STITストラテジスト試験 午前Ⅰ

平成29年度秋期 ITストラテジスト 午前Ⅰ 問16

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

モジュール設計に関する記述のうち,モジュール強度(結束性)が最も強いものはどれか。

選択肢

  1. ア
    ある木構造データを扱う機能をこのデータとともに一つにまとめ,木構造データをモジュールの外から見えないようにした。
  2. イ
    複数の機能のそれぞれに必要な初期設定の操作が,ある時点で一括して実行できるので,一つのモジュールにまとめた。
  3. ウ
    二つの機能A,Bのコードは重複する部分が多いので,A,Bを一つのモジュールにまとめ,A,Bの機能を使い分けるための引数を設けた。
  4. エ
    二つの機能A,Bは必ずA,Bの順番に実行され,しかもAで計算した結果をBで使うことがあるので,一つのモジュールにまとめた。
解き方のヒントを見る

結束性は要素のまとまる理由で考える

モジュール内部の要素が、どのような理由で一つのモジュールにまとめられているのかに注目すると、結束性の種類を比較しやすくなります。種類名だけで覚えるのではなく、まとまりの根拠を自分の言葉で説明できるかを確かめましょう。

この問題で問われていること

問われているのは、個々の種類の名称ではなく、モジュール内の要素同士がどれほど密接に関係しているかという観点で種類を並べて比較する力です。問題中に示された内容を、この一つの観点に照らして読み取りましょう。

視点

結束性(凝集度)は、一つのモジュールの内部に含まれる処理やデータが、互いにどの程度関連し合っているかを表す尺度です。要素がまとめられた理由は種類ごとに異なります。比較するときは、その理由がモジュールの果たす目的とどれだけ直接結び付いているかを考えることが手がかりになります。名称の響きや並び順の暗記ではなく、まとまりの根拠そのものを比べる姿勢が大切です。

確認ポイント

  • 各種類について、要素が一つのモジュールにまとめられている根拠を一文で説明できるか
  • その根拠が、モジュールの目的とどの程度結び付いているかを比べたか
  • 並べた順序が、同じ一つの観点で一貫して判断されているかを見直したか
正解と解説を見る

正解

ア

解説

アは木構造データとそれを扱う機能を一つにまとめ、データを外部から隠蔽しているので情報的強度に当たります。イは時間的強度、ウは論理的強度、エは連絡的強度で、いずれも情報的強度より弱いため、正答はアです。

理由

アは、特定の木構造データとそれを操作する機能を一つのモジュールにまとめ、データ構造を外から見えないようにしています。これはデータの隠蔽と抽象データ型の考え方に基づく情報的強度に当たります。選択肢の中では最も強い分類なので、アが正答です。

比較

強度は強い順に、機能的>情報的>連絡的>手順的>時間的>論理的>暗合的です。イは初期設定をある時点で一括実行できるという実行時期の一致でまとめているので時間的強度です。ウはコードの重複を理由にまとめ、引数で機能を使い分けているので論理的強度です。エは実行順序が決まっているだけでなく、Aの計算結果をBで使うというデータの受渡しがあるので、手順的強度ではなく連絡的強度に当たります。連絡的強度は手順的強度より強いものの、情報的強度のアよりは弱いと位置付けられます。

選択肢ア(正解)

これは正解だよ。特定の木構造データと、それを扱う機能を一つのモジュールにまとめ、データを外から見えないようにしているので、情報的強度に当たるよ。データ構造を隠蔽して、用意した操作を通してだけ扱わせる形なので、選択肢の中で最も結束性が強いよ。イの時間的強度、ウの論理的強度、エの連絡的強度は、どれもこれより弱いと位置付けられるよ。

選択肢イ

これは不正解だよ。各機能の初期設定の操作を「ある時点で一括して実行できる」という実行時期の一致を理由にまとめているので、時間的強度に当たるよ。機能どうしの意味的な関連は薄く、強度の順序では下のほうに位置するので、情報的強度のアより弱いよ。

選択肢ウ

これは不正解だよ。コードの重複が多いという理由でA、Bを一つにまとめ、引数で機能を使い分ける設計は、論理的強度に当たるよ。呼び出し側が引数で処理を選ぶので、関連の薄い処理がモジュール内に同居しやすく、強度は低いと位置付けられるよ。アの情報的強度より弱いよ。

選択肢エ

これは不正解だよ。AとBは必ずA、Bの順に実行されるだけでなく、Aで計算した結果をBで使うというデータの受渡しもあるので、連絡的強度に当たるよ。順序だけで結び付く手順的強度よりは強いけれど、データとその操作を一体化して隠蔽している情報的強度のアには及ばないよ。

学習のポイント

モジュール強度の分類名と強弱の順序、特に連絡的強度と手順的強度の違いを押さえよう。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅰ 問16(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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