NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
令和7年度春期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問1 ルータの更改
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
判断の前提をそろえて考える
検討するときは、判断に使う前提が途中で変わっていないかに注目しましょう。与えられた条件のどこまでが同じ状況を指すのかを整理すると、知識だけで結論を急がず、根拠を確かめながら考えられます。
この問題で問われていること
この問題では、ある判断の根拠として使った条件と、その判断を当てはめる場面が対応しているかを意識しましょう。明記された条件と自分が補った想定を分け、同じ前提の範囲で考えているかを確かめることが手掛かりになります。
視点
条件と判断の対応を整理する際は、明示された前提の範囲を保つことを意識します。ある場面で用いた前提を別の場面にも当てはめていないか、判断の根拠を振り返りましょう。
確認ポイント
- 判断の前提は、与えられた条件に基づいているか
- 明記された条件に、自分の想定を付け足していないか
- 根拠にした条件と、判断を当てはめる場面は対応しているか
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解説
冗長化されたネットワークで業務通信を維持しながらルータを更改する問題です。通信経路を図から読み取り、OSPFによる迂回、VRRP切替前の経路収束、交換後の疎通確認、異常時の迅速な切り戻しを結び付けて理解します。
問題の全体像
A社は大阪本社と東京支社を広域イーサ網とIPsec VPNで冗長接続し、WAN経由でC社データセンターのC社SaaSも利用しています。メーカーサポート終了に伴うルータ更改では、事前に通信を迂回させ、交換と確認の後に通常経路へ戻す方針です。出題趣旨では、OSPFやVRRPの理解と、企業ネットワークの停止を伴わないメンテナンス手法を問うとしています。図1の通信経路と表2の作業順序を対応させることが解答の軸になります。
設問1(1)
公式解答例では、aは「バックボーン」、bは「ルータ」、cは「デフォルトゲートウェイ」です。aはエリアIDが0.0.0.0という記述から、OSPFのバックボーンエリアと判断します。bはOSPFルータを識別するIDなので、ルータIDを指します。cはPCのデフォルトルートのネクストホップに相当するという記述に着目します。R20とR21のVRRPによって、このデフォルトゲートウェイの可用性を高めています。
設問1(2)
下線①は、OSPFで経路交換するインタフェースにネイバー認証を設定するという記述です。認証によって、不正なOSPFルータと隣接関係を形成し、経路交換してしまうことを防ぎます。公式解答例でも、この不正なルータとの隣接関係と経路交換を問題として挙げています。35字以内の答案では「不正なOSPFルータと隣接関係になり経路交換してしまう問題」とまとめます。経路交換の安全性が問われているので、通信データの暗号化という説明には置き換えません。
設問1(3)
下線②の「通常はR30を利用し、R30を利用できない場合はR31を利用する」という設計に着目します。AS_PATH長による比較では短い経路が優先されるので、R31から広告する経路のAS_PATH長をR30より長くし、R31側を予備経路にします。AS_PATHプリペンドは、AS番号を追加してこの長さを調整する設定です。公式解答例では「長くする。」としています。
設問1(4)
下線③では、優先度の高いルータが起動直後にVRRPのマスターへ戻らないよう、プリエンプトディレイを設定しています。起動直後はOSPFの経路情報がまだ収束しておらず、その状態でPCからの通信を引き受けると正常に転送できないおそれがあります。待つ対象は、ルータが必要な経路情報を得て転送できる状態になることです。公式解答例に沿い、25字以内では「OSPFの経路情報が収束した状態」とまとめます。採点講評でも、動的経路制御を使うルータには経路情報の収束が必要である点を強調しています。
設問2(1)
公式解答例では、大阪本社からは「(ウ)」、東京支社からは「(ア)、(イ)」です。図1の(ア)はインターネット、(イ)は大阪本社のサーバセグメント、(ウ)はC社データセンターにあるC社SaaSです。大阪本社の内部ネットワークからC社SaaSへの通常の通信は、L3SW10、R10、広域イーサ網、R30を経由するので、(ウ)を監視対象にします。大阪本社から(ア)や(イ)への通信は本社内で接続され、R10を経由しません。一方、東京支社から(ア)や(イ)への通常の通信は、R20、広域イーサ網、R10を経由して大阪本社へ向かうので、両方を対象にします。東京支社から(ウ)へは広域イーサ網を通じてR30へ向かい、R10を経由しません。C社SaaSの所在地と、送信元ごとの経路を分けて読み取ることが重要です。
設問2(2)
表2の項番1-1では、R10を停止する前にOSPFコストの変更で通信を迂回させます。表1では広域イーサ網が100、IPsec VPNが1000であり、経路選択では経路上のコストを比較します。R10を通る経路が代替経路より選ばれにくくなるよう、コストを十分大きくします。公式解答例では「65535といった十分大きな値に変更する。」としています。30字以内の答案でも、この具体例と十分大きくするという要点を押さえます。採点講評でも、このコスト変更による迂回をOSPFの運用技法として挙げています。
設問2(3)
表2では、迂回の正常性を確認した後、項番1-3で物理インタフェースを閉塞し、その後に電源をオフにします。閉塞によって予想外の問題が起きても、電源が入っていれば閉塞を解除して素早く切り戻せます。先に電源を切ると、復旧には起動を待つ必要があります。公式解答例に沿い、30字以内では「物理インタフェース閉塞の方が素早く切り戻せるから」とまとめます。採点講評でも、事前検証済みの手順であっても予想外の問題を想定し、影響を抑えて迅速に切り戻せるようにする重要性を指摘しています。
設問2(4)
項番2-2で全てのイーサネットケーブルを抜去すると、どのケーブルをどのインタフェースに戻すか分からなくなるおそれがあります。そこで、抜去前に接続先を識別できるラベルをケーブルに付けます。公式解答例では「イーサネットケーブルにラベルを付与する。」です。25字以内の答案では、この作業をそのまま簡潔に示します。交換後も元の接続関係を再現できることが、誤接続の防止につながります。
設問2(5)
公式解答例の四つの対象は「L3SW10、R11、R20、R30」です。図1で、新R10から接続先への疎通を確認するという目的に着目します。L3SW10は大阪本社のLAN側、R11は本社内で接続する相手、R20とR30は広域イーサ網上の相手です。広域イーサ網はフルメッシュなので、R10からR20とR30へそれぞれ疎通を確認します。表2の項番3-2は物理インタフェースの閉塞解除後、迂回解除前に置かれており、新R10の接続を確認してから業務通信を戻す手順になっています。
学習のポイント
送信元ごとの通信経路を正確に追い、経路選択、経路収束、切り戻しを考慮した保守手順を学習します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和7年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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