STITストラテジスト試験 午前Ⅰ

平成21年度秋期 ITストラテジスト 午前Ⅰ 問14

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

公開鍵暗号方式を用いて送信者が文書にディジタル署名を行う場合,文書が間違いなく送信者のものであることを受信者が確認できるものはどれか。

選択肢

  1. ア
    送信者は自分の公開鍵を使用して署名処理を行い,受信者は自分の秘密鍵を使用して検証処理を行う。
  2. イ
    送信者は自分の秘密鍵を使用して署名処理を行い,受信者は送信者の公開鍵を使用して検証処理を行う。
  3. ウ
    送信者は受信者の公開鍵を使用して署名処理を行い,受信者は自分の秘密鍵を使用して検証処理を行う。
  4. エ
    送信者は受信者の秘密鍵を使用して署名処理を行い,受信者は自分の公開鍵を使用して検証処理を行う。
解き方のヒントを見る

鍵の持ち主と操作の主体を対応づける

ディジタル署名の問題では、各操作を誰が行い、その人がどの鍵を手元に持っているかを一つずつ対応づけて考えると整理しやすくなります。鍵の名前だけで判断せず、主体と所有関係から検討しましょう。

この問題で問われていること

確認すべき観点は一つ、各処理の主体と鍵の所有者の対応です。送り手・受け手・第三者など登場する立場ごとに、その立場が入手できる鍵と入手できない鍵を区別し、処理が実行可能かどうかを自分で確かめてください。

視点

公開鍵暗号では、利用者ごとに対になる二つの鍵があり、一方は広く配布され、他方は本人だけが管理します。どの処理でどの鍵を使うかを語呂合わせで覚えるより、処理ごとに『この処理を行う人は、この鍵を実際に持てる立場か』を問い直すほうが、鍵の役割の取り違えを防ぎやすくなります。

確認ポイント

  • 問題に登場する立場(送り手・受け手・第三者など)を書き出し、各処理を行うのがどの立場かを整理したか
  • それぞれの鍵が誰の鍵で、どの立場の人が入手・利用できるかを区別したか
  • 各処理について、その主体が使うとされる鍵を実際に持てる立場かを一つずつ確かめたか
正解と解説を見る

正解

イ

解説

正答はイです。送信者は本人だけが持つ自分の秘密鍵で署名し、受信者は誰でも入手できる送信者の公開鍵で検証します。正しく検証できれば、送信者本人が作成した文書だと確認できます。

理由

署名で送信者本人を確認できるのは、送信者だけが持つ秘密鍵で署名が作られるからです。その署名は、対になる送信者の公開鍵でしか正しく検証できません。公開鍵は誰でも入手できるので、受信者は送信者の公開鍵で検証でき、検証に成功すれば、その秘密鍵を持つ送信者本人が署名したと判断できます。

比較

受信者の公開鍵で処理し、受信者の秘密鍵で戻す組合せは、受信者だけが内容を読めるようにする暗号化(機密性の確保)の使い方です。受信者の公開鍵は誰でも使えるため、送信者の本人性は証明できません。また、他人の秘密鍵を送信者が使う組合せや、鍵ペアが対応していない組合せは、仕組みとして成り立ちません。

選択肢ア

これは不正解だよ。送信者の公開鍵は誰でも入手できる鍵だから、それで署名処理をしても、送信者本人にしか作れない署名にはならないよ。さらに、送信者の公開鍵で処理したデータの対になる鍵は送信者の秘密鍵なので、受信者自身の秘密鍵では検証できず、鍵の組合せとしても成り立たないんだ。

選択肢イ(正解)

これは正解だよ。送信者の秘密鍵は送信者本人しか持っていないから、それを使った署名は本人にしか作れないよ。受信者は誰でも入手できる送信者の公開鍵で検証するんだ。対になる鍵で正しく検証できれば、送信者本人が署名したこと、つまり文書が間違いなく送信者のものだと確認できるよ。

選択肢ウ

これは不正解だよ。受信者の公開鍵で処理して受信者の秘密鍵で元に戻す組合せは、受信者だけが内容を読めるようにする暗号化(機密性の確保)の使い方だよ。受信者の公開鍵は誰でも入手できるから、第三者でも同じ処理ができてしまうんだ。だから、送信者本人が作成したことの証明にはならないよ。

選択肢エ

これは不正解だよ。受信者の秘密鍵は受信者本人だけが持つ鍵だから、本来は送信者が使うことはできないよ。仮に使えたとしても、それは受信者の鍵による処理なので送信者の本人性は示せないし、秘密鍵が他人に渡っている時点で安全性も崩れているんだ。受信者の秘密鍵で処理したデータの対になる鍵は受信者の公開鍵だけど、この組合せでは送信者を確認できないよ。

学習のポイント

ディジタル署名では送信者の秘密鍵で署名し、送信者の公開鍵で検証します。受信者の鍵ペアを使う暗号化と区別しましょう。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅰ 問14(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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