NWネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅰ

令和4年度春期 ネットワークスペシャリスト 午前Ⅰ 問5

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

プロセッサ数と、計算処理におけるプロセスの並列化が可能な部分の割合とが、性能向上へ及ぼす影響に関する記述のうち、アムダールの法則に基づいたものはどれか。

選択肢

  1. ア
    全ての計算処理が並列化できる場合、速度向上比は、プロセッサ数を増やしてもある水準に漸近的に近づく。
  2. イ
    並列化できない計算処理がある場合、速度向上比は、プロセッサ数に比例して増加する。
  3. ウ
    並列化できない計算処理がある場合、速度向上比は、プロセッサ数を増やしてもある水準に漸近的に近づく。
  4. エ
    並列化できる計算処理の割合が増えると、速度向上比は、プロセッサ数に反比例して減少する。
解き方のヒントを見る

処理時間を構成要素に分けて考える

並列処理の性能を判断するときは、全体の処理時間がどのような部分から成り立っているかを最初に整理することが大切です。条件の変化がどの部分に作用し、どの部分には作用しないのかを切り分けてから、全体への影響を自分で見積もってみましょう。

この問題で問われていること

この問題で確認すべき観点は一つです。処理全体を、プロセッサ数の増減によって所要時間が変わり得る部分と、そうでない部分とに分けて捉えられているかどうかを意識し、その割合が全体の性能にどう関わるかを考えてください。

視点

並列処理の性能向上を考える際は、「速くなった」という結果だけを見るのではなく、処理全体のうちどの部分がどれだけ短くなったのかを内訳で捉えることが基本です。プロセッサ数や並列化できる割合といった条件が、それぞれ処理のどの部分に関係する量なのかを自分の言葉で説明できるようにしておくと、法則に照らした判断がしやすくなります。

確認ポイント

  • 処理全体の時間を、性質の異なる部分の組合せとして書き分けられているか
  • プロセッサ数という条件が、どの部分の時間に作用する量なのかを確認したか
  • 並列化可能な割合という条件が、各部分の大きさをどう決めているかを確認したか
正解と解説を見る

正解

ウ

解説

アムダールの法則では、並列化できない部分の実行時間はプロセッサ数を増やしても短くならない。そのため速度向上比は1/(1−P)という上限に漸近的に近づく。正答はウだよ。

理由

並列化できる部分の割合をP(0≦P≦1)、プロセッサ数をN台とし、並列化前の処理時間を1とするよ。並列化後の処理時間は(1−P)+P/Nになるので、速度向上比は S=1/((1−P)+P/N) 倍だ。Nを限りなく大きくするとP/Nは0に近づくけれど、(1−P)は残る。そのためSは上限1/(1−P)倍に漸近的に近づくよ。これがウの内容だね。

比較

例えばP=0.9の場合、N=10台ではS=1/(0.1+0.09)=1/0.19≒5.26倍、N=100台ではS=1/(0.1+0.009)=1/0.109≒9.17倍になる。上限は1/0.1=10倍で、Nを増やしてもこれを超えないよ。一方、P=1(全て並列化できる)ならS=1/(1/N)=N倍となり、プロセッサ数に比例して増える理想的な場合になる。アは前提と結論の組合せが逆、イは比例しない場合に比例すると述べている。エは増加する関係を減少と述べているよ。

選択肢ア

これは不正解だよ。速度向上比はS=1/((1−P)+P/N)で表せる。全て並列化できる場合はP=1なのでS=1/(1/N)=N倍となり、プロセッサ数に比例して増え続けるのが理想値だよ。ある水準に漸近的に近づくのは、並列化できない部分(1−P>0)がある場合なんだ。前提条件と結論の組合せが食い違っているよ。

選択肢イ

これは不正解だよ。並列化できない部分がある場合、その部分の時間はプロセッサ数を増やしても短くならずに残る。例えばP=0.9なら、N=10台で約5.26倍、N=100台でも約9.17倍にとどまるよ。台数を10倍にしても速度向上比は10倍にならず、比例しない。プロセッサ数に比例して増えるのは、P=1の理想的な場合だけだよ。

選択肢ウ(正解)

これは正解だよ。並列化できる割合をP、プロセッサ数をNとすると、速度向上比はS=1/((1−P)+P/N)になる。Nを大きくするとP/Nは0に近づくけれど、並列化できない部分(1−P)は残る。そのためSは上限1/(1−P)に漸近的に近づくよ。例えばP=0.9なら上限は10倍で、これがアムダールの法則の要点なんだ。

選択肢エ

これは不正解だよ。S=1/((1−P)+P/N)の分母は1−P(1−1/N)と書き直せる。N>1のときは、Pが増えるほど分母が小さくなり、速度向上比は大きくなるよ。またNを増やしてもP/Nが小さくなるだけなので、速度向上比は減少せず、増加するか上限に近づく。反比例して減少するという関係は、アムダールの法則からは導かれないよ。

学習のポイント

アムダールの法則の式と、並列化できない部分によって速度向上比に上限ができることを理解する。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅰ 問5(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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