AUシステム監査技術者試験 午後Ⅰ
平成21年度春期 システム監査技術者 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
監査記録をつなげて考える視点
この問題では、業務上の判断や入力が、どの記録に、誰の操作として、どの時点で残るかを対応づける視点に絞って確認します。個別の答えではなく、統制と証跡の結び付きを整理しましょう。
この問題で問われていること
注文の受付から判断・更新・委託先の利用までを一続きの処理として見て、担当者の権限、操作時刻、判断結果を後から照合できる記録になっているかを考える。この観点を一つに定めて確認する。
視点
監査では、想定した手続が実際に実行されたことを、独立した記録の組合せから追跡できるかが重要です。画面上の結果だけでなく、誰が何を行い、承認や例外処理がどの記録と対応するかに注目します。
確認ポイント
- 処理の各段階で、実施者と判断者を区別して記録できるか
- システム上の操作記録と業務書類・履歴を対応づけられるか
- 利用者の立場や利用時間の違いを、証跡の確認範囲に反映できるか
正解と解説を見る
解説
顧客管理システムの仕様、特別注文の承認手順、外部委託後のアクセスログ統制を題材に、統制の不備と監査で確認すべき記録を問う問題です。
問題の全体像
M社では、顧客情報、注文、入金、配送などを顧客管理システムで管理している。監査の焦点は、名寄せ機能が与信限度超過を防げるか、特別注文の許可を裏付ける記録が残っているか、さらにC社オペレータや情報システム部員による不正アクセスを現在のログ統制で発見できるかです。公式解答例は、機能の仕様と業務上の承認・アクセス経路を具体的に照合する考え方を示している。
設問1
名寄せでは、電話番号や住所を一定の形式に変換した上で、氏名・住所・電話番号のすべてが一致する顧客レコードを検索する。一つでも一致しなければ既存顧客として特定されず、入力情報と新しい顧客IDを含むレコードが作成される。そのため、実際には同じ顧客でも別顧客として扱われ、既存の未収金額や注文限度額を引き継がず、限度額を超える購入を防げない。公式解答例の要素である「三つの情報がすべて一致しないと名寄せされない」を45字以内で押さえる。
設問2(記録)
特別注文は、画面上で許可ボタンを押す前に、課長が申請書へ許可又は却下を記載して押印する手順です。また、結果は注文履歴にも記録される。したがって、監査対象は「注文履歴の中の、許可された特別注文」とする。これは、システム上で許可された注文を抽出し、紙の承認証跡と突き合わせるためです。
設問2(確認すべき内容)
抽出した許可済み特別注文ごとに、対応する特別注文申請書が実在するかを確認し、申請書に通信販売課長の「許可」の記載と押印があるかを照合する。これにより、オペレータが課長の許可を得ずに画面上の許可処理を行った可能性を確認できる。公式解答例の三要素である申請書の存在、許可記載、課長押印を45字以内にまとめる。
設問3(1)
統制では、通信販売課長がC社に業務を委託した時間帯のアクセスログを翌日に確認する。しかし、C社オペレータが委託時間帯以外に、引継ぎや連絡を理由としてシステムを使用することも認められている。その時間帯は確認対象外なので、不正アクセスをしても現在の統制では発見できない。公式解答例も、委託時間帯以外のアクセスを発見できない点を理由としている。
設問3(2)
採取しているのはAPサーバのアクセスログであり、DBサーバのアクセスログは、オペレータ操作との対応付けが難しいという理由で採取していない。情報システム部員は大量データ処理のためDBサーバへ直接アクセスできるので、その者がDBデータを不正に参照・変更しても、APサーバのログ確認では発見できない。
学習のポイント
業務手順とシステム仕様を結び付け、予防統制と発見統制の限界を説明する力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度春期 システム監査技術者試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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