PMプロジェクトマネージャ試験 午前Ⅰ

平成21年度春期 プロジェクトマネージャ 午前Ⅰ 問18

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

WBS(Work Breakdown Structure)を利用する効果として,適切なものはどれか。

選択肢

  1. ア
    作業の内容や範囲が体系的に整理でき,作業の全体が把握しやすくなる。
  2. イ
    ソフトウェア,ハードウェアなど,システムの構成要素を効率よく管理できる。
  3. ウ
    プロジェクト体制を階層的に表すことで,指揮命令系統が明確になる。
  4. エ
    要員ごとに作業が適正に配分されているかどうかが把握できる。
解き方のヒントを見る

手法の目的と他工程の役割を区別する

プロジェクト管理の各手法は、計画・実行・監視などのどの場面で何を生み出すために使うかが異なります。手法そのものの目的と、その成果を後で活用する別の活動とを混同していないかを一つの観点として検討しましょう。

この問題で問われていること

作業分解の手法が直接扱う対象は何か、そしてその結果が後からどの管理活動の土台として使われるのかを、手法の『目的』と『波及効果』に分けて整理できているかを確かめることが焦点です。

視点

管理手法を学ぶときは、その手法が単独で果たす役割と、その結果を入力として受け取る後続の活動の役割を分けて捉えると整理しやすくなります。ある手法の成果物が他の活動に役立つことと、その手法自体の主目的であることは同じではありません。手法の名前から連想するイメージではなく、その手法を実施した時点で何が手元に残るのかを基準に考えると、目的と効果の混同を避けやすくなります。

確認ポイント

  • その手法を実施した直後に、どのような成果物が得られるかを自分の言葉で説明できるか
  • その成果物を使って後から行われる別の管理活動を、手法そのものの目的と取り違えていないか
  • 検討している記述が、手法の主目的と、手法がもたらす間接的な効果のどちらを述べているかを区別できているか
正解と解説を見る

正解

ア

解説

WBSは、プロジェクトの作業(成果物)を上位から下位へ段階的に分解し、ワークパッケージまで階層化したものです。作業の内容や範囲が体系的に整理され、全体を把握しやすくなるため、正答はアです。

理由

WBSはWork Breakdown Structureの略で、「作業を分解した構造」という意味です。プロジェクトで行う作業や成果物を大きな単位から細かな単位へ段階的に分解し、管理しやすい単位(ワークパッケージ)まで木構造で表します。分解する過程で作業の内容と範囲が体系的に整理され、漏れや重複を見つけやすくなります。その結果、プロジェクト全体の作業を把握しやすくなるので、アがWBSの効果として適切です。

比較

イの「システムの構成要素(ソフトウェア、ハードウェアなど)の管理」は構成管理の役割です。ウの「体制の階層化と指揮命令系統の明確化」は組織図(OBS)の役割です。エの「要員ごとの作業配分の把握」は、WBSで分解した作業に担当者を割り当てた責任分担表(RAM)や資源ヒストグラムで行います。どれもWBSと関係はありますが、WBSそのものを利用する効果ではありません。

選択肢ア(正解)

これは正解だよ。WBSは、プロジェクトで行う作業(成果物)を上位から下位へ段階的に分解し、ワークパッケージという管理しやすい単位まで木構造で表したものだよ。分解の過程で作業の内容や範囲が体系的に整理されるから、漏れや重複を見つけやすくなるんだ。プロジェクト全体の作業範囲も把握しやすくなるので、WBSを利用する効果として適切だね。

選択肢イ

これは不正解だよ。ソフトウェアやハードウェアなど、システムの構成要素を識別して変更や版を管理するのは構成管理の役割だよ。WBSで分解する対象はプロジェクトで行う作業や成果物なんだ。システムの構成要素そのものを効率よく管理するための手法ではないから、WBSの効果とはいえないね。

選択肢ウ

これは不正解だよ。プロジェクト体制を階層的に表して指揮命令系統を明確にするのは、組織図(OBS:組織ブレークダウン構造)などの役割だよ。WBSも階層構造だけど、階層化する対象は組織や人ではなく作業なんだ。だから、指揮命令系統が明確になることはWBSを利用する効果とはいえないね。

選択肢エ

これは不正解だよ。要員ごとに作業が適正に配分されているかを把握するには、WBSで分解した作業に担当者を割り当てた責任分担表(RAM)や、要員の負荷を示す資源ヒストグラムなどを使うよ。WBSそのものは作業を分解・整理した構造で、要員ごとの配分状況を直接示すものではないんだ。だから、WBSの効果としては不適切だね。

学習のポイント

WBSは作業を分解する構造です。構成管理、組織図(OBS)、責任分担表(RAM)など、ほかの階層的な管理手法と区別できるようにしましょう。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅰ 問18(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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