SAシステムアーキテクト試験 午前Ⅰ

平成27年度秋期 システムアーキテクト 午前Ⅰ 問29

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

経営会議で来期の景気動向を議論したところ,景気は悪化する,横ばいである,好転するという三つの意見に完全に分かれてしまった。来期の投資計画について,積極的投資,継続的投資,消極的投資のいずれかに決定しなければならない。表の予想利益については意見が一致した。意思決定に関する記述のうち,適切なものはどれか。
三つの景気動向と三つの投資計画の組合せごとに予想利益を示した表。
三つの景気動向と三つの投資計画の組合せごとに予想利益を示した表。

選択肢

  1. ア
    混合戦略に基づく最適意思決定は,積極的投資と消極的投資である。
  2. イ
    純粋戦略に基づく最適意思決定は,積極的投資である。
  3. ウ
    マクシマックス原理に基づく最適意思決定は,継続的投資である。
  4. エ
    マクシミン原理に基づく最適意思決定は,消極的投資である。
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意思決定基準の名称と態度の対応

不確実性下の意思決定では、利益表の同じ数値から出発しても、基準ごとに注目する値や比較の仕方が異なります。基準の名称が何を表しているかを自分の言葉で説明できるかを軸に、問われている内容を整理しましょう。

この問題で問われていること

この問題で確かめたいのは、各基準が意思決定者のどのような考え方を反映しているかを区別できるかどうかです。用語の響きや印象だけで判断せず、名称の意味と判断の根拠を結び付けて検討することが求められます。

視点

不確実な状況とは、将来どの状態が起こるかの確率が分からない状況を指します。この条件のもとでは唯一の正しい選び方はなく、意思決定者の姿勢によって採用する基準が変わります。利益表を読むときは、どの数値を代表として取り出し、何と何を比べているのかという視点で基準を捉えると、名称と中身を混同しにくくなります。

確認ポイント

  • 各基準の名称に含まれる語が何を指しているかを、自分の言葉で言い換えられるか
  • その基準が意思決定者のどのような姿勢を表すかを、名称と対応付けて説明できるか
  • 利益表のどの値に注目して判断する基準なのかを、印象ではなく根拠で確認したか
正解と解説を見る

正解

エ

解説

マクシミン原理では、各投資案の最悪の場合の利益を比べます。積極的投資は50万円、継続的投資は100万円、消極的投資は200万円です。このうち最も大きい200万円の消極的投資が選ばれるので、エが正解です。

マクシミン原理の計算

各投資案の最小利益を取り出します。積極的投資はmin(50、 150、 500)=50万円、継続的投資はmin(100、 200、 300)=100万円、消極的投資はmin(400、 250、 200)=200万円です。この中で最大はmax(50、 100、 200)=200万円なので、マクシミン原理では消極的投資を選びます。よってエの記述は表と一致します。

マクシマックス原理との比較

マクシマックス原理では、各投資案の最大利益を比べます。積極的投資はmax(50、 150、 500)=500万円、継続的投資は300万円、消極的投資は400万円です。最大はmax(500、 300、 400)=500万円なので、選ばれるのは積極的投資です。継続的投資ではないため、ウは誤りです。

純粋戦略・混合戦略

純粋戦略は一つの戦略を確定的に選ぶ考え方、混合戦略は複数の戦略を確率的に組み合わせる考え方で、どちらもゲーム理論の用語です。表では、行ごとの最小値の最大が200万円、列ごとの最大値(400万円、250万円、500万円)の最小が250万円で、両者が一致しないため鞍点がありません。このため、積極的投資が純粋戦略の最適解とはいえません。また、設問は投資計画を「いずれかに決定」する条件なので、二つの投資を組み合わせる混合戦略の結論も適切とはいえません。

選択肢ア

これは不正解だよ。混合戦略は、ゲーム理論で複数の戦略を確率的に組み合わせて選ぶ考え方だよ。設問は積極的投資、継続的投資、消極的投資の「いずれかに決定しなければならない」という条件だから、二つの投資を組み合わせる結論は求められている意思決定の形に合わないよ。また、景気は利益を奪い合う合理的な対戦相手ではないので、この記述は適切とはいえないよ。

選択肢イ

これは不正解だよ。純粋戦略は一つの戦略を確定的に選ぶ考え方で、ゲーム理論では鞍点があるときに最適な純粋戦略が決まるよ。この表では、行ごとの最小値の最大は200万円、列ごとの最大値(400万円、250万円、500万円)の最小は250万円で一致しないから、鞍点がないよ。積極的投資は最大値500万円に注目するマクシマックス原理の結果であって、純粋戦略の最適解とはいえないよ。

選択肢ウ

これは不正解だよ。マクシマックス原理は、各案の最大利益を比べて、それが最も大きい案を選ぶ楽観的な基準だよ。最大利益は積極的投資が500万円、継続的投資が300万円、消極的投資が400万円なので、max(500, 300, 400)=500万円の積極的投資が選ばれるよ。継続的投資とする記述は表と一致しないよ。

選択肢エ(正解)

これは正解だよ。マクシミン原理は、各案の最悪の場合の利益(最小値)を比べて、それが最も大きい案を選ぶ悲観的な基準だよ。最小利益は積極的投資が50万円、継続的投資が100万円、消極的投資が200万円なので、max(50, 100, 200)=200万円の消極的投資が選ばれるよ。だから、この記述は表と一致するよ。

学習のポイント

マクシマックス原理とマクシミン原理で、行ごとに取り出す値の違いを押さえることと、ゲーム理論用語(純粋戦略・混合戦略)の意味の区別が学習のポイントです。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成27年度秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅰ 問29(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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