NWネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ
平成29年度秋期 ネットワークスペシャリスト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
判断に用いる前提の範囲をそろえる
設計を考える際は、判断の根拠にしている前提が、与えられた条件の範囲に収まっているかに注目しましょう。一般に知られた知識をそのまま当てはめず、明示された条件と自分で補った想定を区別して整理することが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、判断に必要だと思った前提を、与えられた条件から確かめられるかという視点で整理してみましょう。条件から読み取れることと、経験や印象から補っていることを混同していないか、立ち止まって確認してください。
視点
判断の土台となる前提には、与えられた条件に根拠があるものと、自分で補った想定があります。この二つを区別すると、どこまでが条件に基づいた考察なのかを整理できます。
確認ポイント
- 判断に使っている前提を把握できているか
- その前提の根拠を与えられた条件に見いだせるか
- 自分で補った想定を、明示された条件として扱っていないか
正解と解説を見る
解説
本社に仮想PCを集約することで、広域イーサ網を通る通信がファイル転送から画面転送とプリント通信へ変わる。画面転送は本社から支店へ流れ、その必要帯域と安全率から契約帯域を求める。さらに、操作性を守る帯域制御と感染拡大を防ぐ対策を理解する。
問題の全体像
T社は、従業員のPCに秘密情報が保存されている状況を改善するため、仮想PCを本社のVDIサーバに集約し、各拠点の端末をTCに置き換える。これに伴って通信経路が変わるため、広域イーサ網の契約帯域と帯域制御を見直す。また、SSL可視化装置と標的型攻撃対策装置を導入し、感染した仮想PCの隔離やC&Cサーバとの通信遮断も設計する。公式の出題趣旨では、VDI導入前後の通信の変化を把握し、それに応じた帯域制御と標的型攻撃対策を設計する技術を問うとしている。
設問1
下線①の「一時的に大量の帯域を使用する」に着目する。プリント通信では、印刷データの送信時に通信量が短時間に集中する。このようなトラフィックを、公式解答例では「バーストトラフィック」としている。15字以内の答案では、この名称をそのまま示せばよい。
設問2(1)
図1と図2で、通信を行う装置の設置場所を比較する。導入前は、支店のPCと本社のファイルサーバとの間の「ファイル転送通信」が広域イーサ網を通る。導入後は、仮想PCとファイルサーバがともに本社にあるので、その通信は本社内で完結する。一方、本社の仮想PCから支店のTCへの「画面転送通信」と、本社の仮想PCから支店のプリントサーバへの「プリント通信」が広域イーサ網を通る。公式解答例も、導入前はファイル転送通信、導入後は画面転送通信とプリント通信を挙げている。採点講評では、TCと仮想PCがそれぞれ行う通信を本文から読み取ることの重要性が指摘されている。
設問2(2)(a)
安全率は、本文の定義どおり「アクセス回線の契約帯域÷ピーク時に必要な帯域」で求める。現行の本社のアクセス回線は1Gビット/秒、すなわち1000Mビット/秒です。広域イーサ網を通るファイル転送通信は、全支店従業員向けの合計800Mビット/秒なので、1000÷800=1.25となる。本社従業員向けの200Mビット/秒は本社内の通信であり、この計算には含めない。公式解答例のaも「1.25」です。
設問2(2)(b)
本社の広域イーサ網アクセス回線で帯域を確保する対象は、支店のTCに向けた画面転送通信です。本文では仮想PCの画面をTCへ転送するとされ、図2では仮想PCが本社、支店のTCが各支店にあるため、画面転送通信の方向は本社から支店となる。支店従業員は40人×10支店=400人なので、必要帯域は400×200kビット/秒=80Mビット/秒です。本社従業員100人の画面転送通信は本社内で完結し、プリント通信は本文の条件に従って帯域を確保しない。安全率1.25を掛けると80×1.25=100Mビット/秒となり、公式解答例のb「100」と一致する。
設問2(2)(c)
各支店では40人が同時に仮想PCを利用する条件に着目する。本社の仮想PCから各支店のTCへ転送する画面の必要帯域は、40×200kビット/秒=8Mビット/秒です。プリント通信の帯域は確保せず、画面転送通信の必要帯域に現行の安全率1.25を掛けるので、8×1.25=10Mビット/秒となる。公式解答例のcは「10」です。
設問2(3)(理由)
インターネット通信を行う主体が、各拠点のPCから本社の仮想PCに変わる点に着目する。Webサイトの閲覧やメールサービスの利用に伴う通信は本社の仮想PCから行われるため、支店のインターネット接続回線が不要になる。公式解答例では「インターネット通信は本社の仮想PCから行われるから」としている。30字以内の答案では、インターネット通信の実行場所が本社になることを示します。
設問2(3)(利点)
図2では、インターネットとの接続経路に本社のUTM、SSL可視化装置、標的型攻撃対策装置が配置されている。各従業員のインターネット通信を本社に集約することで、これらの装置による監視や遮断などの情報セキュリティ対策を集中的に実施できる。公式解答例では「情報セキュリティ対策を本社で集中的に行うことができる。」としている。30字以内の答案では、情報セキュリティ対策の集中実施を明示する。採点講評では、情報セキュリティ対策上の利点への言及がない解答も見られたと指摘されている。
設問3(1)
プリント通信が一時的に大量の帯域を使用するという特性に着目する。導入後は、支店向けのプリント通信と画面転送通信が同じ広域イーサ網アクセス回線を利用する。画面転送通信の帯域を確保しなければ、プリント通信が帯域を占有して画面転送を遅らせ、TCの操作性が悪化する。公式解答例では「プリント通信が画面転送通信を圧迫するから」としている。25字以内の答案では、圧迫する通信と圧迫される通信の両方を示します。
設問3(2)
下線⑤はシェーピングの設定であり、各支店向けの送出帯域をその支店の契約帯域に収めるための制御です。契約帯域を超える通信が到着した場合は、パケットをキューに保持し、送出する時刻を調整する。公式解答例では「送出タイミングを調整する。」としているので、15字以内の答案ではこの動作を示します。採点講評では「パケットを破棄する」という誤答が多かったとされ、シェーピングとポリシングなどの機能を理解する必要性が指摘されている。
設問4(ア)
本文の「仮想PCは仮想SWとの接続によって、外部との通信が可能になる」に着目する。感染した仮想PCを隔離するには、VDIのコンソールでその仮想PCと仮想SWとの接続を切り離す。これにより、仮想PCがネットワークを介して他の仮想PCへ感染を広げる経路を断つ。公式解答例のアは「仮想SW」です。
設問4(イ)
本文では、検知された仮想PCだけでなく「他の仮想PCも含めて」C&Cサーバとの通信を防ぐ必要があるとしている。このため、送信元を感染が確認された仮想PCのIPアドレスだけに限定せず、送信元にかかわらず該当するルールにする。公式解答例のイは「任意」です。
設問4(ウ)
標的型攻撃対策装置が特定したのは、仮想PCが不正通信を行う相手であるC&CサーバのIPアドレスです。インターネット方向の通信を拒否するルールでは、このC&Cサーバを宛先に指定する。公式解答例のウは「C&Cサーバ」であり、実際のフィルタリング設定では特定されたIPアドレスを宛先条件として用いる。送信元とポート番号を任意にすることで、他の仮想PCからの通信や異なるポートを使う通信も遮断する。
学習のポイント
通信を行う装置の位置と通信方向を押さえ、安全率を用いた帯域計算、シェーピング、仮想PCの隔離とC&C通信の遮断を学ぶ。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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