AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
令和5年度秋期 システム監査技術者 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
統制と監査を考える視点
この分野では、便利さや作業の速さだけで判断せず、利用目的と管理責任、記録の残り方を同じ枠組みで見比べ、継続的に説明できる状態かを落ち着いて確認することが大切です。
この問題で問われていること
選択肢を読むときは、誰がどの範囲を管理し、判断や変更の経緯を後から確認できる状態かという一点に注目し、個別の機能名や印象ではなく、説明可能性の観点で整理しましょう。
視点
統制や監査を整理するときは、役割、変更、記録を切り分け、組織として継続的に確かめられる視点で捉えます。
確認ポイント
- 責任の所在が業務上の役割と結び付いて説明できるか。
- 判断や変更の経緯を後から確認する観点が含まれているか。
- 運用の変化に応じて見直しを続けられる考え方になっているか。
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解説
ローコード/ノーコード開発の短期間・低コストという利点を生かしつつ、重複開発、過剰な手続、権限設定、保守性、ログ保全などのリスクを監査する問題です。
問題の全体像
C社では利用部門が開発ツールで簡易アプリを作成しており、短期間・低コストで業務ニーズに合う点が利点です。一方、管理ルールが不十分だと、類似アプリの乱立、開発者の異動・退職後の保守不能、過大な権限による本番データ参照、設計文書不足、ログの改ざん・消去などが起こり得る。監査部は、管理ルール案が利点を損なわずにリスクを低減できるかを確認するため、開発判断基準、開発用ID、文書作成、操作ログ保全などの監査手続を検討している。
設問1
表1の開発申請手続では、利用部門からの申請に基づき事務局が開発可否を判断する。申請や審査が過重になると、利用部門の負担が増え、簡易アプリを短期間・低コストで作れるという利点が損なわれる。したがって、公式解答例のとおり、開発申請手続の適用によって利用部門の負担が増える可能性を答える。35字以内なので、手続の負担増加と利点の低下を簡潔に示す。
設問2
既に検討されている判断基準は、使用データの種類、想定データ量、処理の複雑度です。これだけでは、同じようなアプリが既に存在する場合の重複開発を防げない。事例には、利用部門が各自で開発して不要なアプリが乱立するリスクが示されているため、公式解答例のとおり、類似アプリの有無を追加する。
設問3
システム部の開発標準は、基幹系などの開発を想定した進捗管理・品質管理の基準です。簡易アプリにそのまま適用すると、規模や難易度に比べて手続が過重になり、迅速・低コストという利点を損なう可能性がある。公式解答例のとおり、開発するアプリの規模が小さく難易度が低い場合を答える。25字以内では、規模と難易度の両方を押さえる。
設問4
営業部員全員に開発用IDを付与し、そのIDでは本番環境のデータを参照できる設定になっている。開発用IDを必要としない利用者まで本番データを見られるため、最小権限の原則に反する。公式解答例のとおり、権限を与えるべきでない利用者が本番環境のデータを参照できることがリスクです。
設問5
設計ドキュメントについて、必要項目の一覧と標準フォーマットを定めるだけでは、実際の利用部門がその形式で作成できなければ実効性がない。公式解答例では、標準フォーマットを使用した設計ドキュメント作成が可能かどうかを営業部に確認する内容としている。45字以内では、標準フォーマット、設計ドキュメント作成の可否、営業部への確認を含める。
設問6
開発ツールに操作ログ取得機能があっても、ログ自体が改ざん・消去されれば、事後の追跡や監査証拠として使えない。したがって、操作内容を記録することに加えて、ログの完全性を保つ保全要件を確認する。公式解答例のとおり、取得した操作ログが改ざん・消去されないよう保護することを答える。
採点講評からの学習ポイント
採点講評では、設問1で一般的なリスクではなく監査要点に沿ったリスクを捉えること、設問5で実際の文書を確認するのではなく管理ルール案の適用前に実効性を確認すること、設問6でログの取得だけでなく保全まで考えることが重視されている。管理策の存在だけで満足せず、目的どおり機能するかを確認する視点が重要です。
学習のポイント
事例中の事実を管理ルール案と結び付け、リスクと監査手続を具体化する力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度秋期 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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