を区別できるようになること。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度秋期 システム監査技術者試験 午前Ⅰ 問22(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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