SAシステムアーキテクト試験 午前Ⅰ
令和5年度春期 システムアーキテクト 午前Ⅰ 問24
問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。
問題
選択肢
- ア移行マニュアルや運用マニュアルなどの文書化が完了しており、システム上でどのように業務を実施するのかを利用者が確認できる。
- イ所定の内外作基準に基づいて外製する部分が決定され、調達先が選定され、契約が締結されており、調達先を容易に変更することはできない。
- ウモジュールの相互依存関係が確定されており、以降の開発プロセスにおいて個別モジュールの仕様を変更することはできない。
- エ利害関係者の要求の根拠と成果物の相互関係が文書化されており、開発の途中で生じる仕様変更をシステムに求められる品質に立ち返って検証できる。
解き方のヒントを見る
要件の追跡性を考える観点
トレーサビリティという用語が、開発のどの段階の何を対象にし、何を確保しようとする考え方なのかを、自分の知識で整理してから読み進めることが大切です。似た管理用語と目的を混同していないかも意識しましょう。
この問題で問われていること
この問題で意識したいのは、用語の意味の範囲を正確に捉えることです。トレーサビリティが何と何の関係を扱い、どのような目的で確保されるのかを、似た管理の考え方と区別して自分の言葉で説明できるかを確かめてください。
視点
用語の意味を問われる問題では、定義を丸暗記するよりも、その考え方がなぜ必要とされるのか、どのような困りごとを防ぎたいのかという背景から意味を組み立てると判断がぶれにくくなります。また、名称が似た別の管理手法や、同じ工程で行われる別の活動と目的が重なって見えることがあります。そのため、扱う対象と目的の二点で切り分けて考える姿勢が役立ちます。
確認ポイント
- その用語が関係づけようとしている対象は何かを、自分の知識で説明できるか
- その考え方が確保されていないと、開発や保守でどのような困りごとが起こり得るかを想像できるか
- 名称や工程が近い別の管理の考え方と、対象や目的を混同していないか
正解と解説を見る
正解
エ
解説
トレーサビリティとは、利害関係者の要求とその根拠、そして設計書やプログラムなどの成果物との対応関係を記録し、双方向に追跡できる性質のことだよ。正解はエで、要求と成果物の相互関係が文書化されていれば、仕様変更が生じても元の要求や品質に立ち返って検証できるんだ。
理由
要件定義プロセスでは、利害関係者の要求がなぜ必要なのか(根拠)と、その要求がどの成果物に反映されたのかを対応付けて文書化しておくことが大切だよ。こうしておけば、開発途中で仕様変更が起きても、影響する要求や成果物をたどり、システムに求められる品質を満たしているかを検証できる。これを述べているエが正解だよ。
比較
アは移行・運用マニュアルの整備と利用者による確認、イは外製部分の決定・調達先選定・契約締結、ウはモジュール間の依存関係の確定と仕様変更の禁止を述べているよ。どれも「作業の完了」や「内容の固定」の話で、要求と成果物の対応関係をたどれる状態は説明していないから、トレーサビリティの説明には当たらないんだ。
選択肢ア
これは不正解だよ。移行マニュアルや運用マニュアルの文書化が完了していて、システム上でどのように業務を行うかを利用者が確認できる状態は、移行・運用の準備や利用者への説明が整ったことを表すものだよ。要求とその根拠、成果物の対応関係を追跡できるかどうかには触れていないから、トレーサビリティが確保されていることの説明にはならないんだ。
選択肢イ
これは不正解だよ。所定の内外作基準に基づいて外製する部分を決め、調達先を選定し、契約を締結したというのは、調達・契約管理の状態だよ。調達先を容易に変更できないというのも契約上の制約の話で、要求と成果物の対応関係を追跡できるかどうかとは関係がないから、トレーサビリティの説明には当たらないよ。
選択肢ウ
これは不正解だよ。モジュールの相互依存関係が確定していて、以降の開発で個別モジュールの仕様を変更できないというのは、設計を固定(凍結)した状態を述べたものだよ。トレーサビリティは変更を禁止する仕組みではなく、変更が起きたときに要求や成果物への影響をたどって検証できるようにするものだから、趣旨が異なるんだ。
選択肢エ(正解)
これは正解だよ。利害関係者の要求の根拠と成果物の相互関係が文書化されていれば、どの要求がどの成果物に反映されているかを双方向に追跡できるよ。だから開発途中で仕様変更が起きても、システムに求められる品質(元の要求)に立ち返って妥当性や影響を検証できる。これがトレーサビリティが確保された状態の説明なんだ。
学習のポイント
トレーサビリティは要求と成果物の対応関係を双方向に追跡できることであり、文書化の完了、調達契約、仕様の凍結とは異なる概念だと区別しよう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和5年度春期 システムアーキテクト試験 午前Ⅰ 問24(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)
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