DBデータベーススペシャリスト試験 午前Ⅰ
平成29年度春期 データベーススペシャリスト 午前Ⅰ 問1
問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。
問題
選択肢
- ア|α|が1に比べて非常に小さい。
- イ|α|がnに比べて非常に大きい。
- ウ|α÷n|が1よりも大きい。
- エ|n×α|が1よりも大きい。
解き方のヒントを見る
近似の前提となる量の大きさを確かめる
べき乗の近似は、どんな場合でも成り立つわけではありません。近似を使う前に、どの量が他と比べて十分に小さい(または大きい)と仮定されているのかを意識し、その仮定が問題の状況に当てはまるかという一つの観点に絞って検討しましょう。
この問題で問われていること
この問題で問われているのは、近似が妥当となるための条件です。計算そのものよりも、近似を支える仮定が何であり、その仮定が崩れると結果がどう信頼できなくなるかを、自分の言葉で説明できるかどうかを意識して考えてください。
視点
近似とは、厳密な値の代わりに扱いやすい形で値を見積もる考え方です。その際には必ず『何を無視してよいか』という前提があり、無視する部分が全体に比べて十分に小さいことが根拠になります。前提となる量の相対的な大きさを比べる習慣をつけると、近似を使ってよい範囲を判断しやすくなります。
確認ポイント
- 近似によって無視されている部分は何かを、自分で書き出せるか
- その無視される部分が、基準となる量と比べてどの程度の大きさかを考えたか
- 前提となる大小関係が崩れた場合に、近似の精度がどう変わるかを想像したか
正解と解説を見る
正解
ア
解説
(1+α)ⁿを二項展開すると1+nα+{n(n−1)/2}α²+…となります。|α|が1に比べて非常に小さければα²以降の項が無視できるほど小さくなり、1+n×αで近似できます。したがって正解はアです。
理由
二項定理より(1+α)ⁿ=1+nα+{n(n−1)/2}α²+{n(n−1)(n−2)/6}α³+…です。|α|≪1なら、α²、α³…はαよりはるかに小さくなるため、2次以降の項を省いた1+nαで近似できます。例として、n=3、α=0.01では、厳密値1.01³=1.030301に対して、近似値は1+3×0.01=1.03となり、ほぼ一致します。ただし、nが非常に大きくn×αが1に近づくと2次の項も無視できなくなるため、この近似はnが極端に大きくない範囲での話です。
比較
イ・ウ・エは、いずれもαやn×αが大きい状況を表しています。この場合、α²以降の項が1次の項nαと同程度かそれ以上に大きくなり、近似の誤差が大きくなります。例として、n=2、α=10では、厳密値11²=121に対して近似値は1+20=21です。n=10、α=0.2(n×α=2)では、厳密値1.2¹⁰≒6.19に対して近似値は1+2=3となり、大きくずれます。
選択肢ア(正解)
これは正解だよ。(1+α)ⁿを二項展開すると1+nα+{n(n−1)/2}α²+…となる。|α|が1に比べて非常に小さければ、α²以降の項は極めて小さくなるので省略でき、1+n×αで近似できる。例えばn=3、α=0.01なら、厳密値1.030301に対して近似値は1.03で、ほぼ一致する。
選択肢イ
これは不正解だよ。|α|がnに比べて非常に大きいと、展開のα²以降の項が1次の項nαよりはるかに大きくなり、省略できない。例えばn=2、α=10なら、厳密値は11²=121なのに対して、近似値は1+2×10=21となり、大きくずれる。
選択肢ウ
これは不正解だよ。|α÷n|が1より大きいと、n≧1では|α|がnより大きくなる。このときαは1に比べて小さくないので、α²以降の項が無視できない。例えばn=2、α=3なら、厳密値4²=16に対して近似値は1+6=7となり、近似として成り立たない。
選択肢エ
これは不正解だよ。|n×α|が1より大きいと、2次の項{n(n−1)/2}α²が1次の項nαと同程度以上になり、省略すると誤差が大きくなる。例えばn=10、α=0.2(n×α=2)なら、厳密値1.2¹⁰≒6.19に対して近似値は1+2=3となり、大きくずれる。
学習のポイント
二項展開による1次近似が成り立つ条件と、高次の項が無視できる理由を理解する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度春期 データベーススペシャリスト試験 午前Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)
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