NWネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ

令和3年度春期 ネットワークスペシャリスト 午前Ⅱ 問18

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

前方秘匿性(Forward Secrecy)の性質として,適切なものはどれか。

選択肢

  1. ア
    鍵交換に使った秘密鍵が漏えいしたとしても,過去の暗号文は解読されない。
  2. イ
    時系列データをチェーンの形で結び,かつ,ネットワーク上の複数のノードで共有するので,データを改ざんできない。
  3. ウ
    対となる二つの鍵の片方の鍵で暗号化したデータは,もう片方の鍵でだけ復号できる。
  4. エ
    データに非可逆処理をして生成される固定長のハッシュ値からは,元のデータを推測できない。
解き方のヒントを見る

鍵が守る範囲を前提から整理する

暗号通信の鍵に関する性質は、どのような脅威や状況を想定して定義されているかで意味が変わります。用語の響きで判断せず、問われている内容が想定する前提条件と、それによって何が守られるのかを対応付けて確認しましょう。

この問題で問われていること

この問題で絞って確認したい観点は『前提となる状況と守られる対象の対応』です。どの鍵が、どの時点で、どのような状況に置かれることを想定しているのかを整理し、その結果として保護が及ぶ範囲を自分の言葉で説明できるかを意識してください。

視点

鍵の安全性に関する性質を学ぶときは、名称を暗記するより『何が起きたと仮定しているか』と『そのとき何が保護されるか』を一組で捉えると整理しやすくなります。同じ暗号通信でも、想定する状況が違えば守られる範囲も変わります。前提と結果を切り離さずに対応付けて考えることが、似た用語を混同しないための基本です。

確認ポイント

  • その性質が想定している前提(どの鍵に、どのような状況が起きると仮定しているか)を言葉にできるか
  • 前提が成り立ったときに、保護が及ぶ対象と及ばない対象を区別して説明できるか
  • 用語の印象ではなく、前提と保護範囲の対応関係が一貫しているかで判断しているか
正解と解説を見る

正解

ア

解説

前方秘匿性は、将来、鍵交換に関係する秘密鍵が漏えいしても、それ以前に記録された暗号文の復号を防ぐ性質です。ほかの選択肢は、ブロックチェーン、公開鍵暗号、ハッシュ関数の説明であり、前方秘匿性そのものではありません。

理由

前方秘匿性では、通信ごとなどに一時的な秘密情報を用い、長期的な秘密鍵が後から漏えいしても、過去のセッション鍵を再現できないようにする。したがって、過去の暗号文の保護が中心となる。

比較

イは時系列データの連結と複数ノードでの共有による改ざん耐性、ウは公開鍵暗号における鍵対の性質、エはハッシュ関数の一方向性を説明している。いずれも前方秘匿性の定義ではありません。

選択肢ア(正解)

これは正解だよ。前方秘匿性は、鍵交換に用いた長期的な秘密鍵などが後から漏えいしても、それ以前に記録された暗号文まで復号可能にならない性質である。過去の通信を守る点が、この性質の重要な特徴である。

選択肢イ

これは不正解だよ。時系列データをチェーン状に連結し、複数ノードで共有して改ざんを困難にする説明は、ブロックチェーンなどの分散台帳に関する性質である。秘密鍵の漏えい後に過去の暗号文を守る前方秘匿性とは異なる。

選択肢ウ

これは不正解だよ。対となる二つの鍵を使い、片方で暗号化したデータをもう片方で復号する説明は、公開鍵暗号における鍵対の基本的な性質である。過去の通信を鍵漏えいから守る前方秘匿性を説明したものではない。

選択肢エ

これは不正解だよ。非可逆処理によって固定長の値を生成し、その値から元データを直接復元しにくくする説明は、ハッシュ関数の性質である。ハッシュ値の一方向性と、過去の暗号文を保護する前方秘匿性は別の概念である。

学習のポイント

前方秘匿性と、公開鍵暗号やハッシュ関数などの別のセキュリティ技術を区別する。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問18(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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