SAシステムアーキテクト試験 午前Ⅰ

平成29年度秋期 システムアーキテクト 午前Ⅰ 問8

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

アクセシビリティ設計に関する規格であるJIS X 8341-1:2010(高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第1部:共通指針)を適用する目的のうち,適切なものはどれか。

選択肢

  1. ア
    全ての個人に対して,等しい水準のアクセシビリティを達成できるようにする。
  2. イ
    多様な人々に対して,利用の状況を理解しながら,多くの個人のアクセシビリティ水準を改善できるようにする。
  3. ウ
    人間工学に関する規格が要求する水準よりも高いアクセシビリティを,多くの人々に提供できるようにする。
  4. エ
    平均的能力をもった人々に対して,標準的なアクセシビリティが達成できるようにする。
解き方のヒントを見る

規格適用の目的を手段と区別して考える

規格の適用目的を問う場面では、規格が最終的に何を実現しようとしているのかと、その実現のために取られる個々の手段や付随する効果とを切り分けて捉えることが大切です。記述の水準がどちらに当たるかを意識しましょう。

この問題で問われていること

問われているのは規格を用いる理由の側面です。規格が目指す最終的な状態を自分の言葉で言い表し、検討している内容がその目的そのものなのか、目的を支える手段や派生的な効果なのかを区別して判断できるか確かめてください。

視点

一般に規格は、策定の背景となる課題、目指す目的、それを達成するための要求事項や推奨事項といった層で構成されます。目的を問われたときは、具体的な要求事項や技術的な実装方法、適用によって副次的に生じる利点と混同しないよう、抽象度の違いに注目して整理すると考えやすくなります。

確認ポイント

  • 規格の目的と、目的達成のための具体的な要求事項や手段とを分けて捉えられているか
  • 検討中の内容が、規格の適用によって副次的に得られる効果にとどまっていないか
  • 規格が目指す最終的な状態を、特定の技術や製品に依存しない言葉で説明できるか
正解と解説を見る

正解

イ

解説

正解はイだよ。JIS X 8341-1は、多様な人々を対象に利用の状況を理解しながら、多くの個人のアクセシビリティ水準を改善することを目的とした共通指針なんだ。全員に同じ水準を保証することや、平均的な人だけを対象にすることが目的ではないよ。

理由

利用者の身体機能や認知特性、利用する環境は人によって大きく異なるよ。だから、一つの設計で全員に完全なアクセシビリティを保証するのは現実的ではないんだ。JIS X 8341-1は、高齢者や障害のある人を含む多様な人々を対象にしているよ。どんな人がどんな状況で使うのかという利用の状況を理解したうえで、できるだけ多くの個人のアクセシビリティ水準を改善することを目指しているんだ。これに当てはまるのがイだよ。

比較

アは「全ての個人に等しい水準」を達成するとしているけど、これは達成を保証する言い方で、現実的な目標を超えているよ。ウは、人間工学に関する規格を上回る水準の提供を目的にしているけど、他の規格より高い水準を目指すことはこの規格の目的ではないよ。エは「平均的能力をもった人々」を対象にしているので、配慮が必要な人々が対象から外れてしまうんだ。

選択肢ア

これは不正解だよ。利用者の身体機能や認知特性、利用する環境は人によって大きく異なるよ。そのため、一つの設計で全ての個人に等しい水準のアクセシビリティを達成するのは現実的ではないんだ。この規格は全員に同じ水準を保証することが目的ではなく、配慮によって多くの人の水準を高めることを目指す指針だから、この記述は適切ではないよ。

選択肢イ(正解)

これは正解だよ。JIS X 8341-1は、高齢者や障害のある人を含む多様な人々が対象の共通指針だよ。どんな利用者がどんな状況で使うのかという利用の状況を理解して設計に配慮し、できるだけ多くの個人のアクセシビリティ水準を改善することを目的としているんだ。完全な達成を約束するのではなく改善を目指す点が、この規格の考え方に合っているよ。

選択肢ウ

これは不正解だよ。JIS X 8341-1は、人間工学の国際規格ISO 9241-20に対応する指針だよ。人間工学に関する規格が求める水準を上回ることを目的にしているわけではないんだ。この規格のねらいは、他の規格より高い水準を目指すことではなく、利用者と利用の状況に配慮して多くの人のアクセシビリティを高めることだから、この記述は適切ではないよ。

選択肢エ

これは不正解だよ。アクセシビリティ設計の本質は、平均的な能力の人だけでなく、高齢者や障害のある人など、能力や特性が平均から離れた人も含めて利用できるようにすることだよ。平均的能力をもつ人々に標準的な水準を達成することを目的にすると、配慮が必要な人々が対象から外れてしまうから、この規格の目的としては適切ではないんだ。

学習のポイント

アクセシビリティ規格の目的は、完全な達成の保証ではなく、多様な利用者と利用の状況をふまえた水準の改善だと押さえよう。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅰ 問8(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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